千葉ロッテマリーンズの美馬学投手(36)と、女優の美馬アンナ(36)の長男・りたくん(3)。元気印のパッツン前髪がトレードマークの彼には、生まれつき右手首から先がない。ABEMAエンタメは美馬アンナに独自インタビューを実施。家族への思いを語ってくれた。
【映像】インタビューに答えるアンナ&食事や着替えをするりたくん
ーーりたくんが右手について自覚していることはありますか?
「結構早い段階から多分自分に指、手がないっていうことは多分気づいていて。右手がないんですけれど、右手でできること、できないこと、できないことは左手でやろうっていうのを、遊んでいる過程で目の当たりにしているので、もう分かってきたんだなっていうのは、結構早い段階で感じましたね。」
右手が人と違うだけ。それ以外は、家の中を元気に走り回り、ママが大好きな3歳の男の子。そして、この夏には、お兄ちゃんになる予定だ。りたくんが生まれたのは、2人が結婚して6年目の2019年10月11日。ずっと子どもが欲しかったという学投手とアンナにとって、待望の第1子だった。
ーー妊娠がわかったとき、どのような心境でしたか?
「ずっと子どもが欲しくて、結婚してから、6年ぐらいできなかったので、やっとだっていう気持ちと、1番は主人を『やっとパパにさせてあげられる』っていう喜びが一番大きかったですね。」
ーー右手のことがわかったときの状況について教えてください。
「30時間陣痛に耐えて産まれてきて、『赤ちゃん産まれたよ』ってお母さんの胸元に赤ちゃんを乗せてくれるんですけれど、右…え?え?みたいな。右手どうなっているの?切れちゃっているの?みたいな…。はてな はてなっていう感じでした。」
右手首から先がない我が子に戸惑う2人。そして、医師から告げられたのは、「四肢形成障害」。「四肢形成障害」とは、胎児の段階で、発育に異常がみられ、出生時に四肢の形態異常を示す疾患。詳しい原因を特定することはできないという。
ーーどのような思いで入院生活を過ごされていたのでしょうか?
「毎日毎日、手がないっていうことに対して何もできないっていうネガティブな考え方だったので、自分が出されたご飯を食べていても、箸ってどうやって持つんだろうとか、普通に考えたら左手で持てるじゃんって感じなんですけれど、どうやって持つんだろうとか、お風呂に入っている時にシャワーを片手に持って、こうやってやったりとかするのって、どうやってやるんだろうとか、できないじゃんとか、あれもこれもできない。何にもできない。もしかしたら、大きくなって奥さんもできないかもしれない、彼女もできないかもしれない。そんなことばかり、ネガティブに一人で考えて泣いての繰り返しで、すごく不安で怖い。そんな入院生活でしたね。」
産後、息子の将来を案じ、時には自分を責めたというアンナ。そんな不安な気持ちを払拭してくれたのは、夫・学投手の“家族を思う強い気持ち”だった。
ーー当時、りたくんについてご主人とどんなことを話されましたか?
「私がずっと泣いていたので、もうほんとひたすら泣いている私を慰めるっていう感じ。背中をさすったりとか、大丈夫だよって言ってくれたりとか。だけど何かふと、私が『検査の時に分かっていたらよかったのになぁ』って、言っちゃったらしいんですよ。その時に主人が『じゃあさ、検査の時に分かっていたら、お腹の中で、わかっていたら産まなかったの?』って言ってきて。だけどもう涙しか出てこない日々だったので、『それでも産んでいた』ってすぐ言えなかったんですよね。何も言葉が出てこなくて、何か悩んじゃっている自分がいて。そうしたら主人が『俺はお腹の中で手のことが分かっていても、アンちゃんに産んで欲しいって言っていたし、自分にとってはお腹の中で手のことが分かっているか、分かっていないかって、覚悟出来ていたか、出来ていなかったかっていう差でしかない。俺にはこの子を幸せにできる自信があるから。だから、お腹の中で分かっていたらっていう風に言わないで』って。『あたかもお腹の中で分かったら生まなかったみたいな、何かそういう感じのニュアンスは違う』っていうふうに言われて、久しぶりに何か思い出すとなんかウルっとするんですけれど。それだけは鮮明に覚えていて。だから、この人とだったら大丈夫だなっていう気持ちに、そこから変わっていったっていう感じです。」
夫の支えもあり、息子の右手と向き合う覚悟が生まれたアンナ。その後、自身のSNSで公表することを決意し、りたくんの成長を発信し続けた。
「(長男のハンデを)受け入れられている部分と、やっぱり実際に息子の手について、ちょっと心無い言葉を投げてきたときに、何にも思わないわけないので、親として。それが受け入れられているのか、受け入れられてないのかって言われると難しいですね。これからもきっと、息子が大きくなるにつれて、私がいないところで、いろんなことを感じていくと思うんですよ。人との違いだったりとかもそうだし、そういうので相談されたときに、安易に『大丈夫、大丈夫』ってきっと言えないと思うので、自分も。彼をポジティブな方向に持っていくために、いろんなことを考えると思うので、そのたびに。多分私は受け入れられているのかな?受け入れられていないのかな?っていうのは悩むと思います。」
悩みながらも前を向くアンナ。学投手とともにハンデを持つ息子に寄り添い、りたくんが手に取る道具を使いやすく工夫している。ストライダーやキックボードのハンドルは、右手が滑らないようにテニスグリップを活用。また、寒さに悩んでいたりたくんのため、手形をもとにオーダーメイドした手袋も用意した。
ーー食事は1人で食べることができるんですか?
「もう完全に一人で食べられるんですよ3歳、もうほぼ4歳に近いので。」
ーーりたくんからこれまで勇気づけられたことはありましたか?
「彼がこれだけ楽しくハッピーに生きてくれていることが、もうそもそもめちゃくちゃうれしいし、勇気をもらっているんですけれど。遊んでいて『できた!』とか、そういう発言をすごくうれしそうに聞いたときは、もう可愛い。うれしい。」
りたくんの成長を日々、実感しているというアンナ。そして、おなかには新たな命が宿っている。
「2人目を妊娠して不安な気持ちになったりとか、あの時の気持ちがまた蘇るんじゃないかとか…。」
第2子の出産を控える中、りたくんを生んだ時の衝撃を思い出すことも。しかし、その不安を打ち消したのは、りたくんの愛だったという。
「お腹にいる赤ちゃんに対して毎日愛を伝えてくれるミニっち(りたくん)にたくさんの勇気をもらい、元気に成長していく赤ちゃんやどんどん大きくなっていくお腹に、不安ではなく愛しさを日々感じられるようなったのです。」
ーーどんな時にこの子優しいなって感じますか?
「私をすごく気遣ってくれるようなことを言ってくれるんですよ。お腹が張るので痛いってなると、『ママ大丈夫?病院行った方がいいんじゃない?』とか、『明日検診だから病院行かなきゃいけないから、おじいちゃんとおばあちゃんのとこで待っていてね』って言う時も、『ママ明日病院なんでしょ?』って。『待っているからね』とか。病院行って迎えに行ったら『ママ大丈夫だった?赤ちゃん元気だった?』とか言ってくれたりとか、“優しい”“かわいい”って思うようなことがたくさんあるので。優しい子だなって思う部分はたくさんありますね。」
ーー美馬さん一家にとって、りたくんはどんな存在ですか?
「宝ですよ。もう。私たち夫婦に、というか、私たち夫婦だけじゃないですね。私の両親とか親戚たちもみんなそうだし、主人の親戚たちもそうだけれど、みんなにいろんなことを考えるきっかけだったりとか、諦めない強さだったりとか、本当にいろんなことを彼の誕生によって教えてもらったので、本当に感謝な存在で。きっと大きな覚悟を背負って生まれてきてくれたと思うので、自分の体をもって普通ってないよ、当たり前ってないよ、っていうことを彼自身が身をもって私たちに教えてくれているので、本当に感謝でしかないし、尊敬にも値するしっていう感じです。あの時悩んでいた自分、不安になった自分が情けないなって。それこそ本当無知って怖いなと思ったし、子どもの可能性みたいなのをシャットアウトするのって親だなって。『ママこっちのお手手好き?』って聞いてくるときがあるんですね。そういうときに聞かれたら答えてあげる。『もうそりゃもちろん好きだよ』って。『どっちが好き?』って聞いてくるんですよ。なんて究極な質問をしてくるんだこの子は!と思うんですけれど。だけれど私は『どっちも好きだけれど、右手が一番好き』って言います。」
(『ABEMA NEWS』より)
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