【プレミアリーグ】ブライトン2-2リヴァプール(日本時間10月8日/アメックス・スタジアム)
プレミアリーグ第8節のリヴァプール戦、お馴染みの左ウイングで先発したブライトンの三笘薫だが、決して満足なパフォーマンスを見せられなかった。
得意のドリブルは鳴りを潜めたうえ、トラップやパスがいつもよりも微妙にブレて、クロスも大半が精度を欠く。そもそもベストコンディション時と比較すると明らかに身体が重そうで、とりわけ前半は特筆すべきシーンが皆無と言っても過言ではなかった。
普段は後方から爆速で駆け上がってマークを分散してくれる相棒の左SBペルビス・エストゥピニャンが欠場していた影響はもちろんあるだろうが、この低調さの大きな原因は主に2つに求められる。
まず1つ目は、相手の入念な対策だ。リヴァプールは中盤から左サイドへのパスコースを優先的に切っていたうえ、仮に三笘にボールが入ってもほぼ常に複数人で対応し、左ハーフスペースでは3人で囲むシーンすらもあった。さらに、昨シーズンの対戦時には何度も突破されていた右SBのトレント・アクレサンダー=アーノルドも、経験から学んだか決して安易に足を出さなかった。
7節までに3ゴール・3アシストを記録し、昨シーズンはFAカップでスーパーゴールも決められている日本代表ウイングを、リヴァプールは明らかに警戒していた。その影響は決して小さくない。
もう1つが、疲労の蓄積だ。欧州上陸3年目の今シーズン、三笘はキャリアで初めて欧州カップ戦に参戦。開幕から2か月足らずで公式戦はすでに11試合目(プレミアリーグが8試合、ヨーロッパリーグが2試合、リーグカップが1試合)で、しかもそのうち先発が10試合、欠場はゼロとほぼフル稼働しているのだ。3日前には移動を伴うアウェーでマルセイユと戦っており、疲れが溜まっていないわけがない。
ただ、ブライトンのロベルト・デ・ゼルビ監督は最近、「今のチームには特別な選手が3人いる。パスカル・グロス、ルイス・ダンク、そして三笘だ。彼らはパーソナリティーや個性において特別」と明言。つまり指揮官は、三笘をおいそれとは代えられない絶対的なキーマンと考えており、前半の出来を見れば後半はベンチに下げる選択肢もあったはずだが、信念に従ってそれでもフル出場させたのだ。
そして、デ・ゼルビ監督の期待に応えるかのように、三笘は85分に「らしいドリブル」を披露。左サイドのハーフウェーライン付近で受けたボールをダイレクトで縦に蹴り出してジョー・ゴメスを抜き去り、そのままドリブルで斜めに切り裂いたのだ。最終的には焦ったJ・ゴメスにファウルで止められたものの、アディショナルタイムの自陣深い位置からの持ち上がりを含めて、持ち味が出た数少ないシーンだった。
この「対策と疲労」をいかに乗り越え、決定的なシーンを作り出してゴールやアシストの数を伸ばせるか——。それが今シーズンの三笘にとって大きなテーマとなりそうだ。
(ABEMA /プレミアリーグ)