インバウンドが回復し、観光地が賑わいを見せる中、「タクシーが捕まらない」という問題が深刻化している。京都のタクシー会社では運転手不足で50台以上が稼働せず400件以上断る事態に。また、渋谷駅のタクシー乗り場には100人超の列ができることも。
そんな中、機運が高まっているのが一般の人が自家用車を使って有料で客を運ぶサービス「ライドシェア」の解禁だ。現状、日本では個人での営業は違法となっているが、以前より政府も法律の改正など議論を進めている。
ライドシェアについて、SNSでは「海外で利用したけど、すごく便利だった」という声の一方で「やっぱりプロの運転手じゃないと不安」との声もあがっている。『ABEMA Prime』では、本当にライドシェアを解禁すべきか考えた。
■ウクライナ取材でもUberを利用
ライドシェアが支持される理由には
・配車時に決定した料金で目的地に行ける。もし道を間違えられたり、渋滞に遭っても料金が手頃
・アプリで乗降位置が指定できるため、言葉がわからなくてもOK
・運転手と客が互いを評価するシステムであるため、低評価の車を回避できる
・車という遊休資産を活用することで運転手不足解消できる
・乗車運賃が低価格でユーザーにも手軽
などがある。
観光客が利用するシーンについて、時事YouTuberのたかまつなな氏は「私はウクライナでの取材の際もUberを利用したが利便性が高く自由に行動できた。もし現状が続き、タクシーに乗れなかった観光客がそれをきっかけに日本嫌いになったら大きな損失だ」と述べた。
さらに、たかまつ氏は地方での利用についても「地方では夕方以降タクシーが捕まらない。これはオーバーツーリズムの影響ではなくて、逆に需要がないために本業のタクシーが少なくなっているからだが、空いた時間と使っていない自家用車によるライドシェアならば解決できる。さらに、ライドシェアは交通弱者や免許返納を考えている人の助けにもなれる」と考えを示した。
■犯罪と事故のリスクについて
もちろん、ライドシェアには課題もある。年間10億回ほど配車している米ウーバーの発表によると2020年のレイプ被害は141件あったという。
「日本城タクシー」社長の坂本篤紀氏は「性犯罪はあってはならないが、我々タクシー業界にも起こり得ることだ。ただ、問題は誰が責任を持つのかということであり、我々であれば会社や認可を出している国土交通省がそれにあたる。その点がライドシェアとは違う」と述べた。
これに対して、たかまつ氏は「ライドシェアのサービス側が責任を負う仕組みを設けることもできる」と指摘した。
さらに「事故のリスク」について坂本氏は「我々は毎日ドライバーの健康チェックをしているが、副業でライドシェアをする人の中に例えば『昨晩徹夜をしたがお金が欲しいから働く』人がいたらどう取り締まるのか」と懸念を示した。
これを受けて夏野氏は「例えばニューヨーク州では日本でいう二種免許を持っている人しかUberのドライバーはできない。日本も同様に、まったく誰でもいいのではなく、何らかの条件をつける方法もある」と述べた。
■タクシーとライドシェアは「選択肢」
仮にライドシェアが解禁された場合、シーンや利用者に応じて「使い分ける」形式になるのか。夏野氏は「スマホが使えないような方は引き続きタクシーを利用すればいいし、空港などではUberを呼ぶより待っているタクシー使った方が早いため結果的に棲み分けができる」と見解を示した。
モデル・商品プロデューサーの益若つばさは「安心安全を最重要視するのであれば少し時間はかかるがタクシーを利用すればいいし、利便性・スピード重視ならライドシェアを選べばいい。メリット・デメリットを考えながら選択肢を増やすことは大切だ」と述べた。
(『ABEMA Prime』より)
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