舞姫が、兜の緒ではなく帯を締め直す時が来た。EX風林火山は昨期、ファイナルシリーズに進出したことでチーム構成の変更は回避したものの、4位に終わりリーグ初となる2度目の優勝を逃した。レギュラーシーズンからチーム全員が好調で、気持ちよく優勝シャーレに向かっていたところ、終盤に失速したという意味では、物足りなさも残った。そして新シーズン、チームスローガンは「天下布舞」に決まった。「天下布武」から1文字変えて「舞」にしたが、これは「卓上の舞姫」と呼ばれる二階堂亜樹(連盟)をキーマンに指名したことを意味している。亜樹本人も「気を引き締め直す意味ではすごくいい」と、早くも気持ちを高ぶらせている。
【映像】Mリーグ2023-24シーズン 開幕直前インタビュー
-チーム全体でも個人でも成績がよかった。自身で昨期の振り返りを。
二階堂亜樹(以下、亜樹) 良すぎてちょっと怖いな、というぐらいレギュラーシーズンは良かったですね。でもその反動というかファイナルシリーズはしんどかった。3位にはなりたかったです。(選手入れ替えの)レギュレーションとかもあったので、ファイナルに残れて良かったという気持ちもあったんですけど、残ったら1つ壁を越えて、あとは上を見るだけという状態にできたので、チームの雰囲気としてはすごく良かったです。ファイナルになるとやることが明確になってくるので、すごく大振りになったところがあったかもしれなくて、空振ったかな、という感じでした。
-レギュラーシーズン、ポイントがあった分精神的には楽だったか。
亜樹 「週に1回トップを取りましょう」という目標でやっていて、それがうまいこと達成できていた。誰かがクリアしてくれると、その1週間は安心できる。それがずっと続いていたのがチームの精神状況的にも良かったんじゃないですかね。
今までスタートダッシュを決めて、12月や1月ぐらいでババッと減ったというのが多かったんですよ。それを繰り返さないようにしようとしても、できるものではなくて。誰かが悪い時に誰かが良かったりして、お互いカバーしたというのが大きかったですね。
-今期から新しい選手も増えてきて、同じ団体の選手も多くMリーグ入りした。
亜樹 全員後輩ですね。鈴木大介さんは入ったばかりで、連盟の公式対局では打ったことがない。タイトル戦の予選とかでも当たったことがないし、中田さんも公式では打っていない。放送対局では何回もあるんですけど、同じ団体でも若干フィールドが違うというか。
菅原さんと猿川さんは同じリーグにいて、特に菅原さんは同じAリーグにいるので当たることもありますし、それ以外でも公式戦で当たったり「Focus M」で当たったりということがある。菅原さんは割と知っていて、研究済みとまではいかないですけど、打ち筋をよくわかっている。猿川さんも関係が古いのでわかっているんですよ。鈴木さんはそこまで見たことないので、わかりづらいな、掴みづらいなというところですね。
菅原さんは今までより攻撃的だなというシーンが多いですね。もともと結構な守備型だったんですよ。10年選手だと思うんですけど、かなり守備型だなというイメージでした。ここ2、3年でかなり変わってきて、本人の意識だったり考え方だったりなんですけど、Mリーグになって特に攻めようという気持ちが出てくるんじゃないかな。結構ハマると手がつけられなくなる。打点が高いんですよね。相当な愚形でも押し返してきたりとか打点がついてきたらどこまでもという感じです。
-今年のスローガンには「天下布舞」と「舞」が亜樹選手をイメージしたものになった。
亜樹 いろいろな部分で注目をさせたいのかなと思うんですけど、勝ち負けを重視するよりも、自分が試合に向かう時のスタンスだったり、メンタルや立ち回りを求められているのかなと思います。試合で成績を求められること、キーマンと言われることによって自分がすごく注目されるだろうなというところを意識して欲しいんだろうなと思っています。
-改めて今以上に魅せる意識が高くなるか。
亜樹 いろいろな意味で期待されているというか、期待したいのかな、という感じですね。応えなきゃいけないという気持ちもありますし、自分にできることは最大限にやらなくてはいけないかなと。
去年のキーマンはたぶん瑠美さんだったかな。瑠美さんがどこまで意識していたかわからないんですけど、気を引き締め直す的な意味ではすごくいいと思うんですよ。「あなたがキーマンですよ」と言われるのは。私も瑠美さんも、気が緩んでいる気持ちは一切ないんですけど、改めて気を引き締め直すという意味ではいいことですよね。
キーマンと言われたのはつい最近です。(監督の)藤沢さんもこれまで見てきて選手の性格とかをよく掴んでるんじゃないかなと思います。言われなくてもちゃんとできる人もいれば、言われなきゃやらない人もいるんですよ。そういう人には言ってあげた方がいいなという人もいるじゃないですか。改めていろいろ意識して欲しいという気持ちがあるんだろうなと思いました。
自分的には背筋が曲がってるつもりはないですけど、これからシーズンを迎えるにあたって改めて意識を強く持って欲しいなという風に思ったと思うんですよ。だからその気持ちに応えたいですし、その気持ちは強くなりましたね。
MVPももちろん取りたいと思っています。「タイトル取りたいな」とは思っているんですよ。ただなんかそこに考えが寄り過ぎちゃってもよくない。あくまでチーム戦なので。自分がどこで貢献できるかというところを意識したいです。結果的に何か取れたらいいなという感じですね。
-連盟以外の新しいMリーガーについてはどう思うか。
亜樹 浅見さんはたまにしか会わなくて、タイトル戦の予選で何年かに1回会うかなぐらいなんですよ。それ以外でもしかしたら撮影で一緒になったりとかもあるかもしれないけど、対局したことは数えるくらいしかなくて。結構プロ歴は長いと思うんですけど積極的にいろいろな場所に出てくるタイプでもないので。ただ麻雀がめちゃくちゃ強いのは知っています。
渡辺さんはお会いしたことがなくて、正直写真の顔しか知らないくらいノーデータですね。生い立ちとかどれくらいの成績を残してるかということは知っているんですが、それぐらいですね。実際、開会式で初めて会うかもしれないです。
醍醐さんは古い付き合いなんですよ、実は。プロになった直後ぐらいから知っているので23年ぐらい前から知っていますね。同じお店で働いていて、その時に仲が良くて、醍醐さんの結婚式も行っているくらいです。
でも醍醐さんもお仕事の方で麻雀界を離れた時期があったりして、知らないうちにプロになっていて知らないうちにいっぱい勝っていて有名になっていた。連盟のスタジオの方に解説に来られていて、その時に何年ぶりかに会いました。久々に会ってもそんなに変わらずお互い変わらず仲良くできたので、今でも会えば普通にしゃべりますし仲いい方だと思います。
麻雀はその当時からすごく強いと言われていたんです。自分が10代の時はすごく負けず嫌いだったので、意識していましたね。当時のオーナーが「醍醐が一番強い」というのを嫉妬していました。自分も負けないように頑張ろうと、相手の麻雀を見たりしていました。
◆Mリーグ 2018年に全7チームで発足し、2019-20シーズンから全8チーム、2023-24シーズンからは全9チームに。各チーム、男女混成の4人で構成されレギュラーシーズンを戦い、上位6チームがセミファイナルシリーズに進出。さらに上位4チームがファイナルシリーズに進み優勝を争う。優勝賞金は5000万円。
(ABEMA/麻雀チャンネルより)