ヒマラヤ取材中にある家族に出会うと子供たちに不幸があったことがわかった。その上で、映像に残しておくことの素晴らしさを物語る一コマがあった。
『ナスD大冒険TV』では、「天空のヒマラヤ部族 超完全版 春〜夏そして、2回目の冬絶景 編」と題した企画がスタート。合計で150日間におよぶ長期取材の模様をお届けする。
ナスDの取材に帯同する72歳の元テレビ朝日の“伝説の辺境”ディレクター・大谷映芳氏は、25年前に訪れたティンギュー集落に再び足を踏み入れた。
この地には大谷氏と関係の深いある女性が。その名は「ソナム・サングモ」さん。当時16歳だった少女を取材し、以降、大谷氏は毎年会っていて、サングモさんは大谷氏を「お父さんのよう」と慕っている。
そんなサングモさん一家に、大谷氏が残した25年前のVTR(1994年)を見てもらうことに。そこにはサングモさんの弟が映っていたが、明らかに具合が悪そうだ。実は、当時、ティンギュー集落では麻疹(はしか)が慢延していて、多くの子供が命を落とす事態となっていた。サングモさんは必死に弟の看病をしていた。その甲斐もあって、今では元気に暮らしている。
一方、大谷氏が当時出会った13歳の少女は結核で亡くなってしまったという。その家族は5人子供がいて3人が命を落としてしまったそうだ。食糧を運ぶ時に、川に流されてしまったという子もいたそうだ。医療体制も整ってなければ、道も整備されていなかったということだろう。過酷な環境で生きる人々……ナスDが「生存率が日本よりも低いってことですよね」と話すと、大谷氏は「随分低いよね」と返した。
25年前のVTRを見てサングモさんの弟は「こうして見ると我々の生活は随分と変わったと思います」「私たちの祖先がたくさん苦労してくれて、みんなの良い心がけで一生懸命やってきた。全てはそのお陰で今、私たちが良い生活を送れてるんだと思いました」と力を込めた。大谷氏も「記憶のビデオってすごいね。それは思ったよ。スゴく。だから撮っておいて良かったかな」と語った。そんな大谷氏はこの地を訪れるたびに、薬を持ってきているという。
この映像を受け視聴者は「可愛い笑顔だった子供が結核で亡くなってしまったなんて…」「生存率低い… 悲しい…」などの感想をネット上に寄せていた。一方で、「この動画が残ってるって凄過ぎるし みんな顔が美しい」「25年前感動の映像、涙が出そうだ」と記録映像に対し称賛の声も集まっていた。
(ABEMA『ナスD大冒険TV』より)