事故が起きた玩具、粘土、節分の豆など「危ないものは全部禁止?」 安全管理とゼロリスク思考の折り合いは?
【映像】販売禁止になった2つの玩具

 5月16日、子どもの玩具に関する新たな規制の導入が決まった。

【映像】販売禁止になった2つの玩具

 対象は2つ。1つは複数の磁石を組み合わせ、さまざまな形を作ることができるマグネットセット。2022年までの5年間で子どもが誤って飲み込み、開腹手術となった事故が11件発生したという。2つ目は水で膨らむボール。これも子どもが誤飲し、腸内で大きく膨らみ、手術に至る事例が、2021年に4件発生している。

 経済産業省は磁力の強さ、ボールの膨張率の基準を満たさないものについて販売禁止を決めた。しかし、Twitterには「販売禁止はやりすぎだろ」「年齢制限と注意書きをつければいい」「日本は過保護社会になっていっている」と疑問の声が噴出。

 果たして、日本は安全を求めすぎているのだろうか。ニュース番組『ABEMA Prime』ではゼロリスク社会を考えた。

▪️「命に関わるもの」は販売禁止

 玩具の販売禁止について、NPO法人「Safe Kids Japan」理事長で小児科医の山中龍宏氏は「新しい製品が出ると、子どもの事故も発生してくる。日本だけでなく世界各国で起こる問題だ。事故にもレベルがあり、全てではなく医療機関にかからなければいけないものは防ぐ必要があると考えている。今回の規制は一つの進歩だ」と理解を示す。

 元バンダイ社員でおもちゃクリエーターの高橋晋平氏も「指を落とすなど回復できなくなるけがの可能性があるものは絶対にやめたほうがいい。“玩具”という発信の仕方がよくないと思っていて、今回は“玩具としては駄目”という打ち出し方をした。“子どもにとって危ないもの”とみんながわかることが重要」と同意した。

 今回の発表を受け、ホビー材料メーカーが、同種のネオジム磁石22商品の販売中止を決めた。しかし、経産省が「DIYの材料や模型等に使用されるホビー用は規制対象外」「販売可能」と通知したことで、同メーカーは販売中止を撤回した。

 高橋氏は「玩具売り場に置かないだけでも大きい」とした上で、規制や制約が玩具作りに与える影響については「安全を担保しながらおもしろさを保つ。制約条件に挑むことがクリエイティビティだと思う。少なくとも、今の玩具はどんどん安全になっている。指を挟まない・はまらないように、というところでアイデアを考えているので、より安全になっていくのはいい方向だ」との見方を示した。

▪️豆には注意書きも。行き過ぎと注意喚起の折り合いは

 Safe Kids Japanでは、節分などで使用される豆について「4歳未満の子どもに食べさせないでください」などと注意書きを入れるよう、業界団体に要望するなどの取り組みをしている。

 山中氏は「私たち死亡例や入院例をまとめた上で、提言・要望を考えている。豆まきは古来より続く大切な行事だが、気管に入って子どもが窒息死した例がある。そのまま食べさせるのはやめてほしいと呼びかけても、同じように亡くなってしまう。これをなんとかしようと、日本ピーナッツ協会に、袋の後ろに赤い字で“4歳まではそのまま食べさせないでください”と入れるよう頼み、表記されるようになった。そういう情報を発信することはできる」と説明した。

 フリーアナウンサーの柴田阿弥は「私は4歳以下の子には豆が危ないというのは分かっていなかった。身体にいいと思って、親が与えることもあると思う。なるべく市場を守りつつ、メディアも“節分イエーイ”みたいなニュースだけではなくて、リスクあるということは伝えていかないといけない」との考えを示した。

 では、少しでもリスクがあるものは全て禁止するべきなのか? 高橋氏は「こうした話をしていくと、“粘土も飲み込んだら危ない”ということになるが、粘土をなくすべきかというとそうは思わない。危険があるからこそ、幼い時から食べちゃいけない、こうやって使うものだと教えるわけだ。結局、知ることが第一歩目。危険性を小さい時から教える、その手順が大事なのでは」と述べた。

(『ABEMA Prime』より)

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