先日Twitterに投稿された“ある動画”に注目が集まっている。中年男性が興奮した様子でベビーカーを引っ張る様子や、投稿者の女性が抵抗する姿が映っている。ベビーカーには8か月の子どもが乗っていて、グラグラと揺さぶられている。
ニュース番組「ABEMA Prime」に出演した被害者でポーカープロのななちゃらさんは、当時の状況をこう説明する。
「駅を歩いていたら『邪魔だ!』って、わざとベビーカーにぶつかってきた。『すみません』と言って去ろうとしたら、またベビーカーに体当たりしてきた。さすがに『え、なんなんですか?』って言ったら高圧な態度で詰め寄ってきて、勝手に掴んできた」
異変に気づいた周囲の人がすぐに駆けつけ、警察に通報。防犯カメラやななちゃらさんが撮影した動画、周囲の証言もあり、被害届を提出した。
Twitterでは「周囲の人も助けてくれたし無事で良かった」「ぶつかりおじさん怖すぎる…」などの声が殺到。“ぶつかりおじさん”とは、道や駅などでわざと通行人にぶつかる男性のことで、これまでもたびたび問題視されてきた。
■ななちゃらさん「息子に危害があったときの証拠に」
動画が証拠となり、ななちゃらさんの行動には多くの賞賛の声があがったが、一部では「撮ってる場合じゃない」と心配の声も寄せられていた。どのように感じたのか。
「自分自身もパニックだった。恐怖などはあまり覚えていない。何か息子に危害があったときの証拠になると思って、動画を撮り始めた。普段から文面でやり取りの証拠や録音を意識していたので、とっさに行動した。私は子どもとカメラしか見ていなかったので、周りの状況が見えていなかった。警察が来てくれたのは、おそらく誰かが通報してくださったからだと思う」
ベビーカーを掴んだ男性は「その後もだいぶ圧がすごかった」という。
「おじさんは周りの人が止めてくれていた。警察が来てからは『2人とも落ち着いて』という感じで離れた場所で、お互いの話を聞いてくださった。しばらくして警察の人から『もう帰っても大丈夫だよ』みたいに言われたが『そんなことは許さない』と思った。勝手にベビーカーに手をかけて怖い思いをしたのに、これが無罪で何もないのはどうなのかと思って抗議した」
ネットでは“ぶつかり被害”を訴える声が寄せられている。
コラムニストの河崎環氏は「ななちゃらさんは本当にえらかった。勇気を全身で称えたい」とした上で「こういう人間が本当にいると、映像で知らしめることができた。私たちの世代は撮るガジェットもなかったし、発想もなかった。ただ、ぶつかられて、舌打ちをされて、肩身が狭い嫌な思いをしながら、子どもたちに一生懸命、道を歩かせていた。それを今までの女性たちは何十年もやってきた」と述べる。
また、現役保育士・育児アドバイザーのてぃ先生は「男性は一貫して弱い方を狙っている」と指摘する。
「この男性が後ろからぶつかったのも、彼女が弱そうに見えたからだ。社会的な立場も含めて、ぶつかっても大丈夫そうな人を選んでいると思う。でも、いざトラブルに発展して、動画まで撮影してきたから、向こうもパニックになったのではないか。一番弱い立場は誰か。それはママよりも、子どもだ。だからベビーカーを掴んだ。とにかく自分の欲求を満たすために、弱い方を狙っている。悪質で卑怯な人だという印象を持った」
事件から4日後、警察から連絡を受け、被害届を提出したななちゃらさん。どのような罪に問われるのだろうか。
元埼玉県警の佐々木成三氏によると、ベビーカーを蹴る・つかむ行為は「暴行罪(間接暴行)該当の可能性がある」という。身体には直接攻撃を加えないが、所持品を蹴ったり、水をかけたり、大声で怒鳴ったりする行為が「間接暴行に当たる」と述べる。
もし“ぶつかり被害”に遭遇したら、どうすればいいのか。佐々木氏は「まずは身の安全を最優先し、110番通報、周囲の人に助けを求めるなど、第三者に介入してもらうことが大事」だという。中には金銭狙いの当たり屋のケースもあり、可能であれば、動画などに証拠を残すために、自分で撮影する以外にも、110番映像通報システムを活用する、目撃者に撮影など協力を依頼する、「ながらスマホ」は狙われやすいため避けるといった対策も重要だとした。(「ABEMA Prime」より)
■Pick Up
・「ABEMA NEWSチャンネル」がアジアで評価された理由
・ネットニュース界で話題「ABEMA NEWSチャンネル」番組制作の裏側