4月末に兵庫県の明石市長を退任した泉房穂氏が、13日の『NewsBAR橋下』に出演。市長と議会・職員との関係性について、橋下徹氏と議論を交わした。
在任期間中は議員や職員への度重なる暴言が取り沙汰された泉氏。その背景について、「仲良くする必要があるのか?」と投げかける。
「市長も市役所職員も市民の税金で雇われている立場だから、市民のほうを向いて仕事するのは当然。そうでない職員には“市民の方を向いた仕事をしてください”“税金の無駄遣いをするな”と言うべきだ。100%の職員に好かれる市長なんていなくて、私の時は“明石市が全国初”というのを100以上やっているが、最初職員は全員NOだった。前例主義に反するし、横並びでもないし、国の指示にも反するから、“ザ・公務員”からするとやってはいけないことをする市長。“市民のためだから”と言っても、発想が凝り固まっていた。しかし、最近は職員から新しい提案がどんどん上がってくるようになり、12年間でほとんどの職員が市民のほうを向いた仕事をするようになった」
これに橋下氏は「“全国初”をやる時にあってよかったと思うのは、弁護士資格。“訴訟リスクがあります”“住民訴訟を起こされて、損害賠償を負わされる可能性があります”と必ず言われるが、弁護士資格があると訴えられて勝つか負けるかが予想できる」と話す。
泉氏は「国が間違ったことを言ってくるから、何を言うてんねんと。中央省庁の官僚は庶民のことを全然わかっていない。“生活が大変”というリアリティがないから、すぐに負担を課そうとする。そういう意味で、前例主義、横並び、全国一律だ。私も弁護士なので明石市は10人を超える弁護士職員を採用して、いつでも裁判OKな体制だったから、国と裁判しても負ける気がしなかった」と振り返った。
そこから話の内容は“首長の責任”へ。橋下氏は「僕が大阪府知事の時、住民訴訟で訴えられた。府の税金でやるのはよくないから、自分で書面を書いてやっていたが、5年くらいかかって勝った。松井一郎さんなんかは1500億円訴えられて、『どう思う?』って聞かれたから『うーん……負けてもいいんちゃいますか?』って言ったら、『シャレちゃうねん』と(笑)。最後は勝ったけど、それも法律の見通しがないとできない」と話した。
泉氏は「これは大事なことで、トップというものは訴訟リスクを考えて、数千億円のリスクを負う。そこまで責任を個人で負うがゆえに権限行使ができる。責任と権限はセットで、それがどこから生まれるかというと選挙。『泉さん、これから明石市政に関わらないんですか?』と聞かれるが、ちゃんと選挙に立候補をして、市民に選ばれた者が責任を果たして権限行使するべきものだ」とした。
橋下氏は「国会議員が何かをやって数千億円を住民訴訟で訴えられるということはない。国会議員がよく『政治生命を懸けて』『政治責任を懸けて』と言うが、選挙で落ちるだけだ」と指摘。
泉氏は「なるんだったら、総理大臣か知事、市長。国会議員になっても“権限”がないからだ。お金を使うことと人に頼むこと、つまり予算権と人事権があるのが政治だから。それがないということは立ったり座ったりしてるだけ」と語った。
番組進行のサバンナ・高橋茂雄が「これだけパワーがあったら、総理大臣とか目指そうとかはなかったんですか?」と驚くと、「目指さない。私は明石市市長になりたかっただけだから、十分本望。幸せな12年間だった」と感謝を述べた。(ABEMA『NewsBAR橋下』より)