様々な体調の変化に悩まされるという更年期障害。男性でも重症化する可能性があり、「国を揺るがす経済損失に繋がりかねない」と言われている。こうした状況への対策について、『ABEMAヒルズ』に出演した東京都立大学・法学部准教授で政治学者の佐藤信氏とともに考える。
去年3月、厚労省は初めて「更年期に関する意識調査」を実施した。その中で「更年期障害と診断された、もしくは更年期障害の可能性がある」人は40代女性で31.9%、50代で47.4%だった。また、40代男性でも9.7%、50代は16%が該当するという。
更年期症状については、支援をする企業も増えてきているようだ。野村不動産は“エフ休暇”と呼ばれる女性の生理休暇を改定。更年期も含めた女性特有の体調不良に利用できるようにした。また、アイシンやJALは更年期症状の相談や漢方薬の処方をしてくれるオンライン診療(ルナルナオフィス)を導入している。
更年期症状をめぐる支援の状況について、佐藤氏は以下のように指摘する。
「各企業ベースでの対策が進められているし、国ベースで見ても、育休などで家庭が抱える難しさを社会で配慮していこう、というのがトレンドになっている。ただ、更年期症状などの個人のプライバシーを周りの人たちに明かして理解を求めるのは辛いことでもある。支援を制度化、法制化によって定めていけば、会社もそれに従えばよいし、個人にとっても使いやすくなる」
一方、厚労省が行った調査によると、更年期の自覚症状があっても40~50代女性で約8割、男性では約9割が受診しなかったという。最も多い理由が「医療機関にいくほどのことではないと思う」というものだ。
昭和大学医学部の有馬牧子准教授は「気の持ちようだと思うなど、間違った認識を持つのはよくない。女性であれば婦人科、男性であれば泌尿器科など、受診することが大事」と指摘している。
この状況を受け、佐藤氏にどのような政策的支援が考えられるかを聞いた。
「欧米などでは厳しい更年期症状を和らげるための『ホルモン補充療法』というものがあるそうだ。日本では自由診療で保険適用外なのだろうが、そこを保険適用にするなどの政策を考える余地はあるのではないか。
更年期に関する調査の背景には、経済的な損失という課題があるのかもしれないが、更年期症状を抱えるのは働いている人だけではない。根本的には『well-being』の問題であり、本当に苦しむ人たちがいて、それに対応する手段があるのにも関わらず提供できない状況は問題だと思う」
(『ABEMAヒルズ』より)
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