新宿・歌舞伎町ーそこには我が物顔で路地を行き交う多数のネズミが。今年、ゴミを漁る大量のネズミの動画がSNSなどで拡散。対応を求める声に、新宿区もついに動き出した。
ネズミ駆除とその関連費用を合わせて、約1200万円の予算を計上。区としては初めて街全体の駆除を決めた。まずは11月から、歌舞伎町でネズミの生態などを調査し、2024年1月から殺鼠剤などを使い、一斉駆除に乗り出す予定だ。
ネズミが増加した理由として、新宿区はゴミの不法投棄、街からネコがいなくなったこと、さらに近年、路上で飲食する人が増えたことなどが考えられるとしているが、どこまで駆除できるのか。『ABEMA Prime』で考えた。
新宿区議会議員の渡辺やすし氏は「SNSで拡散された映像は、調査するとイタズラ動画だった。バズるために餌付けをしていたもので、これ自体はネズミが多いことを意味しない。ただ、みなさんが注目し出したのか、私の元にも飲食店の経営者の方、あるいは飲みに来たお客さんから『ネズミが多いように感じる。なんとかならないか』という相談が増えた。“ネズミが増えている”というデータはないが、“ネズミが増えて困っている”という声が多数寄せられている事実はある」と説明。
背景には、「コロナ禍が収まって街に賑わいが戻り、餌が増えたということだと思う。閉まっていたお店がどんどんオープンしているのに伴って、ゴミを不法投棄する人がすごく増えている。中には当然生ゴミが入っているので、それをネズミが食べに来る。あとは、路上・公園等での飲酒後の食べ残し、ゴミのポイ捨て等も原因の1つではないか」と推察した。
駆除はどのように行っていくのか。「今まで新宿区では、民家に殺鼠剤を渡すということはやっていたが、街全体での駆除はやったことがない。なので、やってみて終わりではなく、どれぐらい収まるかなどの生態調査をしてという、最初の一歩の政策だ。また、ネズミの駆除だけでなく、人に対する働きかけもする。それで効果がなければ、また次の手を考えていくということが大事だ」と述べた。
ただ、路上飲みを規制する考えはないという。「マナーの悪い路上飲みはネズミが増える一因だが、お花見みたいにゴミをきれいに持って帰れば増えないと思う。路上飲み自体を悪く言いたい人がいるのもわかるが、それとネズミの話を一緒くたに、“歌舞伎町のマナーが悪い”というかたちで雑に議論されている印象がある。歌舞伎町は飲食文化の街なので、路上飲みを規制するべきだとは思わない」とした。
一方、害虫害獣駆除を行う株式会社ミナト専務取締役の大庭将彦氏は「なぜ今なのか?というのは正直思う」と指摘する。「コロナが始まる前から、渋谷などで“スーパーラット”という毒餌に抵抗力を持ってしまったネズミが発生していて、そのあたりから注目があってもよかったと思う。今回はSNSの影響でしかないではないか」。
また、中途半端な駆除は逆効果だといい、「スーパーラットは元々耐性を持っているわけではない。ネズミは繁殖力が強く、毒餌を食べたけれど死ななかった親がそのまま子どもを生んで、耐性がついていく。そして、またどんどん増えていってしまう。見えている範囲を駆除するのは、業者が協力すればある程度のことはできるだろう。ただ、どこかに残してしまったとか、他の街に追い出したようなかたちになってしまうと、結局そっちで同じことが起きるだけ。やるなら一気に、実験的にスタートするのはあまりオススメしない」とした。
さらに、駆除後の影響にも言及。「生態系上、ネズミが食べていたであろうゴキブリやクモ。益虫であればまだいいと思うが、『不快虫』と呼ばれるゲジゲジやクモなどが増えたらどうするのかな?と。変にいたちごっこになってしまう可能性があると思う」と懸念を示した。
渡辺氏は「今回、歌舞伎町は駆除の対象だが、その横の新宿2、3丁目などは対象ではない。議会で『今後も広げていくのか?』という質問があったが、区長は『今回やって様子をみて、隣の街にも広げていく可能性もある』とおっしゃっていた。しかし、今の話を聞いていると、それでは厳しいのかなという気づきもあった」と述べていた。(『ABEMA Prime』より)
■Pick Up
・「ABEMA NEWSチャンネル」がアジアで評価された理由
・ネットニュース界で話題「ABEMA NEWSチャンネル」番組制作の裏側