【MIZUHO BLUE DREAM MATCH 2023】日本代表 4-1 カナダ代表(10月13日/デンカビッグスワンスタジアム)
日本が良かったのか、カナダがイマイチだったのか。日本にとっては、Aマッチ5連勝、いずれも4得点以上の合計22得点、田中碧が2ゴール、中山雄太と南野拓実の復帰、新星・毎熊晟矢の躍動、そして中村敬斗がデビューから4試合で4ゴールなど、ポジティブな要素は枚挙にいとまがない。一方、カナダはどうだったのか。「酷いものだった」、「悪魔を目覚めさせるだけだった」など母国では自虐的な報道が多かったようだ。
「カナダ人たちはサムライブルーのスピードと規律に対して答えを持っていなかった」と報じたのは、カナダ国営通信社『The Canadian Press』だ。
FIFAワールドカップ・カタール2022でカナダを36年ぶりに世界の大舞台に導いたジョン・ハードマン監督が8月に退任し、元アシスタントコーチのマウロ・ビエロ氏が暫定監督として初めて指揮を執ったゲームだけに、試合後の「明らかに多くの学びがあった」という言葉は本音だろう。同誌によると、ビエロ監督はこうも話したという。
「日本人は才能が豊富で、どのポジションにもほぼ3層の選手がいる。それが、日本が多くのチームを破っている理由だ。しかし、これは私たちが望んでいたもの。選手たちに、競争が重要であると感じてもらうこと。この試合から彼らは学ぶだろう。私たちはより良くなる。ここから成長し、(11月の)ネーションズリーグに向けてより良いチームになる」
さらに、カナダのメディア『Canadian Soccer Daily』は、かなり自虐的だった。同メディアは「カナダが自滅、守備の脆弱さとペナルティーの悪魔に悩まされる」といった見出しで試合をレポート。わずか78秒で許した失点には「レ・ルージュ(カナダ代表の愛称)は開始直後、まるでヘッドライトに照らされた鹿のようにひどいものだった」と伝え、さらに19分のPK失敗には「昨冬から眠っていた悪魔を目覚めさせるだけだった」とし、その後の日本の猛攻を呼び覚ますきっかけとなったと綴った。
日本にとって最も脅威となったのが、バイエルンに所属する快速アタッカー、アルフォンソ・デイビスだったが、オウンゴールのシーンは不運だった。
「デイビスはクロスをカバーしたかに見えたが、ボールは彼の前で揺れ、GKボージャンの顔面を経由して自陣のネットに吸い込まれた。もし、サッカーの失敗をまとめたDVDがまだ存在しているならば、それは間違いなく入るだろう」
クリアボールがGKの顔面を直撃して許した失点は致し方ないものだが、カナダにとってはまさに“悪夢”のような瞬間だったはずだ。同メディアは『The Canadian Press』と同じように「これらはカナダが必要とする試合だ」と伝えた。コパ・アメリカ2024の予選を兼ねたCONCACAFネーションズリーグの準々決勝を1か月後に控えるなか、満足のいく活動ができていないカナダにとって、カタールW杯から現在までは「失われた1年」となるかもしれない、と。
その背景には「選手、スタッフ、ファンが指摘しているように、カナダは2026年のW杯共催に向けて長期的に成長したいのであれば、このようなハイレベルな相手との試合が必要だ」という思いがある。2026年W杯をアメリカ、メキシコとともに共催するだけに、地域予選が免除されており、親善試合がチーム強化の重要な場になる。
カナダのサッカーファンも、SNSに「意気消沈したスタートだが、まだ時間はたくさんある」といった前向きな発言もあるなかで、「4点目は情けない守備の達人級だった」、「いつも監督が最初にターゲットにされるのは本当につらいです…ピッチ上の選手たちは本当に酷いものだった」、「適切なトレーニングキャンプが欠如している」、「観ていてとてもイライラする試合」などの書き込みが目立つなど、フラストレーションを溜めていたようだ。
もちろん、日本も手放しで喜ぶことはできない。「意のままにオンとオフを切り替える能力、そして素早いボールの動き。逆にカナダは日本のディフェンスラインを崩すことができなかった」と伝えられたが、FIFAランキングでは日本の19位に対してカナダは44位と力関係は明確だ。カナダを脅威に陥れた戦いを、この先も継続して示していけるか。
(ABEMA/MIZUHO BLUE DREAM MATCH 2023)