「もう、ぐらんぐらん」「どういう状況かわかっていない」…女子ムエタイでおよそ2分間の間に3ダウンを奪う圧巻の1ラウンドKO劇。しかし、その豪快なKO決着とは裏腹に、なかなか試合を止めないレフェリーに対して現世界王者が困惑する一幕があった。
6月2日にタイ・バンコクで開催された「ONE Friday Fights 19」。ナタリア・ディアチコワ(ロシア)とレナ・ノッカー(イタリア)の試合は1ラウンド1分58秒、ディアチコワが持ち前の強打で電光石火の3ダウンを奪ってTKO勝利を収めた。2戦連続の無双ぶりにABEMAゲスト解説で現修斗世界ストロー級王者・新井丈も「チャンピオンを狙える選手」とディアチコワを絶賛。一方で、試合が決したかに思われながらも、なかなか試合を止めないレフェリーに対してさまざまな反響が寄せられた。
女子ムエタイ戦、ゴングと共に両者が拳を振るうバチバチのオープニング。しかし、ディアチコワが前蹴りをひと突き、さらにノッカーを首相撲で強引に引き倒すなど、一気に流れを引き寄せる。
すると開始1分、ロープを背負ったディアチコワがカウンターで猛攻。そこからストレートの連打でたたみかけるとノッカーが最初のダウンを喫する。この一撃で大きなダメージを負ったノッカーは立ち上がるも足元はフラフラ。意識朦朧のなか弱々しいファイティングポーズをとるも「もう、視界がぐらんぐらん。全然効いてます」とひと言。
試合再開直後、ディアチコワが綺麗なワンツーを打ち抜くと、ノッカーはコーナーに吹き飛ぶように二度目のダウン。それでも立ち上がったノッカーにレフェリーがダウンカウントを開始すると「まだやらせるんだ」と新井は驚いた様子。さらにカウント8で「まだやりたいか?」レフェリーがノッカーに問いかけると、小さく頷いたノッカー。
しかし、新井は「(頷いているが)ノッカー選手は今の状況をわかってないですよ」と指摘。非情にも試合が再開されると、ディアチコワは容赦なく左右のパンチを連打。最後は背を向けてしまったノッカーを見たレフェリーが割って入って試合を止めた。
試合時間は1ラウンド1分58秒。ディアチコワは2戦連続で1ラウンド2分以内という圧倒的内容で勝利。まだまだ体力が有り余っているのか、リング上でトレーナーとダンスパフォーマンスを見せる余裕ぶりもあった。
ディアチコワの余りの強さにファンからは「男子選手でもボコられるレベル」「パンチ一発一発が硬くてめちゃ痛そう」との声が。新井も「チャンピオンを狙えるレベルの選手」とポテンシャルの高さを改めて評価した。
一方、ノッカーに対しては同情的な声が多数。「レフェリー止めるの遅すぎる」「あんなにフラフラなのに…」「3回もKOされた、不必要なダメージだ」など、最初のダウンでほぼ決着がついていたようにも見えただけに、なかなか止めなかったレフェリーの判断の遅さに疑問の声が寄せられた。