井上尚弥戦に向け「求められるのは“格の違い”」亀田和毅、フェザー級転向後初のリングへ 父・史郎氏が明かした亀田家の悲願と胸の内
【視聴詳細】史郎氏がセコンド復帰、和毅が運命の一戦へ
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 ボクシング世界2階級王者の亀田和毅(32・TMK)が、10月7日に東京・大田区総合体育館で開催される「3150FIGHT vol.7 ~拳闘士はゲンコツで語る~」で、同級8位のレラト・ドラミニ(南アフリカ)とのIBFフェザー級2位決定戦に臨む。WBA世界スーパーバンタム級1位から正式にフェザー級に転向した和毅が初めて迎えるフェザー級での一戦は、亀田家の父・史郎氏いわく「格の違い」を見せる戦い。スーパーバンタム級で叶わなかった現WBC&WBO世界スーパーバンタム級王者であるモンスター・井上尚弥戦の実現に向け、結果はもちろん、内容が求められる一戦となる。

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 この大事な試合のセコンドに史郎氏が戻ってくる。2007年、次男・大毅が当時のWBC世界フライ級王者だった内藤大助に挑んだ試合以来、じつに16年ぶりとなる国内セコンド復帰だ。史郎氏は2010年に日本ボクシングコミッション(JBC)からライセンスを取り消されるも、JBCの規定改訂を受け今年7月にトレーナーライセンスを再交付された。今後の和毅のキャリアを左右する重要な一戦に向け、和毅を誰よりも知る史郎氏に話を聞いた。

「興毅も大毅もすでに引退していた。それからはセコンドにつかなあかんという思いもなく、そのような選手もいなかった。セコンドに戻ってこれることに関しては率直に嬉しい。最後は和毅しかおらん。狙っているものも、大きいものがある。そこに向かって亀田家が一つになって、支えて、悔いを残さないようにやっていきたい」

 ボクシングから離れた16年間について、さらにセコンド復帰についてそのように語った史郎氏はさらに「和毅の性格は一番わかっている。(3兄弟の中で)一番慎重やし、弱い面もある。実際に今はトレーナーのアドバイスを受けてやっているけど、間近でちょっとでも安心させてやりたい。今回は興毅と一枚岩になってやっているので、モチベーションも高いはず」と親心をのぞかせる。

 一方、和毅のボクシングの成長については目を細める。「久しぶりにスパーリングを見て、すごい変わりようだった。俺自身、楽しみ」と太鼓判を押す。

「一番は右。いままでは右を打ちにくがっていた。それが今は力強く打てているし、スパーリングで相手が和毅の右でダウンをした。スパーリングでボディで倒させたことは何度かあっても、顔面へのパンチで和毅が倒した記憶はない。それにスピードは今までもあったが、パワーはなかった。今回はパワーも感じた。スピードもより速くなっている。タイミングの取り方、頭で考えるボクシングもできている。すごい成長している」

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 フェザー級転向によるプラスが、目に見えてボクシングにも表れているということか。「正直、一番合っている。スーパーバンタム級では力が発揮できていなかった。頼りなかった。いまが一番いい体重」と史郎氏は確信する。

 “本領発揮”で臨むことになるフェザー級転向での初戦。史郎氏は次のように独自の展望を語る。

「ジャブのスピードもあって、これまでの課題だった右の手ごたえもつかんでいる。タイミングが合えば、1ラウンドから行ってしまうと思う。無理にはいかない。展開づくりがうまくなっているので、誘い込んだときに右が当たったら、それで終わる可能性もある。仮に12ラウンドまでもつれこんでも、1ポイントも与えることなく、フルマークで勝つと思うけど、フェザー級としては課題が残ってしまう。フェザー級には強いボクサーがたくさんおるので」

 史郎氏が圧倒的な結果を求めるのには理由がある。和毅がスーパーバンタム級で追い求めるも、実現できなかった井上尚弥との戦い。それをフェザー級で実現するためには、将来的にフェザーへの転向が取りざたされている井上尚弥が上がってくるかもしれないその時に、和毅がフェザー級で“一番の存在”であり続け、待ち構えるのが唯一の道筋ともいえる。自他ともに認める『フェザー級=亀田和毅』の構図を築き上げることができるか。それだけに今回の試合の重要性は必然的に高まっていく。

「ボクシングは体重のスポーツ。スーパーバンタム級やったら、全然あかんかったと思う。ただ井上尚弥とリングで交えるだけだったと。ほんまにやり合うんやったら、フェザー級。いま和毅は、井上が前回途中で帰らせたメキシコ人のパートナーよりも強いパートナーを呼んでやっている。それでもスパーリングで和毅の相手にはならない。スパーリングやったら、和毅の方が上。ただ、リングではスパーリングどおりにはいかない。それをリング上で出しているのが、井上尚弥。その強さがある。それでも今の和毅の実力は五分以上。それもあってフェザー級のリングでの戦いが楽しみで仕方がない。俺も見ればわかる。勝てない人間に勝てるとは言わない」

 フェザー級での和毅の快進撃を信じて疑わない史郎氏だが、和毅が越えるべき大きな壁の存在を指摘する。それは、デビューから今まで克服できないでいる大きな壁だ。

「これまでの和毅には“出し切る”勝負強さが大きく欠けていた。自信さえ持てれば和毅は強い。足りないのは、自信だけ。出し切ってくれさえすれば、あいつは怪物なのよ。持ってるものはある。出し惜しみをしているだけ。もったいないのよ。『なんで出さんのよ、オマエは』って何度も言ってる(笑)」

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 史郎氏いわく、長男・興毅が引退をした際に、4階級制覇を達成できなかった心残りと「あのとき、こうしておけば」という後悔が残ったそうだ。今までは和毅が自分でプロモート、マッチメイク、選手兼トレーナーの全てをこなしていたが、この一戦に向けては興毅がすべてを担って環境を整えてきた。兄弟で現役として残された和毅には後悔をさせたくないという思いの表れだという。それだけに「やってもらわな、あかん」とも。

「井上尚弥戦が実現して、勝ったら、ほんまに凄いこと。そのときばかりは興毅が『どんなもんじゃい』って言うと思うで(笑)。『3150のどんなもんじゃい』を思い浮かべて、できることを全部やっていくしかない。ただ、これは全て和毅次第。和毅がフェザー級でチャンピオンになったら実現する。ならなければ実現すらできない。実現するだけではなく、勝たなあかんのよ。だからこそ和毅が『ひょっとしたら』という状況を作らないとだめ。今だったら皆に『寝言でも言っとけ』と言われてしまう。フェザーで2、3戦したときに『フェザー級で和毅とやれ』と皆が言い出した時に、実現しなければいけなくなる。避けては通れない。ファンに、周囲にそう言わせるだけのフェザー級王者になることが大事。だからこそ、今回はただ試合をするだけではなく、勝ち続けないといけない。井上尚弥がリングで示し続けているような『格の違い』を見せつける戦いが必要。接戦ではダメ。フェザー級で何戦かやって、ベルトを持って、和毅は常に待っておけばいい。そこで勝つ。それが俺、亀田家の目標やな」 

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