1日、関東を襲ったゲリラ雷雨。視界を遮るような雨に街ゆく人はずぶ濡れ、多くの人が足止めを食うことに。また、この影響で工事現場の足場が倒壊。倒木被害なども発生している。そして、さらに怖いのが落雷だ。
SNSでは「雷が落ちてきた影響で傘がバラバラになった」という投稿が話題となり、不安の声が相次いだ。また、落雷の影響で都内では一時5000戸以上が停電となり、この暑さの中、クーラーもつけられない状況となった。
大雨・強風・雷。多発する災害から私たちはどう身を守ればいいのか。『ABEMA Prime』では防災アドバイザーの高荷智也氏に話を聞いた。
■雷からの正しい身の守り方
━━ゲリラ雷雨で関東を中心にさまざまな被害が出た。こうした被害をどのように見ているか。
統計上、大雨による被害の数と規模は年々深刻になっている。そのため、「自分は多分大丈夫だろう」ではなく、「自分にもこういうことが起きたらどうしよう」と考えてほしい。
━━1日、東京・千葉一部のエリアに「10分間に763回も落雷」があった。そうした中、SNSに「家族が『雷に打たれた』。火傷などはないが、傘がバラバラに。病院に連れて行くべき?」という投稿が。これについてはどうか。
雷に打たれて無事だった可能性もあるが、自分の近くに落ちた雷の衝撃で傘が壊れた可能性もある。いずれにせよ、病院で診てもらった方がいい。
━━雷が直撃した場合、心肺停止や熱傷(やけど)、意識障害によって死亡率は約70〜80%(提供:フランクリン・ジャン)となっているが、雷が直撃した時に生死を分けるものは何か。
雷に“正しい打たれ方”はない。生死を分けるのは運だ。そのため、まず考えるべきは「雷に絶対打たれないような立ち回り」だ。雷が鳴り始めたらとにかく建物の中に入って雷に打たれないことを最優先にしてほしい。
━━建物ではないが、車の中は安全なのか?
オープンカーはダメだが、屋根がついている乗り物の中にいれば、雷が落ちたとしても電流がボディを伝わって人を介さずに流れていくので安全だ。ただし、気になるからといって窓に顔をつけて外の様子を伺うのは控えた方がいい。
━━屋外にいて、なおかつ近くに逃げ込める建物がない状況下において、最も気をつけるべきポイントは。
まず、「自分が周りで一番高い存在になる」ことを避けるべきだ。雷は相対的に周りにあるものの中で一番高いところに落ちやすい性質がある。周りの中で自分がナンバーワンになるのを避けること、これが第一だ。
━━近くに木がある状況下では、どの位置に立てば雷に打たれにくい、あるいは、近くに落ちた雷の影響を受けにくいのか。
雷が鳴っている状況は基本的には大雨が降っているので、木の下などで雨宿りしたくなる。その場合、雷は木に落ちてくれるが、地面に向かって下に流れた雷が木より電気を通しやすい人間にジャンプして流れることがある。これを側撃雷という。
側撃雷を防ぐために、まずは背の高い木から4メートル離れてほしい。ただし、離れすぎると木ではなくて自分に直接雷が落ちるので、木のてっぺんが斜め45度に見える範囲内で、かつ4メートル離れた場所に移動してほしい。これは「保護範囲」と呼ばれ、直撃も側撃雷の被害にも遭わない。
━━近くに電柱があった場合は。
電柱そのものは木と同じ理屈で、4メートル離れるべきだ。その上、電線の真下は安全で保護範囲になる。ただし、大雨が降っている中、電線の真下で待つのは難しい。やはり建物に入ったり、車に乗ることを第一優先にするべきだ。
━━戸建ての建物の場合、クーラーなどの電化製品を使わない方が家に落ちにくいのか。
電化製品は使っても大丈夫だ。強いて言えば、雷が建物、もしくは周りに落ちた時には、自宅の電線を使って家の中に電流が入ってくることがある。その時に当然ながら、コンセントに挿さっている家電にも電流は流れ、壊れる可能性はある。呼び寄せることはないが、壊れる可能性はあるので、万全を期すならばパソコンなども含めてコンセントを全部抜いた方が安全ではある。
■雷対策、よくある誤解
━━「金属製品を身につけていると落雷に遭いやすい」「長靴などのゴム製品があれば安全」という声もあるが。
雷が落ちる際には素材ではなくて高さが重要になる。金属を持っているかどうかはあまり関係なく、全身鎧を着ている方も、毛皮でモコモコの方も、結局雷が落ちるのは背が高い方ということになる。ゴム製品に関しても、家庭のコンセントの100ボルトぐらいの電圧であれば絶縁できるが、雷は数百万ボルトから数億ボルトぐらいの電圧になるため、ゴムを貫いて、結局自分に電流が流れてしまう。
(『ABEMA Prime』より)
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