EXIT兼近「芸能界の“当たり前”を1回なくさないと」佐々木俊尚「『ジャニーズけしからん』と掌返しでバッシングするのは違う」ジャニーズ事務所が性加害を認める会見
【映像】会見を神妙な面持ちで見つめる「当事者の会」の面々
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 長く疑惑・噂として語られてきたジャニー喜多川氏の性加害問題。ジャニーズ事務所は7日に会見、これを認めて謝罪した。新たに社長となった東山紀之は「人類史上、最も愚かな事件」と語った。

【映像】会見を神妙な面持ちで見つめる「当事者の会」の面々

 同じ時間、会見の模様をモニターしていたのは、「ジャニーズ性加害問題当事者の会」のメンバーたち。平本淳也代表は「ジュリーさんが登壇、ほとんど下を見ず、原稿を読むような姿勢ではなく、自身の言葉として発言されたメッセージは、ストレートに私たちに伝わっていると思う。これから次、その次、どのような形で進んでいくのか。被害者の声を汲んで取り入れて、その上で救済案・補償案を出してほしい」と訴えた。

■りんたろー。「これを期にエンタメの世界をピースでヘルシーに」、兼近「芸能界の“当たり前”をなくさないと」

りんたろー。EXIT):僕たちがジャニーズの人と接するようになったのは2、3年前から。先輩・友達として知り合っているので、「こういう噂があるけど」という話はしない。目の前にいて優しくしてくれる、居心地のよい彼らが全てで、実際のところはよく分からなかった。でも、明らかになった以上、心に傷を負った方のために会社は何年かかってもケアをしないといけないし、体質も変えていかないといけない。ジャニーズを辞めた方々と仕事をする機会も多いが、彼らと現役の人が一緒になる現場がないことは変に感じる。あと本人たちが望んでいないことも多い。これを期に、エンターテインメントの世界もピースでヘルシーに変わっていき、全体が発展していってくれるといいなと感じた。

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兼近大樹(EXIT):この問題はずっと言われていた。1つの事務所の問題ではなく、この芸能界という世界で“当たり前”になってた部分が正直ある。昔からあったものが地続きになって今に繋がっているから、誰も声をあげないし、あげたらあげたで“だから何?”という空気感が広がっていた。“圧力は当然じゃん”“忖度なんて当たり前じゃん”という在り方が一般社会からすると、ズレているだけの話で、この世界が壊れてしまっている部分の1つだ。その当たり前を1回なくさないといけない。会見で追及していた記者についても“お前らも絶対知っていただろう”と思うし、世の中で騒いでいる人たちもできることあっただろうし、僕自身もそうだ。今後どうしていったらいいのか、みんなと一緒に考えていかなきゃいけないことだと改めて感じた。

■取引先を含めた「人権デューデリジェンス」の意識

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安部敏樹(リディラバ代表):まずこの手の問題は加害者が一番悪い。本当はジャニー氏の存命中にやるべき話だったし、そこに至らなかったのが残念だ。2つ目に、事務所のガバナンスが効いていなかった。そして、これらを実質的にわかっていながらメディアが取引を続けてきたことが3つ目。さらに、ファンビジネスあるいはメディアビジネスとして、広告を間接的に伝えた皆さんにも部分的には責任があるだろう。

会見を見て、ガバナンスの改革や外部経営者などのところが充分とは思えなかった。第三者委員会も設置しないし、株の持ち分もすぐに変わらない。結局、内部の生え抜きの方が社長になる。一見いいことを言っているようだけど、実質あまり変わらないのではないか。これを変えていくためにもう一歩、二歩、社会が動かなければいけないところがあると思う。会見の中では、メディアと事務所の忖度関係が強固だという話もあった。先日の報告書では、過去の裁判よりもはるかにひどい範囲での事実認定がされていて、より真摯に向き合った事務所の改革が必要。それがなければメディアは取引をしないということが1つのプランとしてあるべきだと思っている。

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そして私自身も出演者としてメディアとの取引先であり、メディアに変化を働きかける責任もあると考えている。だからガバナンス体制の改善が十分じゃない間は、私はジャニーズ事務所の方が出演する番組には、出るべきじゃないと思っている。改革がしっかり進んで、「これなら再発しないだろうし、社会も変わっていける」と私が思えたり、そう客観的に言える状態になるまでは共演を見合わせるというような形を考えている。

大槻奈那(名古屋商科大学大学院教授、金融アナリスト):取引先としてどう向き合うかというのはすごく重要だ。この1、2年の間に大きく進展してこととして、海外では人権デューデリジェンスが企業に義務付けられている。これは、自社がしっかりするだけではなくて、取引先においても「人権を守る」という意識があるかを調査しなさい、ということだ。メディアだけでなく、色んな形で関わっている方たちが取り組まないといけない。

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タレントの方がかわいそうという意見ももちろんあるし、非常に共感する。だけど、それだと前に進まない。日本最大の芸能プロダクションで、売上も非常に大きいのに、取締役会も法定以下だったという会社法上の問題もある。ガバナンスの問題はこれからになるので、デューデリジェンスの観点から取引をできないというのが基本のスタンスだと思う。

■佐々木俊尚「マスコミが自分事として捉えることができるか」

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佐々木俊尚(作家・ジャーナリスト):やはりメディアの責任が大きいと思う。会見では「忖度」という言葉が使われた。流行語にもなった森友学園問題の時は、安倍元総理への忖度ということで使われたが、今回はメディア側。マスコミが今後、その言葉を報道で使ったら「お前らが忖度していたんじゃないか」と言われてしまうだろう。

結局、BBCが報道しなければ変わっていなかったわけだ。アメリカでは、数年前にハリウッドの大物プロデューサーが多くの女優に性加害をしていた事件があった。発覚の端緒になったのは『New York Times』と雑誌の『New Yorker』の調査報道。メディアが加害を告発するという自浄作用を持っていた。しかし、日本の芸能界と、それに一緒になったマスコミが自浄作用を持っていなかったことが明らかになった。ここでもう一度、メディアの問題をマスコミが自分事として捉えることができるかどうかが問われていると思う。

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ただ、今回のことで「ジャニーズけしからん」と掌返しでバッシングするのは全然違う。ジャニー喜多川氏というただ1人の犯罪ではあるんだけど、それを許していた空気・圧力みたいなものがあるわけだ。それをどう破壊するのか、同時にマスコミがどう信頼を取り戻すのか。“なぜ我々が報じなかったのか”ということも洗いざらい明るみに出すしかないと思う。

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平石直之テレビ朝日アナウンサー):外部委員会の報告書でも、「ジャニーズ事務所は組織としてこの問題に対処することはせず」と指摘した後に、「テレビ、新聞等の日本の主だったマスメディアが性加害の事実を報道せず、被害者を救済することを怠った」と書かれている。兼近さんがおっしゃったように長く言われてきたことで、最初の被害が60年前に報じられ、裁判もあったのに、大手メディアが取り上げてこなかった。今回についても、BBCが報じ、国連の作業部会が疑惑を指摘したことで今日に至っていて、報道機関に携わっている人間として大変情けないし、恥ずかしいし、申し訳ないことだと思っている。“こうして番組で伝えればいい”ということではない、という思いを持って向き合っていかなければならない。

(『ABEMA Prime』より)

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