激戦を繰り広げてきたプレミアリーグもいよいよ最終節。三笘薫を擁するブライトンはアウェイの地でアストンヴィラと対戦する。
今季の集大成か、来季を見据えた布陣か
ミッドウィークに行われたマンチェスター・シティとの一戦を引き分けたことで、デ・ゼルビ率いるチームは来季のUEFAヨーロッパリーグ(EL)出場権を獲得しており、すでに今季の順位も6位で終えることが確定している。
ブライトンにとっていわば消化試合となるこの試合で、デ・ゼルビ監督はどんな布陣を組んでくるのだろうか。
考えられるパターンは二つ。一つは今季の集大成としてベストメンバーで臨む形、もう一つは来季を見据えた布陣で臨む形だ。
デ・ゼルビ監督もすでに会見で触れているように、MFカイセドとMFマクアリスターの今季限りでの退団を示唆しており、この試合が彼らにとってブライトンのラストマッチになる可能性が高い。この2選手がいなければ、ブライトンが今の順位にいることは考えにくく、そういった意味でも集大成に相応しい試合となる。
もう一つは、順位がすでに決まっていることから来季も残留濃厚な選手でスタメンを固める形だ。その場合は先述した2選手やCBコルウィルがスタメンから外れる可能性もある。ELの影響で過密日程となる来季を見据え、戦力を見極められる貴重な機会にもなるからだ。
三笘は今季の主力であり、来季の残留も濃厚なため、スタメンに名を連ねること自体は変わりないだろう。なお離脱者はほとんど変わらず、ソリー・マーチ、ランプティ、サルミエントらは出場不可。ララーナはもしかすれば間に合うかもしれないという状況だ。
ブライトンと相性の良いアストンヴィラ
この試合に臨むにあたってアストンヴィラは相当な気合が入っている。勝てば来季のカンファレンスリーグ出場権を獲得できるためだ。かつての欧州王者は2008-2009シーズン以来、欧州カップ戦出場権を獲得できておらず、是が非でも勝ちたいと思っている。
現在、アストンヴィラはホームで6連勝中であり、その間に喫した失点はトッテナム戦のPKのみと、ヴィラ・パークで圧倒的な強さを誇っている。またブライトン相手には直近10試合の成績は5勝4分1敗でかつ3連勝中であり、非常に相性が良い。
一方、ブライトンにはアストンヴィラ戦の苦い思い出がある。ともにチャンピオンシップ(イングランド2部相当)を戦っていた2016-2017シーズンに最終節で対戦した。ブライトンは勝てばリーグ優勝が決まる試合だったが、試合終了間際の89分にジャック・グリーリッシュ
に同点ゴールを許し、最後に首位の座をニューカッスルに明け渡した過去がある。
相性の悪さやこうした過去の状況を考えると、ブライトンにとってはこの最終節までEL出場権争いを持ち込まなかったことは大きな意味を持つだろう。
強固な「三笘包囲網」を突破できるか?
三笘がこの試合でマッチアップする可能性が高いのはマティ・キャッシュだ。俊敏性に優れ、攻守両面で強さを発揮する完成度の高い右SBで、深いタックルを武器に粘り強い守備ができる選手である。
アストンヴィラは戦術的に左SBが高い位置を取り、右SBはオーバーラップをしない形を取るため、キャッシュが攻め上がったことで生まれる裏のスペースは基本的にないと考えた方が良い。
そして右CBにはプレミアリーグで“地上戦最強”と言われるエズリ・コンサが控える。このイングランド人CBは今季プレミアリーグで唯一の地上戦勝率80%超えの選手であり、134戦108勝(勝率80.6%)を誇っている。ポジションが違うとはいえ、今季の三笘が255戦127勝(勝率49.8%)だったことを考えるとこのスタッツは驚異的だ。
加えて右ウイングで先発出場することが濃厚なジョン・マッギンは運動量と対人戦の強さを兼ね備える選手で、必要があれば最終ラインまで戻って守備を行う。ダブルボランチの右として出場濃厚なブバカル・カマラも地上戦に強いため、「三笘包囲網」はかなり強固なものになるだろう。日本代表FWは今季最終戦でどんな輝きを放つだろうか。
(ABEMA/プレミアリーグ)