自らの清掃活動を他人とシェアするという“ごみ拾い専用のSNS”がある。科学技術の力であらゆる環境問題の克服を目指し活躍する企業を取材した。
「散歩のついでにごみ拾い」
「お疲れ様でした」「回収ありがとうございます」
散歩の途中、ごみを拾ったという投稿と、それに感謝の言葉を伝えるユーザーたち。これは「Pirika(ピリカ)」というごみ拾い専用SNSでのやりとりで、量・場所といったごみ拾いの成果を記録・発信することやユーザー間でコメントを送り合い、「いいね」のような「ありがとう」を送ることができる。
ニュース番組『ABEMAヒルズ』は、開発したベンチャー企業のピリカに話を聞いた。
ごみ拾い専用SNS『ピリカ』は2011年に開発。個人版と企業・自治体版の2種類が導入されている。アプリ開発のきっかけは、ピリカの小嶌不二夫代表が行った世界一周の旅だったという。
「ごみが落ちていてもみんな見て見ぬふりしているような状況。当時、TwitterやFacebookが世界中に普及し始めていた頃で、みんなが頻繁に発信している仕組みをうまく活用できないかと考えた」(株式会社ピリカPR・土屋明子さん、以下同)
重視したのは、ごみ拾いを楽しく続けやすくすること。アプリによって、ごみを拾うという行為が可視化され記録に残る。また、他人から感謝され、褒められることでモチベーションの維持にもつながる。
リリースから10数年。ピリカは現在、世界116の国と地域で使用され、延べ200万人が参加。回収したごみの数は3億個を突破した。
そして、このごみ拾い専用SNSは、導入する企業にとっても社内コミュニケーションの活性化につながるほか、こんなメリットも。
「今までしていた“なんとなく良いこと”が、企業として環境や地域に『このように貢献してますよ』と定量的に示せるようになった」
この他にも、ピリカではポイ捨てされたごみの分布の“見える化”ができる「タカノメ」を導入。また、海洋生態系への影響が懸念されるマイクロプラスチックの調査・対策事業などを展開している。
2020年度の調査では、日本国内の水域に流出していたマイクロプラスチックの約20%が人工芝だったことを特定。調査したごみに関するデータを企業・自治体に提供することで、ごみ問題の実態把握や解決策の導入につなげるという。
「ごみのデータを大量に収集して、その動きやどんなものがどのように流れているのかが分析できれば、自然界への流出を抑止するようなプロジェクトができるのではないかと調査している。我々の調査の中では、一番多かったマイクロプラスチックが人工芝だとわかったので、現場における流出抑制のプロジェクトも始まっている」
ピリカの掲げるミッションは、2040年までに自然界に流出するごみと、回収されるごみの量を逆転させること。今後もごみ拾い専用SNSをはじめ、企業や自治体と連携して活動を行っていきたいと話す。
「世の中が少しずつ見て見ぬふりをしていた問題に、アクションし始めてきているのはとても大きいかなと思っている。流出したごみって誰の責任かという議論がとても難しい問題だと思うので、ピリカ単独ですべてが解決できるとは思っていない。連携をいろんなところでしていく必要があるなと思っている」
(『ABEMAヒルズ』より)
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