北欧・スウェーデンのお菓子にまつわる文化「フィーカ」。コロナ禍を経て、職場でのコミュニケーションに悩む人たちに知ってほしい文化を、スウェーデン在住のパティシエに話を聞いた。
「誇りを持っているくらいスウェーデン人が大好きな言葉」
こう話すのは、スウェーデン在住の日本人で、パティシエとして活躍するヴェントゥラ愛さん。愛さんは日本のお菓子についての本を出版するなどスウェーデンで日本のお菓子を紹介している。
一方で、スウェーデンのお菓子文化や暮らしを日本に伝える活動も行っており、YouTubeでの発信のほか、本も出版している。
――「フィーカ」とはどんな習慣?
「一人でするときもあるが、コーヒーを飲みながら主に甘いものを食べ、人と一緒に休憩する意味合い」
「フィーカ」とは、スウェーデン式コーヒーブレイク。小さい頃から家族でフィーカをする機会も多く、スウェーデン人にとってはとても大切な習慣だと愛さんは話す。
――コーヒーと一緒に、どんなお菓子を食べる?
「(スウェーデンでは)シナモンロールがとても有名でよく食べる。形状はつぶつぶの砂糖が乗っていて、生地自体にカルダモンというスパイスのあらびきのものが混ぜられていて、コーヒーにすごく合う」
しかし、日本でも家族や友人とお茶をしたりすることはあるが、スウェーデンのフィーカは何が違うのか。愛さんはその違いについて次のように話している。
「職場とかでもフィーカの時間がしっかりある。日本だとコーヒーを飲むといっても、ただコーヒーを取ってきて仕事しながら飲むとか、飲んでまたすぐ仕事に戻るとかだが、それがもっとしっかり休みを取るのが大きな違い」
こちらの映像は愛さんの友人で、スウェーデン在住のITコンサルタントとして働くマホさんが撮影した職場でのフィーカの様子。オフィスでのフィーカはもちろんのこと、最近は在宅勤務も増えた影響で「リモートフィーカ」も行っているとのこと。頻度は職場によりさまざまだが、1日に2回、午前と午後にする会社もあるという。
では、職場でのフィーカにはどのようなメリットがあるのだろうか。
「作業から離れて頭も切り替えられるし、チームの人と一緒にコミュニケーションをとることで、また新しいアイデアが生まれたりなど、人間関係が円滑に進む」
現在、子育て中のマホさんは初対面の人と仕事をする際、なるべく一度は会ってフィーカをするようにしているとのこと。そうすることで、相手に自分の家庭環境などを知ってもらえ、長い前置きをすることなく、効率的にコミュニケーションができると話している。
「日本だと仕事の後に飲みに行くとかで、その時間にコミュニケーションがある。それがこっちには無い。家庭生活もとても大切なので、定時にはみんな仕事を切り上げて帰ったりする。こちらでは飲みニケーションが成り立たないので、その代わりの役目として役に立っているのがフィーカの文化」
様々なメリットのあるフィーカ。だからこそ、スウェーデンの人々はフィーカの時間をとても大切にしている。
「(スウェーデンでは)忙しいからフィーカは今日取らないというのはない。どんなに忙しくても手を止めて、そこから生まれるコミュニケーションがすごく重要な役割を果たしている」
(『ABEMA Morning』より)