記者は何を間違えたのか? 井ノ原快彦氏と明暗 ジャニーズ会見から「記者が果たすべき役割と仕事」を考える
【映像】井ノ原氏の発言→会見で拍手が

 10月2日、ジャニーズ事務所は前回9月7日から約1カ月ぶりとなる会見を開いた。社名変更や被害者への補償を行った上での廃業、新会社の立ち上げなどが発表される中、「一部の記者のマナー違反」と「高いコミュニケーション力で場をリードした井ノ原快彦氏」に注目が集まった。

【映像】井ノ原氏の発言→会見で拍手が

ABEMAヒルズ』では、ダイヤモンド・オンライン編集委員の神庭亮介氏と共に2日の会見を振り返りつつ、「記者が果たすべき役割と仕事」について考えた。

▪️記者は何を間違えたのか?

 神庭氏は前提として「記者会見の主役は、壇上の人たちであって記者ではない。記者と活動家は違う」と指摘。

「その点を履き違えた一部の方が『自分は正義の記者なんだ』と、自己アピールに走っているように見えたのが残念だった。会見の主導権を握り、場の空気を支配した“コミュニケーションお化け”の井ノ原氏と“自己顕示欲モンスター”の一部記者のぶつかり合いが印象に残った」

 さらに神庭氏は「本来であれば、『1社1問』という質問制限を不祥事企業が自分から言い出すことは不遜。ジャニーズ側に都合のいい組織防衛策として、もっと批判を浴びてもおかしくなかった」と説明する。

「にもかかわらず、会見での記者の振る舞いを見た視聴者たちが『1社1問のルールをちゃんと守らない記者の方が悪いんじゃないの?』と疑問を抱いたことで、批判の矛先がズレてしまった。今読まれているネットニュースの多くは、記者の問題点や素行に関するものだ」

「記者は正義感でジャニーズを追及しに来たのかもしれないが、批判の矛先がそれて一番喜んでいるのはジャニーズ側だろう。考え過ぎかもしれないが、暴走しそうな記者に質問を当てず、あえて泳がせて世論の批判を誘ったのだとしたら、非常に巧妙なメディア・コントロール戦略だと言える」

▪️記者の「本来の仕事」とは?

 では、本来の記者の仕事とは何なのか? 神庭氏は「『権力の監視』は重要な役割の一つだ」と語る。

「今回の記者会見であれば、『実話ナックルズ』の記者が事務所を退所したタレントに圧力をかけないように求め、東山社長に『応援したい』と約束させた。また9月の会見でもジャーナリストの松谷創一郎氏が東山社長に鋭く切り込み、競合のボーイズグループや退所者を妨害しない、忖度は必要ないという言質をとった。いずれも、記者としてすごく良い仕事をしていると思う」

 さらに神庭氏は「不正を追及する志は否定しないが、記者の取材技術の問題もある」と解説。

「実話ナックルズの記者も松谷氏も、無闇に声を荒らげたり、ドンドンと机を叩いたりしたわけではない。きちんとルールを守ったうえで、引き出すべき情報を引き出している。『怒れる正義の記者』という自己演出やパフォーマンスは必要ない」

「記者会見で何を叫んだかとか、『吠えてる姿がカッコイイ』とかはどうでもいい。質問の前に自説を長々と述べるのではなく、ズバッと切り込んで情報を引き出せばいい。自分もなかなかできていないので自戒を込めてだが、それこそが記者の仕事ではないか」と述べた。
(『ABEMAヒルズ』より)

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