HJ文庫(ホビージャパン刊)の「夢見る男子は現実主義者」がTVアニメ化され、2023年7月3日(月)から放送中だ。本作は主人公の佐城渉(さじょう わたる)がクラスメイトの美少女・夏川愛華(なつかわ あいか)と両想いになる夢を叶えるべく日々熱心なアプローチを続けていたものの、とあるきっかけからその夢が醒めてしまう。自分とは釣り合わないという現実を見て、愛華から距離を取ろうとする導入から始まる物語だ。
また、アニメ化に際して静岡県浜松市が作中のモデルに選ばれ、TVアニメには市内の風景や観光名所が登場することも話題となっている。
現実を見て一歩引いた立場から愛華をアイドルのように奉る渉と、突然の態度の変貌に呆然としつつも戸惑いを隠しきれない愛華の繊細なすれ違い模様が、「両片想い」の青春ラブコメとしてポップに描かれる本作。それまでの盲目的なアプローチから一転した渉の現実主義者としての心境は、愛華をはじめとしたほかの登場人物には見えない。愛華自身、渉に対するもやもやとした感情を具体的に意識として自覚できていないことで、視聴者としても2人のやり取りが気になってしまう。
渉役を演じる宮瀬尚也と愛華役を演じる涼本あきほに、インタビューを実施して演者の立場からそれぞれのキャラの心情について話を伺う。涼本は「愛華から見たら一気に渉が大人になってしまったように見えるのではないか?」と分析。宮瀬は「すべての物事を達観したように見ているので人に対しては的確なアドバイスができても、自分のことはよくわかっていない」と渉について語る。
宮瀬の言の通り、渉は愛華の親友の芦田圭(あしだ けい)や風紀委員長の四ノ宮凛(しのみや りん)といったほかの女性キャラとのやり取りの中で、的確なアドバイスをしつつ交流をしていく。そんな渉に対して、もどかしい感情を抱えてしまう愛華はついついツンとした態度を取ってしまう。どこか大人になったような視点の持ち方と自身の感情の整理がつけられないさまは、同世代はもちろん、すでに大人になった人が見ても共感できる部分が多いはずだ。
涼本からは若い世代の視聴者に向けて「アニメではあるけれどアニメっぽくないと言いますか。ひとり一人にフォーカスを当てるとそれぞれがちゃんと考えを持っていて、ツンデレという言葉だけでは表せないくらい、いろいろ考えて思い悩んでしまう部分に、同世代の方は共感できるのかなと思っています」と語る。
「片想いをしている人の後押しになるような作品になれば」と続け、かつて学生だった大人世代に向けても「大人になったからこそわかる、遠慮してしまうがゆえの距離の開き方を温かく見守りつつ応援してもらって、いろいろな面で楽しんでいただければと思います」とまとめてくれた。
宮瀬にもメッセージをもらおうとすると「夢見る男子! 恋愛をしているといろいろな恋愛があります!」と力強い呼びかけが。涼本からは「校長先生!?」というツッコミが入りつつ「いろいろな恋愛模様や駆け引き、そして家族模様もリアルに描かれているので、心情に注目していただいて、それを自分のことのように感じてもらえれば、人生経験も増えると思っています」と熱いエールを若い世代に呼びかけてくれた。
さらに「大人の方たちもご自身の青春時代のことを思い出していただければと思いますし、そんな青春はなかった! という人でも「こんな恋愛がしたかった」という夢を見ることができる作品なので、細部まで注目していただければと思います」とコメント。涼本も共感して「学生の時にこの作品を見た人は、のちのち大人になったときにも見返してみてほしいです。自身の感じ方も変わっていると思うので」と合わせる。
青春ラブコメとしてポップな作風で楽しめる「夢見る男子は現実主義者」。浜松市をモデルにしたリアルな舞台で描かれる、等身大の悩みを抱えた登場人物たちの心情に注目してほしい。
「夢見る男子は現実主義者」
7月3日(月)26時より、テレビ東京系ほかにて放送中
【公式HP】https://yumemirudanshi.com/
【Twitter】https://twitter.com/yumemiru_anime
【ネット配信】https://abema.tv/video/title/189-53
(C)おけまる・ホビージャパン/『夢見る男子は現実主義者』製作委員会
取材・テキスト・写真/kato