幕張メッセで9月21~24日、国内最大級のゲームの祭典「東京ゲームショウ2023」が開催された。今年は4年ぶりに制限なしで開催され、大勢の参加者で盛り上がりを見せた。
会場には過去最多となる787の企業・団体がブースを出し、カプコンなど有名企業も出展。全世界で累計販売1200万本以上の人気ゲーム『FINAL FANTASY VII』のリメイク版なども遊べるアプリゲームの体験エリアが設置された。ここでしか見られないクラウドやエアリスの衣装、セフィロスの過去を知ることができるオリジナルエピソードなどが見られる作品となっている。
また、おなじみだったコスプレエリアも復活。さらにはアバターとして入場できるバーチャル会場も設けられた。そんな中、会場の一角には親子でゲームを学ぶことができるファミリーゲームパークというエリアがある。
4年ぶりにリニューアルしたファミリーゲームパークでは、マイクロコンピュータとプログラミングを使ったゲーム作りや、ゲーム動画に効果音やBGMをつけるサウンド体験など、親子でゲームを楽しく学ぶことができるエリアで、子どもたちは真剣な表情で話を聞いている。
今回、ファミリーゲームパークに参加した人たちに感想を聞いた。
キャスター:プログラミング体験どうでしたか?
参加した子ども:めっちゃ楽しかった。
キャスター:大きくなったら何になりたいですか?
参加した子ども:ゲームクリエーター。
キャスター:参加するお子さんの姿を見ての感想は?
保護者:(プログラミングを)もともとさわったりしていたので、自分で色々考えて新しいゲームを作っていくのが好きなんだなとは思う。
楽しみながら、クリエーター目線でゲームを「学ぶ」。ファミリーゲームパークを主催する、一般社団法人コンピュータエンターテインメント協会 ゼネラルマネージャーの横戸健介氏に話を聞いた。
横戸氏:コロナの4年間の中でゲームをプレーする機会がすごく増えたと思うが、子どもたちが「ゲームクリエーターになりたい」とか「ゲームに関わる仕事をしたい」という声がすごく多かった。それもあり、今年のファミリーゲームパークに関しては「学ぶ」というのも、もう一つのコンセプトとして加えた。
日本のゲーム業界が右肩上がりで成長を続ける中、今後更に必要になるという“ゲーム人材”の存在。「楽しく学ぶ」というコンセプトの裏には、子どもたちの可能性を増やしたいという思いもあるようだ。
「ゲームは、体験してもらったように、当然プログラミングに関するスキルも重要だが、色々な得意分野があることがゲーム制作の個性。色々な仕事がゲームクリエーターとしてある中で、子どもたちにとって自分の『得意』を形にできる職業だと思っている。自分たちの好きなことが活かせる仕事であることを伝えていきたい」
キャスター:どのようにゲーム業界に盛り上がってほしい?
横戸氏:東京ゲームショウで体験した子どもたちがゲーム業界で働いて、日本で作られたコンテンツが世界で活躍するようになれば嬉しい。
一方、ゲームを含む子どものネット利用にまつわるトラブルも少なからず起きている。
「青少年のインターネット利用に係るペアレンタルコントロールに関する調査」(2022年5月総務省)によると、SNS・メッセージアプリ・ゲームなどで、いじめや誹謗中傷を受けた、過度な課金をしてしまったなど、子どもたちのトラブル報告は種類が分かれるが、「家庭内ルール」を設けていると、「フィルタリングサービス」あり・なしのいずれの場合も、「家庭内ルールもフィルタリングもない」場合に比べてトラブルに遭遇しにくい傾向が顕著だという。
子どものゲーム、ネット利用環境について、東京工業大学の西田亮介准教授に話を聞いた。
━━ご自身は家庭内ルールを設けている?
「緩やかなルールはある。うちは宿題や習い事の復習などやらないといけないことをやっていれば、1日何時間という制限はしていない。ゲームもYouTubeも基本的に自由だ」(西田氏、以下同)
━━注意点は?
「子を持つ親たちは、そもそも子どもにゲームをさせていいのかなど悩みがちだということはよくわかる。ただ、現代の生活でデジタルを使わない場面は少なく、今後ますますその傾向は進んでいく。したがって、基本的にはスマホもゲームもYouTubeも、使わないことではなく、使うことを前提としながら、そのあり方や注意点を考えるといいのではないか」
「簡易に課金できてしまうという点には注意してペアレンタルコントロールをかけている。その点も子どもが自由に決済できないようにしてあるが、一律で課金をだめとはしているわけではない。中にはとても射幸心を煽るようなものも実際にあり、子どもは十分な判断能力を持っていないので、課金したいときには都度相談するように言っている。そのたびごとに課題や最近頑張っていることなどを聞きながら交渉する」
━━フィルタリングサービスは使っている?
「通信機能に制約をかけていたが最近解除した。ただ、注意点についてはよく言い聞かせている。コミュニケーション機能を使うと、よくわからない人たちが君たちを騙して、お金を搾取されるとか、やや誇張気味に連れ去られたり、怖い人が家に来る可能性があるということを言っている。悪い人がたくさんいるので十分注意して、わからなかったりややこしいことになりそうなら怒らないからとにかく早く相談することが大事とも」
━━ルールを守ればゲームはいいもの?
「親子のコミュニケーションも活発になるため、子どもと一緒にゲームをするのはおすすめだ。5歳の子どもがいるが、僕よりも上手くなりつつある。そうしたものを活かせる職業もあると思う。指先の器用さや反射神経とも関係するだろう。私見だが、子どもに自由にゲームをやらせているとだんだん別のことをやり始めることもある。工作をしたり習い事の練習を始めたり、本を読んだり。ゲームをしたいという欲望をある程度満たしてあげることも大事で、そうすればほかのこともやるようになったり興味を持ったりするのかもしれない」
(『ABEMAヒルズ』より)