大阪・関西万博 海外パビリオンの建設申請ゼロ 誘致した竹本直一元議員「苦労があって初めて立派になる」
【映像】1970年は「月の石」も 過去の万博とその“目玉”
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 開催まで2年を切った「大阪・関西万博」。しかし、7月に入り進捗に懸念を示す声が上がっている。

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 参加する153の国と地域のうち、約50が独自のパビリオンを建てる予定だが、必要な建設申請が未だにゼロであることが判明。関係閣僚の会見では、「期日どおり開催できるのか?」という質問も出た。

 Twitterでは「経済の起爆剤どころか、衰退を実感する万博になるかも」「もう日本に万博を開催する能力はない」「いま中止すれば、傷は浅くて済む」など、懸念や中止を求める声が強くなっている。

 果たして中止や延期は選択肢にあるのか。そもそも万博は日本に必要なものなのか。大阪・関西万博の誘致と推進に携わってきた、元IT担当大臣で今は自民党の万博相談役を務める竹本直一氏に聞いた。

■竹本氏「延期はないと思う」

 海外パビリオンは当初の計画では、2022年には設計が終わり、2023年4月に敷地の引き渡し、本来であればもう建設工事に入るタイミングだ。そんな中で建設に必要な申請が1件も出されていないと現状について、竹本氏は「驚きだ。物価と人件費の高騰、そして人手不足もある。ただ、延期はないと思う」とコメント。

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 また、約6400万人が来場した1970年の大阪万博を振り返り、「最初は通産省の貿易局長をやっていた人を事務総長に据えて、関西財界だけでやろうという気概があったが、そううまくいかなかった。企業が集まらなかったのでどうしたかというと、後に東京都知事になられる鈴木俊一さんを事務総長に、経団連会長の石坂泰三さんを万博協会会長に据えた。そうして急速に勢いがつき、大成功。最初から御の字ではなかった。今回の遅れというのは、そういう意味で同じような苦労があって初めて立派な万博になるのではないかと思っている」との考えを述べる。

 関西経済連合会の会長は「箸にも棒にもかからないような国がある」「撤退する国も出てくるのではないか」と発言。また、建設費増大や、運営コストが当初の想定を超えるなどの懸念もある。

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 竹本氏は「従来の仕組みでは対応しきれない変化はありうる。公共事業でも価格改定をやっている。それぐらいのことをやる腹がないとイベントは完遂できないと思う。だが、過去の例から見ても、なんとかこなせる範囲内ではないか」と述べた。

■万博は“オワコン”? 今博覧会のレガシーは

 万博開催に“心配派”の作家・ジャーナリストの山田順氏は「僕はこの前『万博はもうオワコンだ』と記事を書いた。若い人が行く世界的なイベントは他にもいっぱいある。例えば、最先端の家電ならラスベガスのCES、ヨーロッパではスタートアップが集まって先端技術を見れる『Slush(スラッシュ)』がある」と指摘。

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 元経産官僚で制度アナリストの宇佐美典也氏は「今ほど万博が必要な時期はない」と期待を寄せた上で、「世界的には脱炭素、日本的には人口減少という課題に対して、“世界も日本もやっていける”ということを技術的に証明する。ただ、それに見合ったイメージを打ち出せているだろうか。“いのち輝く未来社会のデザイン”だとふわっとして伝わってこない。どういう課題を設定しているのかを、大阪も国も伝えきれていないことが問題だ」と述べる。

 竹本氏は「大きい会場で一堂に会して見せるところに感動が湧く。世界の若者が集まり、健康をどうするか、長寿をどう確保するか、幸せをどうするか、という議論を真剣に戦わせる場が実現すれば、1つのレガシーになると思う」と答えた。

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 予算は国と自治体と経済界で3分の1ずつだ。つまり税金が入っている。山田氏は「ここまできたらお金に見合うことをやらないと、失敗した時に税金で負担しないといけなくなる。これからは防衛費の増強、さらに増税もある。それに万博失敗のツケも払わされると、国民としてはたまったものではない」と苦言を呈する。

 竹本氏は「1990年に大阪で花博をやった。4月は花がたくさんあったが、5月の中頃には暑さで枯れてしまい、“花のない花博”になった。休止協議を1週間やったが、ある人が『関西には芸がある』と。“踊りがある、書道がある、絵描きがある。それを見せよう”と。いざやってみるとこれが当たった。次の大阪万博より下のランクだったが、なんと2400万人も来場した。3000人が参加する盆踊りが毎日あり、それで人数を稼いだ。最初は知恵がなかったが、どこかから出てくる。万博がある6カ月という期間では必ずそういう場面が訪れる。愛知万博も最初は盛り上がらなかったが、途中からグッと上がってきた。論理的ではないかもしれないが、経験から言うとそういうこともあり得る」と話した。

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 入場料が7500円(大人)という価格設定は、過去の万博よりも高く「妥当なのか?」という声がある。竹本氏は「花博の時もそうだが、参加意識を持たせられるようなイベントをやればいいと思う。“何をしてきたの?”“踊ってきた。走ってきた”“じゃあ私も行くわ”と、それでいい。見るだけだと受け身なので、それほど熱狂しない」と指摘した。(『ABEMA Prime』より)

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