「本当にクラスター弾がないとどうにもならないのか」ロシア軍を押し返すために必要? 米がウクライナ軍に供与
【映像】クラスター弾がないと…(議論の様子)
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 ホワイトハウスは20日、アメリカが供与したクラスター弾をウクライナ軍が使ったことを明らかにした。ワシントン・ポストによると、ロシア軍の掘った塹壕を破壊するため、前線で使われたという。ロシア国防省は記者1人の死亡を発表し、さらなる戦況のエスカレートが懸念されている。

【映像】ボロボロになったウクライナの世界遺産(画像あり)

 クラスター弾は、ひとつの爆弾の中に無数の小さな爆弾が詰まっている。使用すると広範囲に被害をもたらす兵器だ。不発弾による民間の被害者も多く、争いが収まったとしても、そこに住む人の恐怖と実害が続く。

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 ニュース番組「ABEMA Prime」に出演した、NPO法人「テラ・ルネッサンス」創設者の鬼丸昌也氏は「クラスター爆弾は、高い確率で不発弾になる」と話す。

「いわゆる親爆弾が降りてきて、中に入った子爆弾が破裂する。子爆弾は80個から最大300個も入ってる。爆発した後に、中の金属片が周辺に飛び散る。一説では、サッカーコート3面ぐらいの広さに、欠片が飛び、多くの人を傷つけるといわれている。高い確率で不発弾になり、戦後復興を妨害していく。卑劣で、危険度の高い非人道的な兵器だ」

 オスロ条約で生産や使用が禁止されているが、アメリカやウクライナ、ロシアは加盟していない。ロシアは使用を否定しているが、国連などは「侵攻当初から使用」と指摘。また、ウクライナ軍も同様に否定している。

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 鬼丸氏は「不確的な情報も多いかもしれないが、ロシア・ウクライナは両軍とも、ほぼ確実に使っていると思う。我々の立場からするとどちらも非難されるべき対象だ」と話す。

 現地を取材してきた、ジャーナリストの村山祐介氏も「あちこちで被害がある」と明かす。

「最初に大きく報じられたのは、ウクライナのクラマトルスクだ。激戦地であるバフムートに近いエリアで、避難した人たちが集まる駅に攻撃があった。少なくとも58人が亡くなって、100人以上がケガをする大惨事だった。この時にクラスター弾が使われたと言われている。3月に街に行って担当者と話をしたが『先日も攻撃され、家屋や壁が破壊。建材が全く足りない』と言っていた。広い範囲にわたって、被害が起きている」

「一方で、NGO団体の調査では『イジューム(※東部ハルキウ州の市)でウクライナ軍が使用したのでは?』というレポートが出ている。どちらの軍が使ったのかは分からないが、クラスター弾の特徴を強く示唆するような被害が出ている。私が取材しただけでも、ハルキウ、イジューム、クラマトルスク、ヘルソンなどで確認している」

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 その上で、村山氏は「決まっていたはずの『使ってはいけない』という一線がうやむやになっている」と指摘する。

「クラスター爆弾は、オスロ条約に代表されるような、十数年にわたる規範化があって、絶対的に使ってはいけない線を引いて、それを作り上げてきた。今回、アメリカは『非常に難しい判断だった』と言っている。彼らの説明を平たく言うと『クラスター爆弾を供与しないより、供与するほうが被害は小さくなる』だ。当事者が『こっちの方がマシだから』と、自分たちの判断で、非人道的な兵器の供与に踏み込んでしまった」

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 今回の供与について、アメリカは「一時的なもの」としている。一方で、ベトナム戦争では、ラオスにはクラスター弾を含む約2億7000万個の爆弾が投下され、現在も撤去に苦戦している。その後、オスロ条約が締結されたが、NATO31カ国のうち8カ国は非加盟のままだ。

 果たして、クラスター弾を使わないと、ロシア軍を押し返せないのだろうか。村山氏は「データをもっと示して、検証するべきだ」と訴える。

「戦争をどう止めるか。今は『クラスター弾を使わないとウクライナの被害が大きくなる』という理屈に基づいているが、本当にそうなのか。本当にどうにもならないのか。情報を鵜呑みにせず、みんなが検証できる環境を作るべきだと思う。クラスター弾のような、後世に禍根を残す兵器を使うべきではない。一人ひとりもそうだし、国際世論がもう少しこちらに向かって動くべきだと思う」

 クラスター弾に代わる方法はないのだろうか。

「それは分からない。判断する材料が私自身にもない。誰でも見れるような形でデータが提供されていると思えない。戦争は外交や情報戦が並行して行われる。外交では、グローバルサウスの国々をどのように自分の側に引き寄せるか。あるいは中立的な立場でいてもらうか。非人道的な兵器を使うか・どうかが、一線になっている。だから、ロシアもウクライナも自国でクラスター爆弾を使ったと言いづらくなってきた。この武器で民間人の死者がどんどん出てきた時、ウクライナに向けられていた国際社会の視線はどうなるのか。欧米やアメリカ、ヨーロッパの国際世論がどうなるか。反対の声が高まっていくと、それぞれの国の政策にも影響を与える。強制力があるわけではないが、声をあげることが今できることの一つだと私は思う」

(「ABEMA Prime」より)

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