広島県・安芸高田市の“ある計画”を巡って対立が激化している。4月、市は生活雑貨大手・無印良品を展開する「良品計画」と協定を締結した。市内の道の駅に店舗を開き、地域資源を活用した商品開発などを進める計画だった。
安芸高田市の石丸伸二市長(41歳)は、出店に伴う調査設計費を決定。しかし、市議会の最大派閥・清志会が計画に反対した。6月29日に行われた本会議では「事業を始めるなら、最初から議会で説明して、予算がいること、全容を説明した上で始めるべきだ」と、議会の承認を得ずに決定したことに反発が起こった。結局、予算は認められず、無印良品出店計画は事実上の白紙になった。
ニュース番組「ABEMA Prime」に出演した石丸市長は「やはり立場が違うので、見解の相違はあって仕方ない」とした上で、こう話す。
「予算を承認しなかった議会の道理が通っていない。私としては非常に悩ましく、頭を抱えている。市の発展のために、未来のために何をしなきゃいけないか。清志会は私に対してあれこれ言い返したい人たちが集まって作った会派だ。私には開き直っているようにしか見えないし、ポリシーもない。強いて言うなら『市長に反対する』がポリシーだ」
これにネット掲示板「2ちゃんねる」創設者のひろゆき氏は「地方自治体で中核都市じゃないところは基本的に縮小して人口が減るしかない。たった450万円の決済を市長ができないのは『すげえな』と思う。僕の月給より全然少ない。『市長の態度が気に食わない』『市長の提案だから断る』とやっていると、市のために何もできない。でも、市民は市長を投票で選んでいる。それでいいと議会は思っているのか」と投げかける。
石丸市長によると「厳密に言うと450万円の決済は下りた」という。経緯については「専決処分という行為は地方自治法でちゃんと認められている。ただその後に、議会がその是非を判断する。そこで不承認になった。不承認になっても450万円の効力は有効だ。450万円は払えるけど不承認だ。工事の予算を3000万円ほど補正予算であげたら『専決処分が気に入らないから、こっちの予算は通さない』と否決された」と説明する。
市長に反対している議員の思惑はどこにあるのか?
石丸市長は「今、特に私に反対しているのは期が長い議員だ。4〜6期の方がいる。おそらく、彼らのマインドセットに『そろそろもう終わりにしようかな』があると思う。途中で辞めるのではなく任期を満了したいから『その間は精一杯頑張るぞ』が現状だと思う」と話す。
ひろゆき氏が「任期を終えて次の選挙になったら、安芸高田市は新しい若い議員が増えて、すごくやりやすくなって、いい市になる可能性があるのか」と聞くと、石丸市長は「私は充分あると思っている」と答える。
一方で、石丸市長と清志会の対立は今回が初めてではない。去年6月10日の定例会で石丸市長は「居眠りをする。一般質問をしない。説明責任を果たさない。これこそ議会軽視の最たる例だ。恥を知れ!恥を!」と、居眠りして質問しない市議に対して批判した。
石丸市長は「けんかをしたいわけではないが」と前置きした上で「己の正当性も主張して然るべきだ」と話す。
「私は『年齢が高いから悪』だとは全然思っていない。実際に私を支援してくれている、応援してくれている人にも、年上の人はたくさんいる。それこそ、父母の年齢よりもっと上の年齢層もいる。たまたま、市議会の構成の中で、比較的に年齢が高い人が私に反対しているだけだと思っている。実は、市長は何千万円であろうと執行できる。それくらい強大な権力がたった一人に集約されている。ものすごくスピードが出る一方、暴走しないよう、ブレーキがついている。それが本来の合議制議会で、二元代表制だ。だからこそ議会では、感情ではなく理性で判断するべきだ」
石丸市長の姿勢は市議会だけでなく、メディアに対してもあらわれている。過去には無印良品出店計画に関する記事の内容が不正確・恣意的だとして、地元紙の記者を徹底追及。7月の定例記者会見で石丸市長は「自身の正当性を理解せずしてあの新聞を毎日発行されているということか」「単なる記者の感想ですよね?」と指摘するなど、会見動画は150万回以上も再生され、話題を集めた。
地元メディアについて、石丸市長は「私は偏向報道が過ぎると、容赦なく批判する。うちの地元紙に限らず、もしかしたら全国の地方紙・全国紙でそういう傾向があるかもしれない。市長は名指しで批判されるが、議会は匿名で『ある議員がこう言ってました』と平気で記事にする。『それっておかしいよね』が私の見解だ」と述べる。
「単なる 2万7000人の弱小自治体の市長ぐらいだと、メディアには対抗できない。私のX(旧Twitter)は10万フォロワーを突破したが、地元紙の発行部数が50万部くらいだから50対10だ。一方で、私はほぼ制約なしに1日に何回も投稿できる。もう並ぶか上回るような発信力は得ていると思っている。記者は職業人として会見に来られているので、私もいつも相手の名前で呼びかけるようにしている。ただ、個人攻撃や人格攻撃をするつもりは全くない」
メディアが石丸市長のきらびやかな経歴を気に入らず、反論していることはないか。
「何かしら私のパーソナリティが気に入らないというのは、あるかもしれない。ただ、それで仕事の質が変わったり方向性がずれたりするのは、やっぱりプロじゃない。正すべきだだと思うし、私も正したいと思っている。任期は残り1年となったが、政治を変えるには、とにもかくにも市民、すなわち有権者の意識改革が必要だ。できる限りの情報発信をしていきたいなと思う」
ひろゆき氏は「結局は『話し合いをして揉めそうだから、ここはうやむやにして後回しにしよう』としてきたことが、今の経済停滞に繋がっていると思う」と指摘。その上で「アメリカやフランスは大統領選でバチバチに議論する。みんなが幸せで丸くおさまるのは、もう無理だ。やっぱり問題点を明らかにして『この人はこういうことを言っている。それを信じたいなら投票する』と投票する側もちゃんと意識する時代になってくるんじゃないかなと思う」と述べた。
(「ABEMA Prime」より)
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