将棋の第8期叡王戦五番勝負第4局が5月28日に岩手県宮古市の「浄土ヶ浜パークホテル」で指され、藤井聡太叡王(竜王、王位、棋王、王将、棋聖、20)が菅井竜也八段(31)に勝利しタイトル防衛と3連覇を果たした。振り飛車党を挑戦者に迎えた“対抗形シリーズ”を3勝1敗で制した藤井叡王は、終局後に記者会見に応じ「全体を通して大変な将棋が多かったシリーズ」と総括。さらに、「結果を出すことが出来たことを嬉しく思っている一方で、課題も感じた」と語った。質疑応答の主な内容は以下の通り。
――今シリーズを振り返って
「相穴熊の戦いが多かったが、中盤から終盤にかけて距離感を測れないという局面がいくつかあったと感じている。全体を通して大変な将棋が多かったシリーズと感じています」
――シリーズで印象に残る一局、局面は
「今日の将棋も印象に残る将棋だったが、第3局では中盤、小競り合いのような形で戦いが起こってから、どういう風に攻めの構想を立てていくかが難しい将棋で、結果的にわからないまま形勢を損ねてしまったので、そういった力を付けていかないといけないなと感じた一局だった」
――挑戦者の菅井八段の印象、感じた気づきは
「局面の判断であったり、そこからどういう構想を立てて指していくかというところで上回られたと感じるところが多く、菅井八段の力を感じるところが多かったとシリーズだった」
――叡王戦と名人戦を並行して戦った
「並行していたが、自分としては十分な準備をして臨むことができた。公式戦で対振り飛車の将棋が少なかったこともあり、相居飛車の将棋と比べると自分の知識や感覚が不足しているところが多いなと感じた」
――名人戦にかける思い
「名人戦第5局もすぐ近くにあるので、そちらにも出来る限り良い状態で臨めればと思っています」
――第4局は2度の千日手、体力面で不安、または自信を感じたことは?
「千日手2回は昨年の棋聖戦五番勝負の第1局では同様のことがあったが、そのときも体力的には問題なく指せたかなと思っていて、(2度目の千日手成立あとも)本局でもその点は懸念せずに指せるのではと思っていた」
――今後も続くハードスケジュールに不安は
「名人戦が5月31日からということで、本当にすぐ近くだなとは思っていますが、明日と明後日でしっかり休んで、出来る限り良い状態に持っていければなと思っています」
――千日手のかけ引きから決断に至るまで
「1回目の千日手は序盤でしたが、後手番でもあったので千日手にするのも妥当な判断なのかなと思っていました。2局目(指し直し局)の将棋は終盤に差し掛かるところでミスが出てしまって苦しくなってしまったので、もし打開されていたら足りない形勢だったと思うので、千日手はこちらからすると御の字なのかなと思っていた」
――今年度最初の防衛に成功
「今シリーズは本当に大変な将棋が続いたなと思っているので、その中で結果を出すことが出来たのは嬉しく思っている一方で、課題も感じたと思っているので、その点は改善していければと思っています」
――千日手は作戦?
「序盤から手が広い将棋だと思っていたが、後手番でもあったので、狙いというか、千日手の筋を見せるという作戦で指そうかなと思っていた」
――2度目の指し直し局も1回目の指し直し局と同様の進行だったが、千日手は意識した?
「3局目も後手番だったので、先手の応手によってはそういうこともあるのかなと思っていた」
――4局目(3度目の指し直し局)も指せる体力はあった?
「特別に自信があったわけではないが、持ち時間が1時間からということだったので、序盤から決断良く指していかなければいけないのかなと思っていた。その中で千日手になったらまた考えようかなと思っていた」
――第4局が行われた岩手県の印象
「私自身も今まで訪れたことが無かったですし、タイトル戦自体も10年ぶりということもあり、楽しみにしていました。多くの方に歓迎していただき、対局前日には船に乗ったり散策したりということもあり、自分としても素晴らしい環境でこの対局を指させていただいたなと強く感じています」
――昼食のお味
「いろいろなメニューを用意していただき選ぶのにも迷いましたが、三陸なので海のものをいただこうかなと迷いましたが、ローストビーフ丼と冷麺のセットもすごく美味しくて、リフレッシュ出来たと思っています」
――県内のファンへ
「遅くまで大盤解説会場に残っていただいて嬉しく思いました。岩手県の対局が良い思い出になりましたし、また対局させていただく機会を楽しみにしています」
(ABEMA/将棋チャンネルより)