大手電機メーカーが作った「性教育絵本」 なぜ、若手社員は“多様性”の価値を発信したのか
【映像】「性教育絵本」を使ったワークショップの様子
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 性的少数者を含む人材の多様性を、経営においても重視する企業が増えている。性の多様性について、性教育の絵本を作るなどして発信する大手電機メーカー社員を取材した。

【映像】「性教育絵本」を使ったワークショップの様子

 思い思いの装いを工作で楽しむ子どもたち。これは、東京都内で開かれた性教育のワークショップの様子だ。「からだについて」や、「プライベートゾーンとは何か」を親子で学ぶ内容だが、最後に取り組むのは性教育とは関係なさそうな“着せ替え遊び”。性別に関係なく、自分の“好き”を探ってもらうことが目的だという。

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「自分で選べて楽しかった。『男の子はこの色』『女の子はこの色』とか、決まっていないと思う」(参加した小学生)

「遊んでいるだけだけど、『(服を)自由に選んでいいんだ』というのが無意識に学べていると思う」(保護者)

 このワークショップで使われた教材には、元になった性教育の絵本がある。絵本を作ったのは、大手電機メーカー「パナソニック」で製品の企画やデザインを手掛けている白鳥真衣子さんと東江麻祐さんの2人。なぜ、電機メーカーで性教育の絵本を作ったのだろうか。

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「当たり前にあるはずの“性”について会社で話ができていないのが課題だった」(白鳥さん)

「自分らしく生きるために性を考えるのは、ひとつのトピックとして会社になかった」(東江さん)

 2人は4年前、性の多様性などを考えるプロジェクトを立ち上げ、子どもから大人までさまざまな世代にアプローチするコンテンツなどを制作。電機メーカーとしても、美容家電のロゴをピンクから白に変えたり、ドライヤーの色にネイビーを取り入れたりするなど、性別や年代を問わない製品コンセプトを打ち出しはじめた。白鳥さんは当時の状況についてこう振り返る。

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「(ほかの)企業も“多様な関係性”をCMなどで打ち出すタイミングだった。会社の姿勢としても出せたし、会社で性を扱うのは難しいところはあったが温度感は共有できたと思う」

 4月に開催されたLGBTQの人権啓発などを目的としたイベントでは「多様性」を経営戦略に掲げる企業が増え、ブースの出展は去年に比べ約2倍に。多くの企業が「性」への取り組みがその価値の向上にもつながると判断しているようだ。

「多様な視点があることで(商品を)自分のものだと思ってもらえ、愛着が生まれる。商品を好んで長く使ってもらえる」(東江さん)

「いろいろな社員がいることで、様々な選択肢がある商品が生まれてくる。社会によい商品を届けたい。大きい会社だからこそ、多様な視点があった方が会社にとってもいいのではないかと思う」(白鳥さん)

(『ABEMAヒルズ』より)

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