1990年、第70回文學界新人賞受賞、第103回芥川賞候補となり注目を浴びた河林 満による「渇水」。〈生の哀しみ〉を鮮烈に描いた名篇が、『凶悪』(13)、『彼女がその名を知らない鳥たち』(17)、『孤狼の血』シリーズ(18、21)、『死刑にいたる病』(22)など、多くの重厚な作品を世に贈り出し続ける映画監督・白石和彌の初プロデュースにより刊行から30年の時を経て映画化。人と人の関係が希薄になってしまった現代社会に、真の絆とは何かを問いかけ、観る者を生への希望で照らし出す珠玉のヒューマンドラマ映画『渇水』は6月2日(金)より全国公開される。この度、本作より場面写真が解禁となった。

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 今回解禁となった場面写真は、主人公・岩切(生田斗真)が、息子と共に実家に帰ってしまった妻・和美(尾野真千子)と訪れるひまわり畑でのワンシーンを切り取ったもの。

 自身の親との関係性から息子への愛情表現が分からなくなってしまった岩切に寄り添おうとしていた和美だったが、岩切は和美と向き合うこともうまく出来ずに二人の間には深い溝ができてしまう。そんな夫婦のすれ違いが、ひまわり畑という独特なロケーションで描かれており、本編の中でも印象的なシーンとなっている。

 この象徴的なシーンを撮影するにあたり、髙橋正弥監督は「渇いた地域で働く設定の岩切と対比して、和美の地域は潤っていて、水が行き届いており、花が開いているという画をつくりたかった。」と、脚本の段階から大切なシーンとして構想していたことを明かす。また、「太陽と水、全てを表現できる花がひまわりであったので、やはり、ひまわりがよかった。撮影時期が8月末〜9月と、ひまわりが咲いている場所があまりなかったのですが、たまたま群馬でそういった場所があったということもあり、ロケ地自体を前橋にすることにしました。」と、“ひまわり”に対するこだわりを語った。太陽に向いてまっすぐ伸びているひまわりと、どこか所在なさげに、それぞれ異なる方向を向いている岩切と和美。心に渇きを抱える岩切が、幼い姉妹と出会ったことで自身の家族との関係性ともあらためて向き合うこととなる物語後半。岩切に訪れた変化とは――?最終的に彼が選んだ思いがけない行動とは――?

ストーリー

 日照り続きの夏、市の水道局に勤める岩切俊作(生田斗真)は、来る日も来る日も水道料金が滞納する家庭を訪ね、水道を停めて回っていた。県内全域で給水制限が発令される中、岩切は二人きりで家に取り残された幼い姉妹と出会う。蒸発した父、帰らなくなった母親。困窮家庭にとって最後のライフラインである“水”を停めるのか否か。葛藤を抱えながらも岩切は規則に従い停水を執り行うが――。

(c)「渇水」製作委員会

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