新型コロナが5類に引き下げられて以降、子どもを中心に「ヘルパンギーナ」「RSウイルス感染症」などの感染者が急増している。子どもたちだけではなく、大人の感染症対策も今一度見直す必要がありそうだ。
どちらも幼い子どもに多く見られる感染症で、「ヘルパンギーナ」は、高熱や口の中に水ぶくれができるなどの症状がみられる。「RSウイルス感染症」は、発熱や咳、鼻水など風邪のような症状が特徴だ。
国立感染症研究所のデータよると、患者数は過去4年の同じ時期の平均と比べて大幅に増加している。さらなる感染拡大が懸念される中、東京都は6月22日、ヘルパンギーナについて「流行警報」を出し、感染対策の徹底を呼びかけた。
東京・杉並区にある「くめかわ小児科クリニック」でも、ヘルパンギーナやRSウイルス感染症と診断される子どもが急増している。診察にあたる粂川医師に詳しく話を聞いた。
「一番多いのがヘルパンギーナ。それ以外にもRSウイルス感染症、ヒトメタニューモウイルス感染症、パラインフルエンザ感染症が流行している」(以下全て、くめかわ小児科クリニック・粂川好男医師)
他にも、アデノウイルスによる咽頭結膜熱、いわゆる“プール熱”などの患者も多く訪れているという。
子どもを中心にこれだけの感染症が同時に流行するという事態について、粂川医師は「小児科外来を数十年やっているが全く初めての経験。いろんな検査を混ぜ合わせて診断しなければならず、いろんな感染症が交じって診断が難しい」と現状を語る。
感染拡大の原因について、5月8日に新型コロナが5類に移行し、感染対策が緩和されたことが影響したとみられている。くめかわ小児科クリニックでは、受診しにくる患者の数はコロナ禍前と比べると約2倍になったという。
「5月のゴールデンウイーク明け頃から徐々に増えて、6月に入って一気に広がった印象がある。5月以降、新型コロナが5類になり、学校や幼稚園・保育園、人混みでのマスクの着用率も減っているので、いろんな感染症が広がりやすい状況はあると思う」
さらに、子どもの感染症が増えているのは、コロナ禍により免疫を得られなかったためではないかと指摘する。
「新型コロナの影響もあって、この3年間はヘルパンギーナに限らずいろんな感染症が少なかった。流行らなかったツケで人々に免疫がつかず、今年はヘルパンギーナの感染者数が異常に増えたのでは」
本来ならば過剰な心配は必要ないというこれらの感染症だが、免疫力が低いところに感染が広がりやすくなっている状況に対して注意が必要だという。
「特にRSウイルスやヒトメタニューモウイルスなどの感染症は、小さい赤ちゃんがかかると肺炎や気管支炎で重症化、入院する場合があるので、注意が必要」
これらの感染症は大人もかかる可能性がある。子どもに比べると症状は軽いとはいえ、基礎疾患を持つ人、免疫力の弱い人は重症化するケースもあるという。
新型コロナの影響もあり人々の免疫力の低下を招いたと指摘するが、やはり感染症の予防にはコロナの時と同様の対策が必要だという。
「咳や熱のある方が近くにいたらできるだけ接触を避ける、なるべく遠ざける。それらの症状がある方に接するときは、マスクを着用して感染を防ぐ。そういった基本的なことしかないと思う」
(『ABEMAヒルズ』より)
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