天気や時間に関係なく、美しい星空の世界に浸れるプラネタリウムは、今年で誕生100周年を迎える。今なお進化し続ける日本のプラネタリウムを取材した。
雨の日でも昼間でも、満天の星空を堪能できるプラネタリウム。その魅惑的な癒し空間は、あまりの心地よさに思わず夢の中へ誘われることもある。宇宙の魅力を体感できる科学館「つくばエキスポセンター」の目玉は、何といっても世界最大級を誇るプラネタリウムだ。
「星がすごかった」(男の子)
「昔の人はコンパスの無い時代に、星とかで船を進めててすごいなと感動した」(女の子)
「その日の星空とかを教えてもらえるので、夜になったらけっこうそのまま(実際の星空を)見たりできるのがいいかなと思う」(母親)
プラネタリウムの投影方式は大きく2つに分かれる。「恒星原板」と呼ばれる、実際の星と同じ配置に穴を開けた板に光を当ててレンズで映し出す「光学式」。もうひとつは、CGで作った映像を映し出す「デジタル式」。
本物と見紛うほど美しい星空を楽しめる「光学式」と、見ごたえのある映像展開が魅力の「デジタル式」。つくばエキスポセンターのプラネタリウムではこの両方が味わえる。
「星を見るというのは一番のニーズだが、このドームを使えば色々な映像が提供できる。例えばアニメのキャラクター番組や、ヒーリング番組もお客さんに喜ばれている」(つくばエキスポセンター・瀬戸口啓一 専務理事)
日本では、教育現場からの要望などにより、1970~1990年代にかけて多くのプラネタリウム施設が誕生した。WPDによると現在、国内で358館が稼働している。これは世界で3番目の数で、実はプラネタリウム大国の日本。とはいえ、コロナ禍で遠のいてしまった客足の回復に苦戦する施設も少なくない。
そんな中、コニカミノルタが提供するプラネタリウム施設向けコンテンツのサブスクリプションサービスが注目されている。2021年にスタートし、現在は全国11カ所のプラネタリウムが導入している。
専用端末を設置してネットに接続すれば、簡単な操作で番組を装填できる。さらに、コンテンツの調達コストを低く抑えられることも大きなメリットだ。
「サブスクを使うことによって様々な種類の番組が提供されるので、お客さんのニーズに合わせた作品を選びやすくなった。また、1つの番組を見られる状態にするのに数日かかっていたところが、ものの数時間というレベルで確認作業ができる」(つくばエキスポセンター・齋藤弘雄 運営部主任)
つくばエキスポセンターで行われた実証実験では、このサービスを活用した結果、来場者が1.5倍に増加した。一定期間の上映プログラムの本数を増やしたことで、リピーターの確保に繋がったのも要因だという。
つくばエキスポセンターを訪れていた中には、この日、異なるプログラムを2本立てで見るという子どもも。今日の一番の楽しみは「もちろんプラネタリウム。星座がどんな風になっているかわかった」と話してくれた。
このサービスはさらに、各地のプラネタリウムが制作したオリジナルのコンテンツを互いに供給し合うプラットフォームの役割も果たしている。
「我々が作ってきた番組がこのネットワーク、プラットフォームを通じて、他の多くの館に観てもらえる、そういう夢を描いてたが、このシステムで実現できて非常に良かった」(瀬戸口専務理事、以下同)
今から100年前。1923年10月21日、ドイツの博物館で初めて近代的なプラネタリウムが試験公開された。誕生から1世紀を経て、プラネタリウムは大きく進化してきた。100周年を迎え、より多くの人にプラネタリウムの魅力を伝えるために今後も挑戦は続く。
「プラネタリウムの新しい機能をどんどん展開して、多くのお客さんに楽しんでもらおうと考えている。そういう意味でも(100周年は)一つ、大きい節目の年かなと思う」
(『ABEMAヒルズ』より)
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