「凍結卵子」の9割は使われない!? 採卵時にもリスクが… 日本産科婦人科学会が伝えるメリットとデメリット
【映像】卵子凍結のメリット・デメリットとは
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 日常会話において、自然と話題に上がるようになった「卵子凍結」。今はパートナーがいないから、仕事に邁進したいからなどの理由で選択する人も多いと思うが、あまり知られてはいないデメリットもある。

【映像】9割は使われない!?卵子凍結のメリット・デメリットとは

 日本産科婦人科学会では、卵子凍結のメリットとデメリットに関する動画を作成した。その背景について、ニュース番組『ABEMAヒルズ』は副理事長の加藤聖子氏に話を聞いた。

 まず、卵子凍結は2つに大別できるという。一つは病気の治療、もしくは病気そのものにより生殖機能が低下する恐れのある場合に行う「医学的適応」と呼ばれるもの。もう一つは、健康な女性が「今は仕事が忙しい、パートナーがいない」といった理由で将来に備えて若いころの卵子を凍結しておく「ノンメディカル」だ。

「凍結卵子」の9割は使われない!? 採卵時にもリスクが… 日本産科婦人科学会が伝えるメリットとデメリット
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 健康な女性が行うノンメディカルな卵子凍結にはメリットとデメリットがあるといい、まずメリットとして卵子の老化の時計を止められることが挙げられる。年齢を重ねると、卵子の質と量が低下するため、妊娠しにくくなると言われているが、若いころの卵子を凍結しておけば、こういった年齢による変化に備えられるのだ。

 また、メンタルにおけるメリットもある。

「結婚・妊娠できないことに焦りを感じている女性たちにとっての精神的な安定剤、あるいは将来の保険にもなるので、仕事など目の前のことに集中しやすくなります」

 次にデメリットについて。

「今は妊娠できないということで卵子凍結をして、その何年か後に(妊娠)される。そうすると妊娠した時の年齢は高くなります。卵子の時計は止められますが、子宮や血管、ほかの臓器の老化を止めることはできません。妊娠は女性の体に負担がかかるものなので、臓器の老化に伴う合併症も増えてきます」

 高齢での妊娠は、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病、早産などの発症率が上がってしまう。さらに、採卵時に排卵誘発剤を使うことによるリスクもあるという。

 また、海外での卵子凍結に関する意外な実情もあるという。卵子凍結をした人の約2割がその後、妊娠しているが、その半数以上は凍結卵子を使用せずに妊娠しているという。凍結した未受精卵子の使用率は5.2~7%と報告されており、つまり、凍結卵子の9割以上は使われていないのだ。

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 村上世彰氏の次女で村上財団代表理事の村上フレンツェル玲氏は、すでに5年前(24歳の時)に卵子凍結をしていると言い、当時の経験を明かした。

「当時は結婚願望がなく、妊娠・出産のタイミングが遅くなると思ったので自分の体のことを考えて決断した。一つの選択肢として考えてみるのもいいのでは」

(『ABEMAヒルズ』より)

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