洋上風力発電事業をめぐり、秋本真利衆議院議員は風力発電会社「日本風力開発」の塚脇正幸社長側から合わせて約3000万円を受け取った疑いがある。そのうち1000万円は議員会館で現金で受け取ったことがわかっているが、その日のうちに競走馬3頭の購入代金に充てていたとみられることが新たにわかった。
なぜ議員辞職ではなく「離党」なのか。東京工業大学准教授で社会学者の西田亮介氏は「自民党議員として活動することに差し障りがあると判断したのではないか」と話す。
━━選挙後、自民党に戻る可能性もある?
「政務官の辞任、自民党の離党が秋本議員にとってどんな意味があるか。政務官ポストも国会議員ポストも、年収だけで見るとだいたい2000万円ぐらいでほとんど変わらない。政府の仕事をするのか、国会議員としての仕事をするのかという点では変わるが、あまり痛手はない。自民党は選挙にとても強く、自民党の現職議員であると次の選挙もとても戦いやすく、党から推薦をもらえるならさらにとても有利だ。逆に推薦をもらえないと、自民党が別の候補を立てたりする場合には選挙で戦えない可能性が高い。次の選挙に出るかはわからないが、不祥事で離党後、無所属で再選、世間のほとぼりが冷めた頃に、また自民党の会派に戻るということがよくある」
━━国会質問で風力発電会社の参入を後押しした疑いがあるが、国会質問の影響力はどのくらい大きい?
「国会における国会議員の質問と政府の答弁はとても重要なものだ。『この質問に対する回答はこうだった』ということが、全て議事録として残り、前例になっていく。過去の回答と、次に同じ質問がされたときに違う回答が出てくることがないようにしないといけないし、政策を検討するときにも参照されることがある。それぐらいインパクトがある。
今回、秋本議員の質問は入札基準に関するもので、『いくらで競り落とせるか、評価基準を見直す必要があるのではないか』ということを言ったとされている。これは一般的に考えて、ものすごく重要な意味を持った質問のように聞こえる」
━━今回の件は今後の選挙にも響く?
「さすがに影響を与えざるを得ないと思う。離職ドミノという言葉があったが、LGBTQに関する政府高官発言などいろいろな不祥事で岸田政権から離職者が相次いだ。少しほとぼりが冷めたかなと思ったところでまた、かなり社会との利益相反性の高い自民党議員の疑惑が出てきた。当然、内閣支持率にも影響し、場合によっては自民党の政党支持率にも影響を与えうる。歴史的にみても政治とカネの問題に国民は敏感だ」
━━衆議院解散はどうなる?
「解散はとても難しくなっている印象だ。元々、広島サミット後の解散が囁かれていて『支持率が高くなっているときでなければ、次は秋じゃないか』と言われていた。内閣改造を挟んで『雰囲気を変えたい』という話もあるが、内閣改造したところで自民党や岸田政権に対する評価は変わるのか。まだ課題は山積みだ。マイナンバーカードの一本化の問題もまだ点検中で課題がたくさん出てきている。岸田政権にとって政権を浮揚させる材料はほとんどない」
━━野党の勢いをどう見ているか?
「維新はとても勢いがある。先日行われた仙台の市議選でも大躍進で、国政でも次の衆議院選の支部長、公認候補者の擁立も新人の発掘は立憲民主党とほぼ並んでいる。そんななかでいつ解散するのか、とても難しい印象だ。秋、年内、来年の夏など、いろいろと言われているが、岸田政権にとって最悪のシナリオは、このまま解散のタイミングを見つけられないままズルズルと進んで、自民党総裁選を迎えて任期満了となってしまうことだ」
(『ABEMAヒルズ』より)
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