多くの選手が“輝ける”舞台へ―― 幾多の“波乱と試練”を乗り越えて成長する「3150FIGHT」本格スタートから2年の歩みと未来
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 エディオンアリーナ大阪第1競技場で11日に開催される「3150FIGHT vol.6~世界を殴りに行こうか!~」が目前に迫ってきた。元世界王者の亀田興毅ファウンダーが立ち上げた新しいボクシングイベント「3150FIGHT」は本格スタートから2年。数多くの試練を乗り越え、大きく成長を遂げた「3150FIGHT」はいったいどんな未来を描いているのだろうか。

 「3150FIGHT」には「波乱」の二文字がよく似合う――。

 試合のわずか2週間前のアクシデントだった。8月11日のメインイベントに予定されていたIBFミニマム級世界タイトルマッチ、暫定王者の重岡銀次朗(ワタナベ)と正規王者のダニエル・バラダレス(メキシコ)との一戦がまさかの延期となった。この発表に多くのファンが「またしても…」と驚いたのではないだろうか。

真っ先に思い起こすのは4月16日に代々木第二体育館で開催された「3150FIGHT vol.4」だ。このときは銀次朗の兄、優大が挑戦する予定だったWBCミニマム級王者のパンヤ・プラダブスリ(タイ)がインフルエンザを発症。試合2週間前にタイトルマッチ消滅のピンチに直面した。

普通ならあきらめてもおかしくないところ、亀田ファウンダーは急きょニューヨークに飛んで代役の候補者と交渉。最終的に元WBOミニマム級王者のウィルフレド・メンデス(プエルトリコ)の来日が決定し、WBCの承認も得て、優大の世界タイトルマッチは無事に行われたのである。

「3150FIGHT」はどんな厳しい状況にあっても絶対に弱音を吐かない。それは亀田ファウンダーが「3150FIGHT」を設立したときから持ち続けるスピリットだった。

多くの選手が“輝ける”舞台へ―― 幾多の“波乱と試練”を乗り越えて成長する「3150FIGHT」本格スタートから2年の歩みと未来
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 2020年に新型コロナウイルスの猛威が世界を包み、ボクシング界は予定されていた興行のすべてが中止となった。ボクサーたちは生きるための糧を失い、引退を余儀なくされた選手が少なからずいた。そうした中で「ボクシング界を何とかしたい」と立ち上がったのが亀田ファウンダーだった。

 もともとボクシングは少子化の影響もあって選手人口が減少しており、選手育成の現場であるジムも指導者の高齢化が進み、運営難にあえぐところも目立つようになっていた。「選手もジムも稼げるようにしたい」。そう考えるようになったのは、ボクシングに育ててもらった元世界王者の亀田ファウンダーにとって自然なことだったに違いない。

 そして多くの選手たちが“輝ける舞台を”として立ち上げた新たなプラットフォームが「3150FIGHT」だった。選手ファーストを掲げ、彼らが「出場したい」とあこがれるイベントにするため、まずはABEMAによる全試合ライブ配信を決定。しっかりしたファイトマネーを用意し、マッチメークや演出面で他のイベントに劣らない中身にすることも約束した。イベント名の3150は「最高」とボクシングの「再興」という意味が込められていることはご存知の方も多いだろう。

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 こうして2021年12月16日、メルパルクホール大阪で記念すべき「3150FIGHT vol.1」が開催された。ボクシングの公式戦に加えて、デビュー前のヘビー級ボクサー、但馬ミツロとかつて日本人初のヘビー級世界王者を目指した西島洋介のエキシビションや、芸人が相まみえるカードもいくつか組まれた。

 産声を上げたばかりのイベントで、スター選手もいない中、エキシビションや芸人の起用は苦肉の策ともいえた。しかし、亀田ファウンダーは「それをきっかけにボクシングを観て、ファンになってくれたらいい」と考えた。一方、こうした内容により、3150FIGHTは「本物志向というよりはエンタテインメント」というイメージを引きずることになる。

 2022年に入ると亀田ファウンダーはJBCのプロモーターライセンスを取得し、イベントのさらなる充実に乗り出した。8月14日には初のアリーナ会場となるエディオンアリーナ大阪第1競技場で「3150FIGHT vol.3」を開催。期待のヘビー級選手、但馬ミツロがプロ2戦で日本ヘビー級王座を獲得した。ただし、最も話題を提供したのは皇治とヒロキングによるエキシビションマッチ。ボクサーライセンスを保持するヒロキングとキックボクサーの皇治の対戦が物議を醸したことで、3150FIGHTはさらにエンタメ色を強める結果となった。

 エンタメはあくまでボクシングに人を引きつける“つかみ”だ。「3150FIGHT」はここから満を持して本格派路線を追求していくようになる。新たに立ち上げた「3150FIGHT SURVIVAL」はここで活躍すれば「3150FIGHT」への出場の道が開けるというセカンドブランド。22年9月開催のSURVIVALでは日本スーパーフェザー級タイトルマッチでダウン応酬の激闘が繰り広げられ、王者の坂晃典に敗れた奈良井翼(RK蒲田)が試合内容を評価されて「3150FIGHT」と専属契約を結ぶことになった。

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 そして23年1月、「3150FIGHT」はvol.4にして初めて世界タイトルマッチを開催する。WBOミニマム級王者の谷口将隆(ワタナベ)の防衛戦、そして無敗ホープの重岡銀次朗(ワタナベ)の世界初挑戦というダブル世界タイトルマッチをメインカードに据えたのだ。

 谷口は残念ながら敗れ、重岡は偶然のバッティングにより王者バラダレスが試合続行不可能となり、無効試合というまさかの結果に終わってしまったが、これまでの「3150FIGHT」とはひと味違う充実したイベントになったことは間違いない。世界戦以外でもWBOアジアパシフィック・スーパーフェザー級タイトルマッチ、王者の木村吉光(志成)と力石政法(緑)の実力者対決は見ものだった。結果は力石の5回TKO勝ち。力石が「3150FIGHT」の舞台で世界初挑戦をすることへの期待が高まった。

 さらに4月には東京に初進出し、代々木第2体育館で重岡兄弟によるダブルタイトルマッチを敢行。前述したように優大の対戦相手が急きょキャンセルになるというトラブルに見舞われながらイベントを無事に終え、暫定ながら兄弟同時世界チャンピオン誕生という明るいニュースをスポーツファンに届けた。

 「3150FIGHT」の知名度は徐々に上がり、いまや全国の多くの選手が「3150FIGHT」への出場を希望している。亀田ファウンダーはこうした期待に応えるために1日2部興行を開催し、別のプロモーターのイベントをサポートする事業にも乗り出した。7月の一力ジム主催興行「あしたのジョーメモリアル」の演出やマッチメークをサポートしたのはその第1弾だった。

 こうして3150FIGHTは23年、ビッグマッチ3大会、SURVIVAL8大会、サポート大会2大会を開催することになった。日本人初の世界ヘビー級チャンピオンを目指す但馬へのサポートなど意欲的なチャレンジは続き、個別選手との契約、アマチュア出身有力選手にチャンスを作る「3150エリート」の設立、国内リングを盛り上げるために海外有力選手との契約など活動の幅は着実に広がっている。

 チャレンジし続ける「3150FIGHT」は今後もトライ&エラーを繰り返しながら成長していくことだろう。「3150FIGHT」が打ち出す次なる一手に注目が集まる。 

3150FIGHT vol.6 | 新しい未来のテレビ | ABEMA
3150FIGHT vol.6 | 新しい未来のテレビ | ABEMA
亀田興毅がプロデュースするボクシングイベント「3150FIGHT」、2023年8月11日に開催される「3150FIGHT vol… 出演者は、実況:西達彦、解説です。
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