今季は際どいプレーを巡るリクエスト判定を中心に、ネット上の野球ファンの間でも、白熱した議論が巻き起こるシーズンとなっているが、そうした中、野球解説者の里崎智也氏が、審判にとっても難しい条件でジャッジを求められる場面について、改めて言及した。
話題となったのは、8月16日に京セラドーム大阪で行われたオリックス・バファローズ対福岡ソフトバンク戦の9回表。ソフトバンクの4番・近藤健介が放った打球が、キャッチャーフライに見える本塁ほぼ直上の飛球となるも、そのままドームの天井に引っかかってしまい、ボールが落下してこないという状況に。そこで主審は打球をファウルとコールし、プレーが続行されることとなった。
このプレーについて、 8月18日放送の『バズ!パ・リーグ』では、元NPB審判員の坂井遼太郎氏に解説を求めることとなったが、その際に坂井氏は、「全球場で大枠決まっているところは、ファウルゾーン、ファウル地域上空の天井に当たればすべてファウルとなります。で、フェア地域上空の天井に当たった場合のみ、インプレーとなるルール」となっているものの、球場ごとに固有の取り決めが存在し、京セラドーム大阪の場合は、天井最上部に設置された「スーパーリング」と呼ばれる箇所の、“何枚目か?”“当たったのか?それとも入り込んだのか?”といった固有のルールが細かく設定されているため、“審判泣かせ”ともいうべき難しい球場であるとした。
また、その際の判定の基準となるファウル or フェアについて坂井氏は、「フェア・ファウルの判定に関わってくる審判は、”ラインキープ”をするんですね。ラインの真ん中に自分が立つようにして、上空を見上げて、右側だったらファウル、左側だったらフェアというような基準で見ていますね。」と、今回の近藤のファウルのように、ファウル or フェアの判定が必要な場合は、審判がライン上に自らの身を置き、目視で確認した上での見極めていることを解説することとなった。
しかし、こうした坂井氏による解説をVTRを通じて聞いた里崎氏は、「(判定が)審判のさじ加減っぽいじゃないですか。ちょっと…主観によるって納得できないんで。」と、選手目線でコメント。そうした上で、「ドームごとに線を引いて欲しいです、天井に。何枚目まではファウルだけど、何枚目からはフェアとか。全部決めて欲しいですね。そしたら全員分かりやすいじゃないですか。そんな、主観でファウル!フェア!って、当たったところで決められても、“いやいや!この前の人、フェアだったけど”みたいな感じで。」と、選手たちのプレーに支障がなく、かつ、誰の目にも明快な形で判定が理解できるような工夫が必要であるとコメントした。
今季は審判のジャッジを巡る話題が目を引くことも事実で、8月2日に京セラドーム大阪で行われたオリックス・バファローズ対東北楽天ゴールデンイーグルス戦では、オリックス・紅林弘太郎の走塁を巡る楽天側のリクエストを機に、田口壮外野守備走塁コーチが激怒して審判団に詰め寄り、逆に審判団が田口コーチに詰め寄り返すという一触即発の事態が発生。セ・リーグでも、8月18日の横浜DeNAベイスターズ対阪神タイガース戦で、阪神の代走・熊谷敬宥の二塁盗塁時に、横浜・京田陽太が熊谷の進路を塞ぐ形で二塁ベースの前に入ったプレーを巡り、横浜側のリクエストが認められて判定が覆り、熊谷が盗塁失敗となった際に、阪神・岡田監督が激怒するというひと幕もあった。
このように、審判の判定を巡っては、様々な議論を呼ぶ場面が各所で巻き起こっているが、逆にいえば、それだけ今後の改善に向けての材料が多く出ているという見方もできるだろう。いずれにしかり、来季以降、こうした状況が少しでも改善され、選手たちもファンも審判員も、ストレスが抑えられるような形となるよう、期待したいところだ。
(ABEMA『バズ!パ・リーグ』)