アメリカ・ハリウッドで俳優16万人の組合が、配信作品での待遇改善やAIをめぐる規制について製作会社側と対立し、43年ぶりにストライキを決行した。
【映像】俳優組合会長の女性「恥を知れ!」 ハリウッドのストライキ
「財政が厳しいと演じ、経営陣には何億ドルも支払い自分の首をしめている。うんざりだ!恥を知れ!」(全米映画俳優組合・フラン・ドレシャー会長)
ハリウッドでは既に脚本家組合がストライキに突入し、スタジオの8割が閉鎖されている。俳優組合との同時ストは63年ぶりで、配信ドラマなどの製作は全面的にストップする。
組合側は、作品の視聴数に応じた報酬体系を求めているほか、AIが許可なく俳優の肖像を学習しないよう規制を訴えている。
このニュースについて、現在ストライキ中の労働組合に加入しているテレビプロデューサーのデーブ・スペクター氏に話を聞いた。
「(俳優組合には)16万人が加入しているので大きな影響力があるだろう。完全に脚本家と俳優の仕事が止まってしまう。その理由は、脚本家のストライキも解決していないからだ。エンターテイメント業界には多くの組合があり(互いを)理解し合って協力する気持ちが強い。脚本家も(合意が)決まらないし、役者も主張している条件が(契約に)乗っていないということで合わせてストライキを決めたのではないか。
下っ端の役者はストライキの影響で食べていくことができない。収入も入ってこないので深刻な事態ではある。以前は『チケットの売上げ』『地上波の視聴率』など、目でわかる数字があった。しかし、『配信』になると見えない部分が出てくるので“十分な配当”がもらえるのかという不安がある」
『ABEMAヒルズ』に出演したノンフィクションライターの石戸諭氏は「同じような問題は日本でも起こる可能性はある」と指摘する。
「この問題は突き詰めていくと、今までのメディア環境とは違う形で伸びている事業があるときに『自分たちの収入ってどうなるんですか?これまでと同じでいいんですか?』という話だ。自分たちの労働環境を守るとき“組合”を作り、声を上げるというのは有効な方法だ。同じ問題に直面したとき、団結して求め、数の力で動かすことの大切さがわかる。
サブスクの時代になって収益が配信事業者、映画会社側に偏っていくのではという疑念も、問題の複雑化につながっているのではないか。配信技術を整備して視聴者に届けていくことにも労力がかかるとは思うが、“作品”も大事だ。出演者や脚本家などの作り手にもしっかりと透明な形で収益を配分していくことが求められてくる。いずれ日本でも同じ問題が起きるのではないか」
(『ABEMAヒルズ』より)
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