日本代表の森保一監督が10月12日、13日のカナダ代表戦に向けた前日会見で、とりわけ海外組メンバーたちを悩ませる長距離移動と疲労について見解を示した。
久保建英が11日の練習後、「(身体は)きついですよ、正直。日本で待ってくれている人もいるし、チケットも新潟は完売だと聞いている。そういった人たちのために試合ができるのはすごく幸せだけど、きつさがあるのも事実」と発言。メディアを賑わせた。
レアル・ソシエダに所属する久保は8月中旬に開幕した2022-2023シーズンで、ラ・リーガとチャンピオンズリーグですでに10試合(全てスタメン)に出場し、9月中旬にはヨーロッパで開催された日本代表のドイツ代表戦とトルコ代表戦でもプレー。事実上のフル稼働が続き、今回の10月シリーズはスペインから日本への長距離移動も伴っただけに、身体的な負担はかなり大きい。同じくブライトンで連戦が続いていた三笘薫は、メンバー発表後に体調不良を理由に今シリーズ欠場を決断してもいる。
その点について会見で記者から聞かれた森保監督は、「海外組の選手たちは、日本で戦う際は長距離移動と時差があり、気候も違う。今回も直前に欧州カップ戦に出ている選手たちは連戦だったし、とくに過酷な条件の中にある。かつてある選手はロシアW杯からカタールW杯の間に、日本代表の活動に参加するために地球8週分の移動をしたという話も聞いた。もちろん国内組もハードなスケジュールの中で集まってきてくれている」と、とくに海外組のハードスケジュールを懸念した。
だからこそ森保監督は日本代表のために長距離移動し、全力で戦う選手たちにはリスペクトの気持ちを常に持っているという。
「そんな過酷な条件の中、彼らは代表選手として日本のために覚悟を持って戦ってくれていると思います。その点をメディアの皆さんに理解していただき、より多くの人に知っていただきたい。選手たちがどれだけの覚悟と志を持って日本のために戦っているかを分かっていただいたうえで、試合を観ていただきたいと思います。選手たちの頑張りにはいつもリスペクトの気持ちでいっぱいになります。多くのサポーターの皆さん、国民の皆さんに応援していただければと思います」
さらに、森保監督は今年11月のW杯二次予選はさらに難しい状況になると推測。第一戦(相手はミャンマー対マカオの勝者)が11月16日の木曜日に組まれているからだ。
「今回の試合は金曜日ですが、11月のW杯二次予選は第一戦が木曜日に組まれています。週末に試合をして移動してくる海外組がチームに合流するのは、火曜日もしくは水曜日になる場合もある。トレーニングする時間がないばかりか、選手によってはリカバリー(回復プログラム)をする時間もない中で、公式戦を戦うことになる。ヨーロッパから日本に移動して翌々日か翌日には90分間を走ることになるんです」
海外組が増え、選手たちが欧州カップ戦に出場するトップクラブにステップアップしていくことは日本サッカーの発展に間違いなく繋がるが、一方で代表戦の際の長距離移動&疲労という問題が深刻化するのは避けられない。その意味でも誰が欠けてもチーム力を保てる選手層の厚みが大切で、三笘に加えて堂安律、鎌田大地、前田大然など多くの常連組が欠場する今シリーズは、新たなオプション構築と新戦力発掘に向けた試金石にしたいところだ。
13日に新潟のデンカビッグスワンスタジアムで開催されるカナダ代表戦は、すでにチケットが完売済み。中継はテレビ朝日系列とABEMA、キックオフ時間は19:35となっている。
(ABEMA/日本代表)