非喫煙者「不公平」、喫煙者「たばこ税を払っているんだから当然」 大阪万博に向けた“喫煙所設置に税金”の是非
【映像】今後は「吸わない側の権利」を守る方向に進む?
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 大阪市は2025年の大阪万博に向けて、路上喫煙禁止エリアを市内全域に広げていく。これに伴う喫煙所設置の費用支出に対して疑問の声をあげる人が相次ぐ中、喫煙者と非喫煙者がわかり合える日は来るのか? 『ABEMAヒルズ』は専門家に話を聞いた。

【映像】「こういうことを税金でやるの?」ネットに上がった疑問の声

 大阪市が乗り出したのが受動喫煙対策。現在、一部の地区のみとなっている路上喫煙の禁止エリアを市内全域に拡大するのに合わせて、市内6カ所のみとなっている喫煙所を大幅に増やし計120カ所新設する方針だ。

 しかしネット上では、「こういうことを税金でやるの?」という疑問の声があがる。大阪市は、民間事業者が喫煙所を新設する際の費用を最大2000万円まで補助することを決定。さらに、喫煙所の維持管理費として年間最大144万円を補助する。こうした金額は、東京の港区など喫煙所の整備を先駆けて行っている自治体の例も参考に決めたという。

 多額の税金が投入されることへの批判に対し、喫煙者側からは「たばこ税を払っているんだから、吸える場所の整備をするのは当然」という意見が。

 果たして自治体による税金を使った喫煙所の整備は問題ないのか? 受動喫煙対策に取り組んできた近畿大学経済学部・村中洋介准教授は「国が“たばこを吸ってもいいですよ”と言っている状況、喫煙者も一定数存在している中で、吸う人たちの自由や権利も一定程度は保障されないといけない。今できる政策としてはベターだと思う」とコメント。

非喫煙者「不公平」、喫煙者「たばこ税を払っているんだから当然」 大阪万博に向けた“喫煙所設置に税金”の是非
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 たばこ税は目的税ではなく一般財源となるため、「他の用途に使うべき」という声もある。それには「たばこ税収は大阪市にも多くある。お金に色はついていないが、税収の一定程度をたばこによって得られている以上は、『そこから捻出する』と言われれば確かにそうだと思うところもあるので、説明の仕方もあるかなと。もしくは、たばこを吸わない人間がその健康をどう考えるかという時に、受益者負担としての喫煙所の設置は1つの方法としてはあるのかなと思っている」と説明した。

 吸う人がいる以上、非喫煙者が健康被害などの影響を受けないために譲歩しなければいけないという、なんともやるせない状況。煙を吸いたくない権利が二の次となっている背景には、日本の根強いたばこ文化が影響していると村中准教授は話す。

「海外であればそもそも受動喫煙、周りの人に煙の害を与えるだとか、喫煙をすること自体に対して『悪い』という流れがある。たばこを吸うのは自由だけど、それによって健康被害を受けるのは自己責任という海外の流れと、日本みたいに他人の前で喫煙することも『まぁ認めてあげましょう』という流れとは違うところがある」

 国内・国外問わずどこでも吸える環境が長く続き、海外のような思い切った規制や極端な値上げは避けてきた日本。受動喫煙を防ぐための条例や法の整備などが進む今、少しずつではあるものの、吸わない側の権利を守る方向に舵を切っている段階と言えるのかもしれない。

「例えば『集合住宅のベランダは占用空間じゃないからそこで吸っちゃダメですよ』という条例を作ってしまうとか。そうすることで裁判所の判断も変わってくる。ルール作りを国ができないなら地方からでいいのでやっていく。それによって少しずつ変わっていくと思っている」

(『ABEMAヒルズ』より)

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