「ネットポルノ依存」の実態 自分でコントロールできない状態も… 生活上の生きづらさやストレスを抱えている可能性
【映像】ネットポルノ依存の実態(男女1011人のデータ)
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 生活に影響が出るほどポルノを見続けてしまう。ネットで気軽に見られるようになったいま、ポルノ依存の拡大が懸念されている。実態を調査する研究者に話を聞いた。

【映像】ネットポルノ依存の実態(男女1011人のデータ)

「生活リズムが崩れたり、大事な約束事もすっぽかしてしまう。そこに夢中になってしまって他のことが手につかなくなってしまう」

 こう話すのは、ポルノと依存の関係について研究していて、日本学術振興会特別研究員でもある兵庫教育大学大学院の岡部友峻氏だ。

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 一般成人の男女1011人を対象にした調査では、7.3%が「やめようと思ったが見続けてしまった」など、問題のある利用状態であることが明らかに。そのうち半数は「抑うつ」など精神障害をうかがわせる症状があることがわかった。1日あたりの視聴時間については、約10%が1時間以上、なかには4時間を超える人もいた。

「性的なことになるので、周りに相談しにくかったりする。ギャンブルなどであれば家族が気づけることもあるかと思うが、性的なことになるとどうしても気づかれにくい」

 気づけば長時間見続けている、日常生活の中でも頻繁に考えてしまう。単純に「性的欲求が強い人」とも思えるが、自分自身でもコントロールができない状態は「強迫的性行動症」として、WHOも精神疾患の1つに位置付けている。

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「抑うつ症状や不安症などの障害を抱えていて、不安感を紛らわしたり逃げるためにポルノにはまっている可能性もある。ポルノ依存だけという状態というよりも、メンタルヘルス上の生きづらさからはまってしまうこともあり得るのかもしれない」

 ポルノ視聴そのものが悪い訳ではない。適切な向き合い方をすれば、ポルノは性生活をよりよいものにするのに役立つ場合があると話す岡部研究員。平均からかけ離れた量の時間と回数をポルノ視聴に費やしていても、日常生活に問題が生じることなく性生活を上手く送っている人もいることもわかっているという。

「ネットポルノ依存の方は、それ以外のところでも生活上の生きづらさやストレスを抱えていることが多いと研究でわかっている。性的なことも含めた生活の悩み全般を専門機関や信頼できる人に相談することが大事だと思う」

 こうした問題について『ABEMAヒルズ』は、臨床心理士・公認心理師で明星大学心理学部教授の藤井靖氏に話を聞いた。

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━━実生活で性交渉をしていない人がネットポルノ依存になりやすいということはある?

「身近なスマホで見られて、コストも低いし短時間で満足が得られるという意味では、依存の対象になりやすいと思う。しかし、ポルノに触れるきっかけが性欲でも、依存状態は必ずしも性欲が関係しているとは限らない。例えば男性であれば『常に男性らしくありたい』という欲求のもとに動画を見る人も実際いる。あるいは『なんとなく見ないとスッキリしない』『時間が空いたらやらずにはいられない』という強迫的な行動になっている場合もある。脳の報酬系が刺激され、より継続的かつ強い刺激を求めるようになると、性欲だけでは説明できない」

━━依存から立ち直るためにはどうすればいい?

「ネットポルノであれば、見る環境やパターンが生活の中にあると思う。それを少しずつ変えてみるのも一案だ。いつもポルノビデオを見ているソファーの位置を変えたり、帰宅した際のルーティンを崩して変化を与えてみるのも行動分析的な考え方としてあるだろう。特に、ネットポルノは法律を犯しているなど“悪いこと”ではない。だからこそ、問題性を自覚しにくい側面もあるので、啓発も大事。

 私のカウンセリングでも『性に関係した習慣で出費が給料を超えた』『メンズエステや風俗に週5で通っている』など、依存行動が人生に影響を与えてしまう状態の人もいる。どこかで気づいたり、誰かに言われた時に、恥と思わず助けを借りてみようという意識を持ってもらえればと思う」

(『ABEMAヒルズ』より)

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