「渉が大人になっちゃったように見えるのでは？」声優・宮瀬尚也＆涼本あきほが語る繊細な役作り【夢見る男子インタビュー】

　2023年7月3日（月）よりHJ文庫（ホビージャパン刊）の「夢見る男子は現実主義者」のTVアニメが放送されている。

　とある出来事を機に、クラスメイトの美少女・夏川愛華（なつかわあいか）と両想いになるという夢が醒めてしまい、現実主義者となった主人公の佐城渉（さじょうわたる）。それまでの熱烈なアプローチから一転して、普通な自分には愛華は不釣り合いだという現実を受け止めた渉だったが、急な態度の変化に愛華は戸惑いを感じてしまう。

　そんなすれ違いがコミカルかつ繊細に描かれる青春ラブコメにて、渉役を演じた宮瀬尚也と愛華役の涼本あきほにインタビューを行い、お互いの気持ちに気付けない2人を演じる上でどのような点を意識したのか尋ねてみた。

――渉と愛華が何気ないやりとりですれ違ってしまう繊細さが印象的な作品ですが、それぞれの想いや思惑を踏まえた上で、役を演じる際に意識したポイントはどんなところでしょうか？　

宮瀬：僕たちは客観的に全体が見えているので全部わかっているのですが、渉を演じる上では、自分のことには盲目という意識を持ちつつ、ほかの人のことをしっかりと観察しようと思っていました。アフレコ現場でも演じられている方がどういう素振りで演じているのかを観察しつつ、マイクの前でどう体を動かしているのかなど繊細に感じ取るようにして。

――なるほど。渉は自分のことを普通だと思う分析がそもそもズレているんですよね。

宮瀬：渉は作中で達観しているようにすべての物事を見ているのですが、自分のことはよくわかっていないくせに他人には的確なアドバイスができていて。そこまで言えたら自分のこともわかるだろ……と、こっちからしたら思うんですけど（笑）。

――ちょっとズレた視点なのが渉の面白いところですよね。涼本さんはいかがでしょうか？

涼本：私も勉強という意味でまわりを見させていただいていましたが、皆さんすごく優しい方々で、温かく包まれながらアフレコをしている感じでした。

――愛華と同様に、アイドル的に囲まれているイメージが浮かんでしまいます（笑）。

涼本：たしかに（笑）。それを見て余計に渉が……

宮瀬：「自分がいないほうが愛華にとってよかったんだ！　俺が邪魔だったんだ！」って思ってしまう（笑）。

涼本：「そうじゃないのに！」っていう（笑）。

――1つの出来事に対して、渉視点と愛華視点では捉え方が違ってきて、結果すれ違ってしまいますよね。

涼本：愛華ちゃんを演じる上では、（渉との）駆け引きと言いますか、そういうところを意識していました。（現実主義者になる前の）渉が愛華のちょっとした隙を見つけては「それってこういうこと!?」と自分にとって都合のいい解釈をするたびに「違うってば！」とツッコむような関係性だったものが、急に渉が一歩引いてしまったことで愛華自身は「あれ？　おかしい」と感じつつも、また隙を見せたら調子に乗せてしまうかも……という思いもあって。

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――愛華のそんなもどかしい心情が、本作の魅力の1つだと感じます。

涼本：なのでセリフを言う時は常に、渉に対して甘くなりすぎず、かつ嫌われないように距離をヘタに遠ざけないようにする……という意識でした。渉はこれまでの夢見がちで恋に盲目になっていた状態から、タイトル通り現実主義者として振る舞うようになりますが、愛華から見たら一気に渉が大人になっちゃったように見えるのではないかと思っています。先に大人になろうとしている渉に置いていかれないようにする……という部分も意識していた感じですね。

――なるほど、その変化に戸惑うがゆえに、一般的にツンデレと言われる言動の中に繊細さがにじみ出てきてしまうと言いますか。

涼本：そうですね。「どうしよう……」というある種の不安みたいな感情は、愛華ちゃんのお芝居を考えていく中で、どこかに絶対にふわふわと浮かんでいました。

――原作では愛華の一人称視点も描かれていましたが、アニメではEDの楽曲がそれを意識したような作りになっていますよね。

涼本：めちゃめちゃ可愛いですよね！　ツンとデレだったらデレ寄りの愛華ちゃんが「どうしたらいいんだろう……」と戸惑う気持ちも楽曲に込められていて。全体を通してずっと愛華ちゃんが可愛らしいので、ぜひフルで聴いてほしいです（2023年8月2日（水）発売）。

宮瀬：愛華の繊細な部分や内面が歌になっていて、ツンとした言動に悶えている人ほどハマってしまう楽曲だと思います！　しかもアニメのアフレコの前にレコーディングをしていたのに、しっかりと愛華を演じ切っていて初めて聴いた時は感動しました。

涼本：わぁー！　ありがたい！

宮瀬：OP曲も一緒に、ぜひ聴いてください！