スペインのマラガ大学の研究者がアメリカと中国の間で「宇宙戦争」が起きた場合のシミュレーションを発表した。
この研究によると、両国の人工衛星の約10%、合計で250基の人工衛星が破壊された場合、1センチ以上のスペースデブリ(宇宙ゴミ)が2550万個発生することが判明した。
宇宙戦争が1年で終わり、破壊された衛星に代わる新たな衛星が打ち上げられたとしても、戦後40年ほどで人工衛星の数はゼロになってしまうという。これは、戦争で大量に発生したスペースデブリが戦争で生き残った人工衛星に衝突し破壊、スペースデブリの量が指数関数的に増加するためだという。
「宇宙戦争」で人工衛星が破壊されると、どのような影響が起きるのか。『ABEMAヒルズ』では、化学者で発明家の村木風海氏に話を聞いた。
「たった250基が破壊されるだけで、人類は二度と宇宙に行けなくなってしまう。“ケスラーシンドローム”といって、宇宙ゴミが一定の閾値を超えてしまうと、無限に止まらないビリヤード状態になり、ロケットを打ち上げた際にゴミに当たって宇宙に届く前に爆発することもある。宇宙に行けなくても地球で暮らせたらいいと思うかもしれないが、宇宙戦争が起きると地球で暮らすのも難しくなる。人工衛星が使えなくなると、GPSが使えないのでカーナビやマップアプリなどが使えなくなる。飛行機のナビゲーションにも影響が出るため、太平洋を横断するような旅行も困難になる。また、気象衛星も使えないので天気予報にも影響が出る」
スペースデブリは、宇宙戦争の当事国だけでなく他国の衛星も破壊する。そうならないためにはどうしたらいいのか?
「核戦争の相互確証破壊と似ている。核兵器を保有する国同士のどちらかが核ミサイルを撃った場合、核ミサイルで反撃され、どちらの国も滅び、地球も滅ぶ。人工衛星を破壊しても同じことが起きる。自制心が必要だ」
すでに宇宙にはスペースデブリがあると思うが回収することはできないのか?
「日本に宇宙ゴミを集めるベンチャー企業があって、宇宙ゴミをキャッチする新しい人工衛星を開発する研究が進んでいる。技術的に難しいが、回収はキャッチするだけでなく、電気的に引き寄せる方法などがある」
(『ABEMAヒルズ』より)
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