ネタ投稿が炎上、少しのおふざけも許されない時代に? 「へこむことはなかった」地下アイドルら当事者に聞く
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 芸能人に限らずあちこちで起きている、ネットでの炎上。エイプリルフールでキャバクラの体験バイトに行った一般女性の「お客様が気に入ってくれた1000万円くれた!」との投稿には、「国税庁に連絡します!」など批判の嵐。さらに企業でも、「#個人情報を勝手に暴露します とある筋から入手した、某小学5年生の女の子の個人情報を暴露しちゃいますね」と、商品をネタのように紹介したことで炎上した。

【映像】地下アイドルの“ネタ投稿”が炎上

 何かにつけて真面目さや正しさを求められがちな現代では、少しのおふざけも許されないのか。『ABEMA Prime』で当事者を交え議論した。

■「労働基準法違反でしょ」「面白くない」の否定的な声

「運営さんから急に給料0にされました、、助けてください。15日の23:59までの1RT×10円でくれるらしいのでお願いします」

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 地下アイドル「あっぷろーでぃあ」のりのさんも、ネタ投稿で批判を浴びた1人。「SNS特化型をコンセプトとしたアイドルグループで、X(旧Twitter)を担当させてもらっている。デビューしてからまだ3カ月目でフォロワー数が少ない、経験も少ないという時に、何も結果が残せていないなと。そこでバズったらいいなという思いで投稿した」と説明。

 本当に給料がゼロになったわけでなく、フォロワー獲得に向けた投稿だったが、真に受けてしまう人も。「労働基準法違反でしょ」「何がしたいの?面白くないんだが」「運営ヤバすぎ!訴える案件では?」などの否定的な声が寄せられたが、「リプなどを送ってくれている時点で、少しは興味を持ってくれたのかなと。批判が来てもポジティブに、“反応くれたから大丈夫”“興味持ってくれたから自分の取り柄にできる”みたいに考えるので、へこむことはなかった」と明かす。

 リポスト企画の結果、1.6万のリポストを集め16万円のボーナスをゲットしたほか、「結果的に、ライブに来てくれる方もいた。フライヤーを配った時も、『Twitterで見ましたよ』と声をかけてくれる方が増えたので、よかったと捉えている」ということだ。

■「額面どおりに文章を受け取ってしまう方々がいる」

 インフルエンサーや有名人だけでなく、一般人も攻撃対象になる。mannさんは「某国民的アニメの主人公の射撃がすごいのは、早打ちや射的の精度ではなく、引き金を引く際に人間が本来抱くはずの躊躇いの感情を一切持ち合わせていないから」と投稿し炎上した。

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「元々のキャラクター性を歪める投稿だという批判を受けた。“そんなはずないじゃないか”というギャップでおもしろさを表現したつもりだったが、“あなた嘘ついてますよね”という捉え方をされた方々によって批判の声があがってきた。広く拡散してしまうと、どうしても真意を汲めないというか、額面どおりに文章を受け取ってしまう方々がいるので、表現の仕方が少し間違っていたのかなという反省はあった」

 mannさんがネタ投稿をするのは、「自分がおもしろいと思ったことを表現する、創作やアイデアの発表の場だと考えている。おもしろいと思われたり、ウケたいというのが1つのモチベーション。なりふり構わずバズりたいというわけではない」という。

 炎上しても自身の私生活の影響はないそうだが、批判については「やはりモチベーションが“おもしろいことをしたい”というところなので」とコメント。フォロワー数が増えるのは、好意的に捉えられる時のほうが多いということだ。

■「正義感が強くなった人たちが非常に増えてきた」

 SNS事情などに詳しい、ITジャーナリスト・スマホ安全アドバイザーの鈴木朋子氏は、「ネタアカウントはたくさんあって、リアルと結びついていないことでかなり自由な発言ができる。一方で、誰が発信しているかはけっこうみんなが見るように変わってきたと思っている」と分析。

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 ネタ投稿が批判される理由については、「正義感が強くなった人たちが非常に増えてきた。エイプリルフールネタが通用しなくなってしまったのも、SNSの風土が変わったというのはある。また、ランチの情報を知りたいなどリアルのためにSNSを使う人もいて、そういう時にネタが出てくると“いつまでも情報にたどり着けない”といういら立ちの1つになるのかなと。あとは、金儲けの片棒を担がされるというか、その人の人気集めに加担してしまったのが悔しいという思いを抱く人も多いと思う」との見方を示す。

 その背景にはコロナ禍の影響をあげ、「あの頃はデマやフェイクニュースがたくさん流れた。いくらネットだからといって、嘘をついてはいけないんじゃないかという感覚がグローバルで広がったのかなと思う」とした。

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 作家で社会学者の鈴木涼美氏は「デマは戦争の時も、関東大震災の時も常にあった。現実やSNS上などやり取りが複雑になっている中で、“フィクションは現実とは違うものだ”という、すごく当たり前のことが身体に染み込んでいないのではないか。漫画の描写に怒るようになったのは、やはり本を読まないからだと思う。SNSでは本への批判もすごい」との見解を示す。

 これにリディラバ代表の安部敏樹氏は「本は1冊読むのに時間がかかるが、フィクションやユーモアは、本当は時間をかけて楽しまないと本当の価値がわからないものだ。しかし、現代は情報量がめちゃくちゃ増えているから、1つの情報に対してそんなに長い時間をかけられない。そこまで吟味できないために、フィクションに対してみんな怒ってしまう」と述べた。(『ABEMA Prime』より)

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