MLBボストン・レッドソックスの本拠地であるフェンウェイパーク。同球場といえば、レフト側に設けられた高さ11.3メートルもの巨大な壁“グリーンモンスター”により、レフト方向への本塁打を放つのは至難の業となっているが、同球場を本拠地としてするレッドソックスで今季からプレーする吉田正尚は、早くも2度の“グリーンモンスター超え弾”をマークしている。
イチロー氏や松井秀喜氏といったレジェンドプレーヤーでさえも、その現役時代にはマークすることができなかったという“グリーンモンスター超え弾”。そんな難易度の高い本塁打を、1年目でありながら既に2度もマークしている吉田は、体格的に見てもMLBのパワーヒッターに多く見られる大柄のタイプでもなく、むしろ、日本人プレーヤーの中でも比較的小柄なタイプではあるが、なぜ、そうしたタイプでありながらも、多くのパワーヒッターにとって「難しい」とされる“グリーンモンスター超え弾”を放つことができているのか。
元・MLBプレーヤーの川﨑宗則氏は、9月3日放送の『ABEMAスポーツタイム』(ABEMA)に出演した際に、吉田のバッティングについて見解を求められると、「大谷選手もそうなんですけど、“捻転オバケ”と僕らが呼んでるんです。捻転というのは、下半身の動きと上半身の動きが別の動きができるんですね。(吉田は)身体は小さいんですけど、身体の中のすごい筋肉が、柔らかい筋肉なんですよ。それで普通、身体を捻るときは、下の下半身と上の上半身一緒に切れるんですね、みんな。普通。でもそれをちょっとズラすんです。吉田選手は下半身だけ先に動かして。僕らは見ないですよ。見たら、(上下が)一緒に動いてるように見えますけど、ちょっとズラして上半身、遅れてくるという。」と、吉田の場合は持ち前の“筋肉の柔らかさ”に加え、上半身と下半身を微妙にズラして捻転させるような形でのバッティングとなっているために、その捻転が、速いスイングと大きな力を生んでいるとした上で、「それをトレーニングからやっている。そのトレーニングの積み重ねが、吉田選手のスイングスピード、速いんですよ。スイングスピードが。なので、それが飛距離。こういう飛距離(を生んでいる)。」「スピンがかかってボールが飛んでいく。モンスターですら食べてしまう。」と、地道なトレーニングによって、吉田がこうした特殊な動きを会得し、自身に定着させていることで、逆方向であっても、大きな飛距離を生む強い打球を放つことができているとした。
そうした上で川﨑氏は、“捻転打法”ともいうべき吉田のこうした打撃について、「みんな真似したいけど、なかなかできない。」と、理屈はわかっていても、それ自体、実践することが極めて難しいものであると解説。まさに吉田ならではのものであると強調する形で称賛することとなった。
(「ABEMAスポーツタイム」)