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 日本時間の7月1日(土)、今年で110回目を迎える世界最大の自転車レース「ツール・ド・フランス」が開催される。競技期間23日(休息日2日含む)、1日の競技時間4~5時間、1日の走行距離最長約200㎞、総走行距離3,404km、総獲得標高56,266mの壮大なレースの開催を控え、大会の魅力や今大会の展望をラジオDJでスポーツ実況など多方面でも活躍し、ツール・ド・フランスにも詳しいサッシャさんと旧知のライターで現地取材の経験も豊富な土肥志穂さんに語り尽くしてもらった。近年、新世代の台頭により劇的な変化を遂げたという同大会。まだ観たことのない人、しばらく観ていなかった人にも是非、楽しんでほしい。ツール・ド・フランスを知り尽くした二人がおすすめする今大会の見どころとは? (文/土肥志穂)

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■「もはや常識が通用しない! 時代の主役を決する今大会は“新世代総決戦”」

志穂:サッシャさん、お久しぶりです。私がツール・ド・フランス(以下「ツール」)の現地取材をしていた頃は、私がレポーター、サッシャさんがスタジオという立場でお世話になりました。私は子育てで10年ほど離れていましたが、ツールはレースがずいぶん変わりましたね。サッシャさんの思う今年のツールの見どころは、ズバリ何でしょう

サッシャ:志穂さん、お久しぶりです。今年はズバリ“新世代総決戦”になると思いますよ。ツールは2019年を境に大きく変わったと思っています。2018年にゲラント・トーマスがチャンピオンになったところまでは、スカイ時代の名残のようなものがありました。

志穂:スカイというチームは、かなり組織的にツールを動かしましたね。最終的にパリで総合優勝してればいいという考えの下、ステージ優勝には興味がないかのようなレースをして、毎日が淡々と進んだ年もありましたね。現地でも、スタート前の選手はずっとバスの中にいて、ファンや記者との接触を避ける徹底したコントロール振りを見せ、周囲を驚かせました。

サッシャ:そのスカイがイネオスというチーム名となり、イネオスのエガン・ベルナル(当時22歳)が2019年に勝って以降、若い世代だけが勝つようになりました。チームの勢力図も変わり、スロベニア人選手の台頭もありましたね。

志穂:2020年はスロベニア人でUAE所属のタデイ・ポガチャルが勝って、当時22歳。ポガチャルは翌年も勝ちました。そして昨年2022年がデンマーク人でユンボ所属のヨナス・ヴィンゲゴーで25歳でした。

サッシャ:ただ、新しい選手やチームが出てきても、役者が揃い切らなかったところもありますね。でも今年はひとつ時代の壁を超えるかもしれません。少し円熟味が出てきた新生代の決戦…、つまり”この時代の本当の主役は誰なのか”がわかる年になると思うんですよね。これからはヴィンゲゴー時代なのか、やはりポガチャル時代なのか、はたまた第3の男みたいな選手が出てくるのか…、そういう意味での”新世代総決戦”の年になるでしょう。

志穂:おー、なるほど! 今年私たちは、新時代の幕開けを観るのですね。

サッシャ:ツールを初めて観る方にも、ちょうどいい年だと思います。

志穂:そうですね! オールドファンで、しばらくツールをご覧になっていない方にも、再び観始めるのにいい年ですね。

サッシャ:近年、シクロクロスやマウンテンバイクレース(いずれも未舗装路で競う自転車レース)から選手が参入するようになって、ロード競技も大きく変わったと思うんですよ。

志穂:今年も注目のワウト・ファンアールトとマチュー・ファンデルプールは、長年、シクロクロスの世界チャンピオンを争っている2人です。この2人がツールでどんなバトルをするかも楽しみです。

サッシャ:昔から観ている僕らからすると、「えっ、ここで!?」と驚かされる作戦とか走り方とか、脚質とか…。今までの常識が通用しなくなりました。新しく観始めた人のほうが素直に観られるぐらいです(笑) 本当に時代の転換点にいます。

志穂:自転車ロードレースファンの中には、1日で勝負が決まる、いわゆる”ワンデーレース”のほうが好きという方もいらっしゃいます。確かに、勝負がギュギュっと詰まって、選手の集中力も違うし、おもしろいですよね。ただ今年の第1、第2ステージについては、ワンデーレースが2日続けてあるような気がします。いや、最近の驚くような戦略を観ると、ツールの毎日がワンデーレースと言ってもいいかもしれませんね(笑)

サッシャ:確かに、まったくレース展開が読めないですからね、最近は。

志穂:犯人が最後までまったくわからない、良くできた推理小説のようです(笑)

サッシャ:実況をしていても「なんと、〇〇が勝ちました!」という機会が多くなっています(笑)

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■「レースは“人生の縮図”。ヨーロッパの風景や文化のグラデーションも堪能できる」

志穂:サッシャさんは自転車ロードレースだけでなく、モータースポーツやサッカー、バスケなどの実況もされていますが、そんな中で、自転車ロードレースの中継の魅力ってありますか?

サッシャ:まずはやっぱり"風景"ですかねー。

志穂:あっ、風景!?

サッシャ:なんて言うか…、こう言ってはなんですが、レースがわからなくても、映像を観ているだけで楽しめるんですよね(笑) 世界遺産とか田園風景とか、動くGoogle Earthと言いますか。普段はあまり行かないような街とか自然とかを、中継で観ることができます。そんなスポーツって他にはないですよね! 映像の美しさ、大自然の美しさ…、そこに色とりどりのジャージを着た選手たちが走り抜けて行くんです。毎日風景が変わり、フランスを1周できちゃうんですよ!

志穂:近年はフランス国外に出ることが多くなり、今年はスペインのバスク地方がスタートですからね! ツールでヨーロッパ全土を観ることができます。

サッシャ:文化って…、例えばドイツとフランス、フランスとスペインなど、国境でいきなり文化が変わるワケではないんですよ。文化ってグラデーションなんです。フランスが赤でスペインが青なら、国境付近は紫。そのグラデーションが観ててわかるのは、自転車という適度な速度で走る競技だからこそ。ツールの映像では、その徐々に移り変わっていく街並みを感じてもらえると思います。

志穂:フランス・ストラスブールがスタートのツールも取材しましたが、あの梁の多い、ドイツっぽい街並みもスゴく良かったです。歴史的にもドイツだったときもありますもんね。

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■出場選手は176人。その一人ひとりに役割がある“人生の縮図”のようなレース

志穂:風景もそうですが、勝敗にもグラデーションを感じます。「今日勝った選手は、〇〇ステージで負けたことの雪辱を晴らせた」とか、連続ドラマみたいなところがありますね。

サッシャ:そうですねー。ツールは176人と出場選手が多いのもありますが、いろんな選手が主役になれるんですよね。もちろん、ツールの総合優勝者は1人しかいませんが、その日のステージで、スプリンターやクライマー、タイムトライアルの個人戦が得意とか、常に主役が変わります。その中でステージ優勝できる人もいますし、集団から飛び出し、逃げて、逃げまくって、たとえ勝てなかったとしても、敢闘賞という表彰もあります。

志穂:いろんな人が輝けますね。自転車ロードレースのチームは、基本的に1人のエースとそのほかのアシストという構成です。アシストはエースのために風よけになったり、食べ物を運んだり…。初めてそれを知ったときは、「アシストってかわいそうだな」と思っていました(笑) でもツールを観始めて、アシストも輝いていることを知りました。

サッシャ:それって、人生の縮図そのもので。たとえば会社なら、部長は1人かもしれないですけど、企画を作ったMVPの人もいるし、それを生かす営業の人もいるし。最後に表に出る人がいるかもしれないけど、みんな主役。役割がある。

志穂:ツールを、人生の縮図と思って観るのもおもしろいかもしれませんね。

サッシャ:いいと思います。自分自身がどういう面で主役なのかを振り返ってみて、表に出るタイプならエースを応援したくなるかもしれませんし、陰で支えるタイプならアシストに思い入れを持つかもしれません。大切なのは、誰一人欠けてはならない、ツールの主役なんです。

志穂:そうすれば、応援したくなる選手もみつけやすいですね! 最後に、本当に難しいとは思うんですが、サッシャさんの総合優勝予想は、ズバリ誰ですか?

サッシャ:うーん、これは本当に難しい(笑) やっぱり、”新世代総決戦”なので、今年勝った選手が、この先5年、10年の主役になると、僕は思っています。ハッキリ言って、一昨年までは、「あっ、ポガチャル時代が始まったんだね」と思っていました。ポガチャルが何連勝でもしちゃうだろうと。それが去年、ヴィンゲゴーだったという、まさかの年だったワケです(笑) なので今は、「ポガチャル時代?」「ヴィンゲゴー時代?」と、少しあいまいな部分もあるので、今年勝った選手の〇〇時代…、昔で言うとイノー時代とか、インデュライン時代とか、そういう主役が生まれ、新しい時代が始まるのではと思っています。

志穂:キャラクター的にはポガチャルが強いですよね。

サッシャ:去年のポガチャルはチーム力の問題とか、若さが出てしまったりとかあったと思いますが、今年、ポガチャルのほうのチーム力が上がれば、勝てる気がしますね。だから、あえて1人優勝候補を挙げなければならないとすると、ポガチャルですかね。ただ、手首の骨折でレースに出ておらず、コンディションをどこまで上げているかがわかりません。

志穂:そこなんですよねー。春先のポガチャルの快進撃を観ていたら、絶対にポガチャルだと思いますけど、ケガというね…(泣)

サッシャ:予想が難しい分、今年はおもしろいですね! でも、ツールの歴史をあとで振り返ったとき、「2023年から〇〇選手の時代が始まったよね」という年になると思います。僕も今年も実況を担当します。第1ステージも担当しますが、中継の後半に登場します。これがですねー、中継時間が長すぎて途中で実況・解説が交代するなんて、スポーツの中でもツール中継ぐらいしかないですよ(笑)。連続ドラマで言うと、まず1、2話を観ていただけると、ずっと最後まで観られる…みたいなところがあるので、ぜひ第1ステージをご覧いただき、最後まで関心を持っていただけると嬉しいですね。

志穂:まさに今年の視聴者は、歴史の証人になれますね。私もしばらく離れていましたが、今年からまた見始めますね! 楽しみです。

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■「ツール・ド・フランス2023」

『ツール・ド・フランス2023』は、世界の35億人が熱狂する自転車ロードレースの世界最大イベント。ステージ優勝をかけ、第16ステージの個人タイムトライアルを除く20ステージを、先頭でフィニッシュラインの通過を目指す選手たちがしのぎを削る。ツール・ド・フランスでは様々な賞が用意されており、それぞれの賞には対応するジャージが存在、ステージ終了時点で各賞の成績第1位の選手、およびチームはジャージを着用して次のステージのレースに挑む。

ツール・ド・フランスでは各ステージの所要時間を加算し、合計所要時間が最も少なかった選手が総合優勝者となる。各ステージ終了後、初日からの累積タイムが最も少ない選手が総合首位(マイヨ・ジョーヌ)として表彰を受け、また全21ステージを通して最も少ない総合累積タイムを記録した選手がツール・ド・フランス総合優勝に輝く。

ABEMAではレース初日となる7月1日(土)の第1ステージと7月2日(日)に行われる第2ステージを無料生中継。レース委員長が「初日コースとしては史上最難関」と断言する第1ステージでは、獲得標高差3,300mにも至るスペインのビルバオ起点の大きな周回コースが選手たちを待ち構える。また、第2ステージでは、2日目にして本大会最長となる200km超えのステージとなっている。なおABEMAでは7月23日(日)の本大会終了時まで、第1・2ステージの見逃し配信や全ステージのハイライト映像がいつでも無料で閲覧可能。

■「ABEMA」 「ツール・ド・フランス2023 第1ステージ」 放送概要
区間:ビルバオ ― ビルバオ(182km)
放送日時:2023年 7月1日(土)よる7時5分~深夜1時45分
URL:https://abema.tv/channels/world-sports-3/slots/CDd1PrDmtSUemm

Cycle*2023 ツール・ド・フランス 第1ステージ | 新しい未来のテレビ | ABEMA
Cycle*2023 ツール・ド・フランス 第1ステージ | 新しい未来のテレビ | ABEMA

■「ABEMA」 「ツール・ド・フランス2023 第2ステージ」 放送概要
区間:ビトリア・ガスティス ― サン・セバスティアン(208.9 km)
放送日時:2023年7月2日(日)よる8時55分~深夜1時30分
URL:https://abema.tv/channels/world-sports-3/slots/DAYchLv3NtsTKd 

Cycle*2023 ツール・ド・フランス 第2ステージ | 新しい未来のテレビ | ABEMA
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