【キリンチャレンジカップ2023】日本代表 2-0 チュニジア代表(10月17日/ノエビアスタジアム神戸)
久保建英と伊東純也——。日本代表が誇るアタッカー2人の“ルート”がついに開通した。
10月17日のチュニジア代表戦で、森保ジャパンは4-2-3-1システムを採用。久保はトップ下、伊東は右ウイングで先発した。試合序盤は久保が右サイドに流れがちで、スペースが被る伊東とやや“足を踏み合う”シーンも多かったが、徐々に久保が状況を見ながら2列目を縦横無尽に動くようなると、2人は良い距離感を保ちながら連携できるようになっていく。
すると69分には、久保と伊東が魅せる。浅野拓磨のヒールパスから左サイドを抜け出した久保が、ニアの守田英正、ファーの上田綺世を囮に使い、右サイドから中央に詰めた伊東へ丁寧なグラウンダーのパス。伊東はこれを右足ダイレクトでしっかりゴールに流し込み、チーム2点目をもたらした。
この試合で久保は28キャップ目、伊東は49キャップ目で、カタールW杯を含めて何度も共演してきたが、2人の絡みで生まれた得点は実は初めて。今回のような久保アシスト→伊東ゴールという形も、伊東アシスト→久保ゴールという形も、これまで一度もなかったのだ。
そもそも2人は、これまで右ウイングの先発を争うライバルと見られがちだった。しかし、この日のように久保がトップ下(もしくはインサイドハーフ)、伊東が右ウイングに入って良い距離感さえ保てれば、十分に共存可能なことがついに証明された格好だ。試合後のフラッシュインタビューで伊東は、得点シーンをこう振り返っている。
「タケ(久保)が突破した時に、マイナスで受けようと思って。タケがよく見てくれていたので、あとは上手く抑えて枠に蹴ろうと思って、良いところにいってゴールできて良かったです」
さらに久保も、「お客さんもやっぱり僕らが点を取ることを期待して会場に来ていると思うので。今のところはチームみんなで、その期待に応えられている。非常に良い流れがきているのかな、と。みんなが期待してくれるような日本代表になっているのかな、と思います」と一定の手応えを口にしていた。
この10月シリーズは、三笘薫、鎌田大地、堂安律、前田大然といった常連アタッカー陣が怪我やコンディション不良により不参加。その状況下で森保一監督は、「怪我やコンディションの問題により、選手が欠ける可能性は常にある。だから、誰が試合に出てもハイレベルに機能するチームを作りたいし、様々なオプションを構築したい」といった趣旨の発言を繰り返していた。その意味では、久保と伊東の連携に目処が立ち、ゴールという明確な結果が出た意義は決して小さくない。
もちろん「新ゴールデンコンビ」と呼ぶのは時期尚早だ。とはいえ、ゴールシーンにも象徴された通り、久保の技術と視野の広さを活かしたキラーパスと、伊東のスピードを利したオフ・ザ・ボールの動きは相性がすこぶる良い。ここ最近のお互いの進化ぶりを考えれば、伊東→久保という形でのフィニッシュにも期待が持てる。天才レフティーとスピードスターによる連携が、今後の森保ジャパンで重要な武器になっていく可能性は十分にあるはずだ。
(ABEMA/キリンチャレンジカップ2023)