マッチングアプリでの出会いをきっかけにしたぼったくり被害が急増している。今年に入って警視庁新宿警察署に寄せられた相談件数は、2月末の時点で約100件になるという。
そこでニュース番組『ABEMAヒルズ』では、実際にマッチングアプリを使ってぼったくり被害にあったAさんに経緯を聞いた。
女性との待ち合わせ場所は新宿の西口で、行き先は女性の希望で歌舞伎町を指定されたという。警戒したAさんは「行きたくない」と抵抗するも、「センター街の外れの方だから大丈夫だよ」と言葉巧みに誘導され、女性の指定するバーへ。
30分が経った頃、突然女性が「職場に呼び出された」と言い、バーを出るように急かされて、会計することに。すると、一人5000円の飲み放題の酒と、おつまみを2つ注文しただけで、2万8000円を請求されたという。
しかし、手持ちがなく、支払えないことを伝えたAさん。すると、近くにコンビニがあると連れて行かれ、恐怖心もあったAさんは言われるがままにその場で現金を引き出し渡してしまったという。
こうしたトラブルについて、新宿に法律事務所を構え、歌舞伎町のぼったくり被害の相談を受けてきた、うみとそら法律事務所の青島克行弁護士に話を聞いた。
「最近1人当たり20〜30万円請求されるのが多い印象。50〜100万というレベルの請求被害もある。店の人や女の子が『ゲームをやろう』と提案してきて、負けた方が飲むと。その勝負をどんどん重ねるごとに注文が入るのだが、ゲームで飲んだ代金は飲み放題に含まれないとされて、『ショットが1杯3000円でそれを80杯頼んだから今回の請求は24万円です』という話」
さらに、そういったぼったくりバーでは現金しか使えないことが多いという。
「なぜなら運営者がちゃんと賃貸借社契約を結んで営業許可を取ってやっている形ではないので、カードが使えず、現金で支払うという手口になっているからだ」
しかし、怪しいと思ってもその場の雰囲気に押されたり、脅されたりして被害にあってしまうのが実情。対処法は、とにかくお金を払わないことだと青島弁護士は訴える。
「お金を払わない限りは被害はゼロのまま。納得できない金額だと自分が思うのであれば、『これは手口だな』『これは払っていけない』と、支払うことを踏みとどまってほしい」
過去にマッチングアプリで被害に遭った人への取材経験がある、ノンフィクションライターの石戸諭氏にも話を聞いた。
「現代では、男女の出会いから結婚まで重要な役割を担っているのがマッチングアプリだ。利用者には20代〜30代も多く、政府も少子化対策の流れの中で『活用していこう』という流れにある。しかし、今回のような被害は対策が進んでも絶対にあり得るもの。業界側も問題だとちゃんと認識している。会社によっては自前のリーガルチームを持ち、問題が起きたら通報してくださいと、24時間対応できる窓口を設けている会社もある。また、事件性があるケースでは、警察に連絡することもしている。被害に遭った場合、警察だけでなく、アプリを運営する会社側にもきちんと連絡することが大事」
リーガルチームが対応してくれるとしても、未然に防げるのが一番だ。マッチングアプリを使って、初めて会う際に注意すべきことはあるか。
「重要なのは、事前にメッセージのやりとりをして信頼できる人か判断し、初めて会う場合は人目が多い場所で昼間に会う。すぐに連絡が取れる友人を確保しておいて、SOSを取れるようにしておくという人もいた。大事なのは、初対面では勧められる店には行かないことだろう。もし、相手が営業目的だったり、不審な点があったりしたら、繰り返しになるがアプリ会社にも通報し、連絡を断つことを勧めたい」
(『ABEMAヒルズ』より)
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