プレミアリーグ最終節を前に、ブライトンが今季の集大成をみせる機会が訪れた。
日本時間25日、三笘薫が所属するブライトンは、ホームで王者マンチェスター・シティと対戦する。この試合で勝ち点1以上を獲得すれば、ブライトンは自動的に来季のUEFAヨーロッパリーグ(EL)出場権獲得が決まる。
知将デ・ゼルビ率いるブライトンがホーム最終戦を勝利で飾るのか。あるいは、世界最高監督グアルディオラ率いる王者たちが圧倒的な強さを見せつけるのか。2人の名将によるポゼッション対決のキーマンを紹介する。
カウンターチャンスの起点となる三笘薫
三笘薫はいつも通りスタメンに名を連ねるだろう。出場すれば、対マンチェスター・シティ戦は初出場となる。平均ポゼッション率が62%を誇るシティだけに、基本的には押し込まれる展開が予想される。そのため、自陣の低い位置からカウンターを繰り出すことができなければ、得点のチャンスを掴むことは難しい。ジョゼップ・グアルディオラ監督率いるチームは攻守の切り返しが異常なほどに早く、相手に速攻をさせない圧倒的強さで勝ち星を重ねてきた。
三笘には、味方選手との連係を織り交ぜながら、まずはプレス回避が求められる。日本代表FWはプレーの選択肢が豊富であり、局面を打開する術を兼ね備えている。独力でのドリブル突破のみならず、周りの選手を生かすことも得意だ。三笘のところでボールを失うことなく前進できれば、ブライトンにもチャンスは生まれるだろう。前節は2本の決定機を外したが、第29節ブレントフォード戦以来、11試合ぶり今季8点目にも期待したいところだ。
リーグ屈指の“繋げるCB”となったルイス・ダンク
ブライトンの主将ルイス・ダンクは今季プレミアリーグで全試合に出場している。このイングランド人CBは、クリス・ヒュートン政権までは典型的なオールドスタイルのDFであり、フィジカルやゴール前での身体を張った「ストッパー」的な選手だった。だが、グレアム・ポッター前監督の下で、最終ラインからのビルドアップ能力が求められるようになると、瞬く間に成長を遂げ、今ではリーグ屈指の“繋げるCB”へと進化した。攻撃のスイッチとなる縦パスや、三笘ら背後へと動き出した選手に届けるミドルレンジのパスの精度は高く、彼がミスをしてショートカウンターを食らうという場面はほとんどない。
一方、懸念点があるとすればPK献上の多さだろうか。今季だけでリーグ最多となる4つのPKを与えている。今節の対戦相手であるマンチェスター・シティは、36試合を消化した時点でリーグ最多の9ゴールをPKから奪っているだけに、ゴール前での冷静な対応が求められる。
圧倒的な貢献度が光るグリーリッシュ
2021年夏にアストンヴィラから加入したジャック・グリーリッシュにとって、今季はキャリアでもベストに近いパフォーマンスを披露している。ヴィラ時代から得点を多く決めるタイプではないため数字の面で評価しづらい選手ではあるが、その実力は世界トップクラスだ。最大の長所は、ボールを失わない圧倒的な技術だ。マンチェスター・シティは基本的に左SBが大外を上がってこないため、グリーリッシュはほとんどの試合で“ダブルチーム”で対応されるが、それでもボールを取られない。突破することが難しいと判断すれば、すぐにファウルをもらいにいくプレーに切り替えてマイボールにできるクレバーさも備えている。
また周りの選手を活かすプレーが非常にうまく、広い視野と高いパス技術がそれを可能としている。圧倒的なボールキープで相手選手複数人を引きつけたところから、フリーの選手を見つけてパスを通す。彼がボールを持つことで、相手のマークがズレ、そこから決定的なチャンスが生まれることも多い。ピッチに立つだけで影響を与えられる選手なのだ。
鉄壁の守備を誇る次期主将ルベン・ディアス
マンチェスター・シティの次期キャプテンはルベン・ディアスになるだろう。常に周りの選手を見ながら的確なコーチングを行い、守備者において大事な準備を欠かさない。対人守備の強さもリーグトップクラスで、最後の局面で身体を張れるディフェンスリーダーである。
ジョゼップ・グアルディオラ監督のチームに求められる高い技術力も兼ね備えており、的確な球出しで最終ラインからビルドアップを行う。1シーズンに1、2回、強烈なミドルシュートを叩き込むなど、キック精度の高さも魅力的な選手だ。
今季のディアスは、ここまでプレミアリーグで26試合に出場した。つまり、10試合に出場していないことになるが、その間クリーンシートで終わったのは3試合しかない(出場した試合のクリーンシートは7試合)。出場時の平均失点が0.77点、不在時の平均失点が1.1ということからも、彼の守備面における重要性は明らかだ。ポルトガル代表DFが先発に名を連ねるとなれば、ブライトンであっても簡単にゴールを奪うことは難しくなるだろう。
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