頭部をカットし、ブロンドを血に染めながらも笑顔で前進して反撃。劇的なキャリアを歩み、シンデレラストーリーを体現する女子ファイターが見せた激闘ぶりに「尊敬に値する」など称賛の声が殺到。一方、血まみれのまま笑顔で前進してパンチを振り回す“不屈すぎる”闘志がもたらした顔面変形の代償、リングで繰り広げられたシュールな光景に「まるでチャッキー」「まるでホラー映画やん」とドン引きの声も聞かれた。
5月19日にタイ・バンコクで開催されたONE Championship「ONE Friday Fights 17」。セレステ・ハンセン(オーストラリア)とダニ・フォール(イギリス)の試合は、大流血3ラウンドの激闘の末にスプリット判定でハンセンが勝利を収めた。
女子ムエタイ戦、欧州の2階級王者フォールとタイを拠点とするオーストラリア人・ハンセンの対戦。ハンセンは20歳のときに重度のアルコール依存症の克服とダイエット目的でムエタイを始め、そのままプロになり、ムエタイの聖地・ルンピニースタジアムにまで駆け上がった選手。さらに、その真っ向勝負の戦いぶりが認められ数日前にはONEとの10万ドルの正式契約を獲得したばかり。まさに格闘技で人生を一変させ、シンデレラストーリーを体現している選手だ。
この試合も例外なく“絶対に折れない女”ハンセンの激闘スタイルを象徴する展開となった。オープニングラウンドからムエタイなのに蹴りは皆無。止まってひたすら殴り合う姿に、ABEMA実況・小出アキラ・アナウンサーも「キックは禁止されません」と苦笑い。1ラウンド2分以上ノンストップで両者フルスイングの展開に視聴者からも「メンタルがすごい」「2人とも気が強い」と驚きの声が上がる。
2ラウンドも打ち合いは続く。フォールはラウンド中盤、猛進するハンセンの額に2発強烈なヒジを入れると、そこから試合は仁義なき縦ヒジ合戦に。終了間際にはフォールの回転ヒジを受けたハンセン。これは効いたか?と思われる一撃も何故かハンセンは笑顔。「笑ってるよ…」「信じられない」といった声、さらには「2人とも楽しそうだ」という反応も。両者の激闘は、最終3ラウンドへ。両者は満面の笑顔を浮かべ、リング中央へ歩みを進めた。
最終ラウンドはさらに壮絶だ。被弾と前進を繰り返すハンセンは頭部をカットしており大流血。右目を腫らし、ブロンドの髪を血に染めながら笑顔で前進する姿。シュールな光景に「まるでチャッキー…」「まるでホラー映画やん」と視聴者は引き気味。しかし、お構いなしのハンセンがフックの連打、さらにボディの連打を叩き込むとフォールは意識朦朧…。さらにハンセンが放った追い打ちのアッパーに後退する場面も見られ、ここで試合終了。数秒前まで殴り合っていた2人は「やりきった」という充実の笑顔でハグ。互いの健闘を称えた。
結果は、最終ラウンドの攻防が評価されハンセンが勝ち名乗り。死闘を物語るように顔面をパンパンに腫らしたハンセンはダブルピース。さらに自らの腫れ上がった顔を「これ見てよ」と言わんばかりにリングアナに向かって笑顔で指さすと「100%勝つ気でいたけど、ジャッジが支持してくれたときはウワーーしか言葉が出なかったわ」と喜びを爆発させた。しかし、顔の変形ぶりに「後で絶対痛いだろうな」「こんなにボコボコになるの見たこと無い」など、あまりに痛々しい姿にファンは絶句した。