鋭いボディフックで2度のダウンを奪う悶絶KO。あわやリングから転落の衝撃決着に場内が騒然。放送席からも「危ない、危ない」と驚きの声が上がった。
10月13日に後楽園ホールで開催された「LifeTime Boxing Fights17」で、大湾硫斗(志成)とパイ・パーロップ(タイ)が対戦。試合は大湾が4ラウンド、ボディの連打で2度のダウンを奪ってTKO勝ち。WBA世界スーパーフライ級王者・井岡一翔が見守る試合で圧巻の勝利を収めた。一方、試合後は体重超過もあり、頭を下げ恐縮しきりだったが「チャンピオンになります」と前を向き気持ちを切り替えた。
6月の日本スーパーバンタム級王座決定戦で下町俊貴に判定負けして以来、約4カ月ぶりの再起戦となった大湾だが、前日計量で800グラム体重超過。60・3キロの当日計量をクリアしなんとか試合にこぎつけた。対戦相手のパーロップは、40歳のベテランだが過去の勝利でKO率70%超え、元WBCミニマム級暫定王者の経歴を持つ実力者だ。
1ラウンドから精度の高い左ジャブを何度も当てじっくりとした攻めを見せた大湾、後半には相手の左目上をカットするなど、さらに厳しいボディ攻撃で攻め立てる。
2ラウンドに入ると大湾は近い距離で右ボディを強振。スイッチを繰り返して流れを変えたいパーロップにほとんど何もさせない。3ラウンドも相手のオーバーハンドぎみの強いパンチにカウンターで対処し、落ち着いて左ジャブからボディと試合を組み立てていく。
すると4ラウンド中盤、大湾が右ストレートを皮切りに、一気にボディ連打を畳み込むと、パーロップが耐えきれずコーナーに座り込んで最初のダウン。
試合再開後も強いプレッシャーからボディで、相手をロープ外に吹き飛ばして2ダウン。尻もちをつき戦意を喪失しているパーロップを見てレフェリーが試合を止めた。
この日は世界王者・井岡一翔が観戦に駆けつける中での試合。豪快なボディでKO勝利を見せつけた大湾だが、試合後は真っ先に対戦相手に駆け寄り、何度も頭を下げ体重超過を謝罪する場面もみられた。
勝利者インタビューでも大湾は気持ちが晴れず反省しきりだったが「準備段階から考えさせられる試合でした、いい経験が出来たと思います」とコメント。気持ちを取り直したか「来年しっかり勝ってチャンピオンになります」と決意を新たにしていた。