「立候補年齢を引き下げて」国を提訴した若者にパックン「反対ではないが…実生活の経験を積んで政治家に」
【映像】パックン「経済を知らない人に政治家になってほしくない」

 19〜25歳の男女6人が10日、選挙に立候補できる年齢が25歳以上もしくは30歳以上に制限されているのは、憲法違反だとして国を訴えた。

【映像】パックン「経済を知らない人に政治家になってほしくない」

 現在、地方選挙の被選挙権の年齢は、都道府県議会議員、市区町村議員、市区町村長が満25歳以上、都道府県知事が満30歳以上となっている。今回の提訴についてTwitterでは、「引き下げは賛成だけど、若さだけを売りにしないで欲しい」「やはり政治家には社会経験が必要」「何でもかんでも差別というのは戦い方が違う」など賛否の声があがっている。

ABEMA Prime』では、「被選挙権年齢を下げる意義」について、原告団の2人と共に考えた。

■被選挙権、何歳にする?

 原告たちは、今年の春、統一地方選挙で立候補を届け出たが、年齢を理由に受理されなかった。原告の一人で、児童養護施設で育ち、現在は養護施設の支援活動を行う吉住海斗氏(23歳)は「ファーストキャリアの選択肢に政治家がないこと」「被選挙権が25歳である一方で選挙権は18歳と乖離があること」に異議を唱えるために、「CindyOn」代表のChico.氏(23歳)は「政治家=男性のエリートという印象を変えるため」「若い世代が投票したいと思えるロールモデルを作るため」に声をあげたという。

 Chico.氏は「被選挙年齢を18歳にするべきだ」と主張する。

「ロールモデルとなる存在はすごく大事だ。同年代の方が出てくることで、自然と自分事化されて『もしかしたら政治家になれるかもしれないし、頑張ろう』と考えられるようになる。まずは1人、2人と積み重ね、そういった人たちが実績を作っていくことで、他の人たちも入りやすい道を拓くことが大事だ」

 これを受けてパックンは「僕は引き下げに反対ではない。だが、政治家になるには実生活の経験が必要だ。経済を知らない人に政治家になってほしくない。子育てを知らない人に子育て政策を決めてほしくない。保険金を払ったことない、(奨学金やローンなどの)借金を負ったことがない人もいる。実生活の経験を積んでから、ぜひ政治家になってほしいと、ほとんどの有権者が思っているはずだ」と懸念を示した。

 自身も被選挙権年齢引き下げのために署名活動や政策提言に関わったというNPO法人「あなたのいばしょ」理事長の大空幸星氏は「“世の中を知っている政治家”が作った今の日本をうまくいっていると思っている人はあまりいない。だからちょっと違う価値を入れていいと思う。吉住さんが過ごしていた、児童養護施設はもちろん充実している部分もあるが、本当に理不尽だ。きっといろんな苦労があって、乗り越えて今ここに座ってらっしゃる。大人の実生活と比較しても劣らないではないか」と考えを語った。

 では、「18歳」という年齢は適切だろうか。大空氏は「18歳で、政治家になりたいと思えるような人は、基本的には高度な幼児教育を受けている人、留学経験がある人、有名大学に入っている人が多いことは事実だ。だから18歳となると、ごくごく一部の人に限られてしまうという懸念はあると思う」と述べた。

 被選挙権年齢を下げることで、世襲を視野に入れる人が有利になるのではないか。パックンは「もし、引き下げることに成功しても、ひときわ若い層では世襲制で名のある政治家の子どもや、芸能活動などのおかげですごい知名度が高い人が選ばれるかもしれない。被選挙年齢を下げることは有意義だが、年齢制限をなくせば全てが対等・公平になるわけではない」と指摘した。

 Chico.氏は「年齢制限を引き下げたことで、平等になるとは思っていない。そもそも私たちは、立候補という行動ができないところに不平等感を持っている。スキル・経験が足りないなどに関しては有権者が決めることだし、立候補する人たちが、経験を積んで努力をしていくべきだと思う」と述べた。

■「自分は大人たちをすごく信じている」

 被選挙年齢を下げられたとしても、20・30代の人口を合わせても60歳以上のほうが多いという現実がある。「数の論理」で考えると若者の声を届け、反映させることは難しいのではないか。

 大空氏は厳しさを認めつつも、「ルールや制度を作っている人は全員年上だが、同じ年代の人たちが作った制限を享受する、フラットにしていくという議論には価値がある」と述べた。

 吉住氏は「20代は大人の心を動かせないのだろうか。いや、自分は動かせると思っている。それに、自分は大人たちをすごく信じている。自分自身いろんな経験があって、様々な大人たちと出会ってきて、『分かってくれる人はこんなにいるんだ』と実感した。自分が正しく声をあげて、それを正しく伝えればきっと届くし、それは若いから若い人に刺さるだけじゃない効果があると思っている。まず声をあげるための土台を作っていきたいと本気で思っている」と決意を語った。

(『ABEMA Prime』より)

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