野党幹部「これは陰キャ内閣だ」刷新感ゼロの改造 評価ポイントは?
【映像】「陰キャ内閣」の根拠は?

 岸田総理大臣が13日に行った内閣改造と自民党の役員人事について、テレビ朝日政治部 小野甲太郎記者に話を聞いた。

【映像】「陰キャ内閣」の根拠は?

━━なぜ今、内閣改造を行ったのか?

やらざるを得なかったからだ。自民党役員の任期は1年。「期限が来たので仕方がないので党役員の顔ぶれを変えよう」「人の出し入れをするために内閣の容も変えよう」ということだ。自民党内にはポストが欲しい人、偉くなりたい人などがおり、岸田総理はそんな人たちの要望を聞きながら、陣容を決めなければいけなかった。

一方で、せっかくの内閣改造、刷新感を出して国民にアピールすることで支持率を上向かせたいという下心もあった。ただし、その調整によって外された人からは恨みを買ってしまう。実は、内閣改造は政治力を奪う一面があるのだ。

━━今回の改造人事におけるサプライズは?

閣僚でいうと、加藤鮎子こども政策担当大臣と、自見はなこ沖縄北方対策大臣だ。なぜなら、2人はいわゆる“入閣適齢期”と呼ばれるような、当選回数を重ねているわけではなく、副大臣の経験もなかったためだ。

今回の改造にあたっての岸田総理の方針は3つ。「主要ポストを変えない」「派閥のバランスは絶対!」「女性をたくさん起用する」。中でも「女性登用」を目玉にしようと考えていて、今回女性閣僚は2人から5人に増え、過去最多だった第1次小泉政権と第2次安倍政権に並んだ。

また、上川陽子外務大臣の起用も驚いた。前外務大臣の林芳正氏は岸田派の重鎮で閣僚経験もあり、外務大臣として先日ウクライナを訪問したばかり。安定感もあり、外務省内からの評価も高かった。総理は「女性をたくさん起用する」という方針のために「主要ポストを変えない」という方針を曲げてまで、林氏を交代させた。とはいえ、外交は継続が重要。日本外交の顔となる外務大臣がたった2年で代わっていては、それもままならない。岸田総理も外務大臣を4年8カ月も務めており、林氏の交代は早かったとの受け止めが広がっている。

━━党役員人事でユニークだったのは?

小渕優子選挙対策委員長だ。今回の岸田総理の人事で一番うまい手だった。来年9月の自民党総裁選への野心を隠さない茂木幹事長への牽制と、森元総理をはじめとする岸田総理を陰で支えている長老への配慮、そして「女性をたくさん起用する」という今回の方針の3つの手を一挙に実現した配置だった。

小渕氏は茂木派の所属だが、その茂木派の正式名称は「平成研究会」。平成という元号を発表した小渕氏の父・小渕恵三元総理が命名したものだ。今は茂木幹事長が会長だが、小渕優子氏は言ってみれば“平成研究会のプリンセス”だ。派閥の中には、「いつかは小渕派という名に」という思いを持つ人たちもいる。つまり、茂木幹事長にとっての脅威なのだ。

茂木幹事長と小渕氏は同じ党役員として肩を並べることになる。しかも小渕氏はまだ40代にして当選8回。茂木幹事長の心をざわつかせる一手だったといえる。

━━今回の内閣を名付けるとしたら?

「鵺(ぬえ)の内閣」だ。「ぬえ」というのは、日本古来の妖怪で姿が分からないものだといわれている。そこから転じて「正体がつかめない、はっきりしない、つかみどころのない」という意味でも使われる。安倍政権にとっての「憲法改正」や菅政権の「縦割りの打破」のような掲げる旗があるわけでもなく、強い言葉を発して、ぐいぐい引っ張るわけでもない。国民的な人気があるわけでもないが、低位安定でじわじわ進んでいる印象がある。

その一方、敵基地攻撃能力の保有や原発の再稼働を国民の大反発も受けないままするっと実現してしまうしたたかさもある。改造内閣でもどんな仕事をやりたいのか、何を進めていきたいのか「正体」がつかめない。はっきりとしない「鵺のような」内閣だ。

━━新内閣に対して与野党それぞれどんな反応があるのか?

まず、女性が多いということについては与野党とも歓迎している。ただ、ある野党議員は二世議員が多いことについて「女性が目玉と言いながら、お父さんの顔が目に浮かぶ」と話している。また初入閣が11人とはいえ、派閥の推薦で入閣した人がほとんどという実態に対して、別の野党幹部は「陰キャ内閣」だと評していた。「新たな布陣でがんばるぞ!」というより「派閥のバランスを重視した岸田総理の苦労の跡が見て取れる」といった反応が多い。非主流派からは早くも不満が出ており、「今回の人事は禍根を残す。支持率は上がるどころか下がるだろう」という声も上がっている。

━━不祥事がないように新閣僚の身辺調査は行われたのか?

内閣には調査を担当する部署もあり、調査は行われている。調査書のようなものを記入するよう求められた人もいる。とはいえ、金やスキャンダルなども調査対象だが、時間が十分ではなく、限界があるのも事実。昨年8月の内閣改造の後には旧統一教会の問題や政治と金の問題、失言などによってわずか2カ月で4人の閣僚が辞任する事態を招いた。今後、そういったことが起これば岸田総理の任命責任は免れない。

━━今後、解散総選挙などを行う可能性もあるのか?

可能性はある。岸田総理の最大の目標は来年9月の自民党総裁選での再選だ。総裁選の前に、衆議院の解散・総選挙に踏み切り勝つことで総裁選で圧倒的に優位に立てると考えれば、躊躇なく解散してもおかしくはない。逆に、解散総選挙をしなくても総裁選を優位に進められると判断できれば、衆議院議員の任期は再来年秋まであるため、“解散カード”を温存することもできる。
(『ABEMA倍速ニュース』より)

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