【MIZUHO BLUE DREAM MATCH 2023】日本代表 4-1 カナダ代表(10月13日/デンカビッグスワンスタジアム)
己のプレーで “俺はここにいる”と主張するようだった。カタールW杯以来、約10か月ぶりにサムライブルーのユニフォームに袖を通した南野拓実は、カナダ代表戦で自身の存在を証明するようなパフォーマンスを披露。「初心に戻ったような気持ちで」と吐露した思いそのままに、新しい背番号“8”を纏ってピッチに立っていた。
カナダ戦は4-1-4-1(4-3-3)の右インサイドハーフ、可変時は4-2-3-1のトップ下を担い、ビルドアップに関わりながら前方のスペースへ顔を出して得点を狙った。結果的に2ゴールに絡む活躍を見せたが、自身にゴールはなく、「2、3本、決定的なチャンスがあったので、それをモノにしたかった」と満足感はなかった。
それでも、49分にボックス左で浮き球をコントロールしながら中央の伊東純也へ送ったノールックパス(プレアシストに繋がる)や、71分にボックス内でフィニッシュに持ち込んだシーンには南野らしい柔らかさと同時に、貪欲にゴールを狙う闘志のようなものを感じさせた。
第二次森保政権では初めて招集された南野。昨シーズンは所属先のモナコでもW杯以降の22試合のうち14試合で控えに回り、スタメン出場はわずか5試合のみ。ゴールもなく、実戦機会の減少で、日本代表から声が掛からなかった。
だが今シーズンはアドルフ・ヒュッター新監督の下、ここまで7試合に出場して3ゴール・3アシストの活躍を見せ、8月のリーグ・アン月間最優秀選手賞を受賞。誰の目にも明らかな活躍で復調を印象づけ、森保一監督からも再び声がかかった。カナダ戦後の言葉には力が込もっていた。
「やっぱり、このユニフォームを着てプレーすることは特別だと感じました」
8年前の2015年10月に20歳で代表デビューを飾り、このカナダ戦は48キャップ目。そんな28歳の南野だが、どこか初々しさを感じるコメントを残し、「メンバーも若くなっているし、新しいスタッフも入って、僕自身も新体制の中で初めての招集だった。初心に戻った気持ちで日々過ごしています」と、日の丸を背負う喜びを改めて噛み締めた。
「W杯の時はチームみんなで戦って一つの結果に向かう感じでしたが、今はスタメン争いとか、アジアカップのメンバーに入るとか、ハングリーな気持ちが前回とは違う」
そう語る南野は、モナコで調子を取り戻した時のように、サバイバルが激化する日本代表でも結果を渇望する。
取材・文:舞野隼大
(ABEMA/MIZUHO BLUE DREAM MATCH 2023)